舞台「モノノ怪」第2弾開幕、中村健治の「これがやりたかったんだよ」にキャストも自信

舞台「モノノ怪~座敷童子~」ゲネプロより。

舞台「モノノ怪~座敷童子~」が本日3月21日に東京のIMM THEATERで開幕。本番公演に先立ち、会見と公開ゲネプロが行われた。

会見には薬売り役の新木宏典、志乃役の岡田夢以、徳次役の西銘駿、少年徳次役の大平峻也と、演出・映像を担当するヨリコジュン、TVアニメ「モノノ怪」の中村健治監督が出席。新木は2023年に上演された第1弾の舞台「モノノ怪~化猫~」が東京のみの公演だったことに触れ「今回は旅公演ということで、大阪にも行けます。より多くの方に見せられるよう、精一杯務めてまいります」と意気込みを語った。

今作の見どころについてヨリコは、いくつかの人物についてアニメよりも深掘りした部分だと語る。「もしこの物語が60分以上あったら、中村監督が何を描くんだろうと考えて、僕は徳次の過去などを見たいなと思って作らせていただきました。そのあたりを楽しんでもらえましたらうれしいです」とコメント。この点については中村監督もうれしい部分だったと言い、「アニメーションでは描けなかったことがたくさんあったんです。アニメを観た方だと分かるかもしれないんですが、(劇中に登場する)子供たちが1人ひとり深掘りされて、情報もすごく増えているので僕としてもうれしいという気持ちです」と語った。

前回の舞台からパワーアップした点を問われると、新木は「チームワークでしょうか」と回答。新木は「2.5次元の作品は役柄のイメージに沿って1人1役担当することが大前提なので、作品に出演するキャラクターが変わればキャストも変わるということがよくあるんです。今回は前回と違う役で出てくれたキャストがいて、(第2弾の)スタートを切るときに一定数のメンバーが前回から変わってないので団結力があります。今回から参加するキャストも引っ張っていけるような空気感を自然に作れたのがプラスに働いているんじゃないかと思います」と述べた。

岡田は「個人的には第1弾より客席を使った演出が増えている印象です。私たちももちろんですが、観てくださる皆さんのところに演者が行くと没入感が高まるなと思いますので、さらに作品の中に入っていっていただけるんじゃないかと思います」と見どころを語る。大平は岡田のコメントに「パワーアップしてますよね」と頷きながら「美術的なこともそうですし、それに稽古場で最後のシーンを見ていると何回目でも心が打たれます。それぐらい役者が真摯に向き合っているし、僕も演じていてめちゃめちゃ心が動かされます。ですから観てくださっている皆さんにも、何か持って帰ってもらえるものがあるんじゃないかと思います」と期待を込めた。

今回、白又敦とのWキャストで徳次を演じる西銘。自分が演じる公演での徳次の見どころを問われると「徳次はアニメではものすごくたくさん出てくるキャラではないので、僕が思う徳次を全力で演じます。僕は普段おバカなんですけど、そこをうまくトレースしてより面白く、愛されるような徳次に仕上がってると思います!」と元気いっぱいにコメントした。

舞台第2弾の制作が決定したときの心境を問われたヨリコは「新木さんと『これは第2弾あるだろうね』と話していたら、すぐに決まりましたね……(笑)。シリーズの2作目って難しいよねとお話しながら、新木さんとも第2弾はこうしようっていう部分はしっかり話し合って稽古場に入りました。稽古の3日目に中村監督がいらしたんですが、『これがやりたかったんだよ』とおっしゃったのは聞き逃しませんでした。新木さんとともに自信が持てました」と振り返る。

ヨリコのコメントを受け、中村監督は「僕は正直そりゃやるでしょうなって感じでした。第1弾を観て、これで終わるのはもったいなさ過ぎと思ったので。キャストも続投してもらえるって聞いたので、すごくいいと納得して、同時にうれしかったです」と語る。見学に訪れた際の印象として中村監督は「舞台を観てアニメの演出を勉強していた時期に作ったのが『モノノ怪』で、前作の『化け猫』のときも同じこと言ったんですけど、いただいたものがもともとの形に戻っていく感じがまたしましたね。稽古の3日目に行ったんですが、めちゃくちゃ完成度が高くてびっくりしました。テンポも速く迷いも減ってる気がして、全然こっちもだらけずウキウキ観れたので、これは絶対面白くなると思いました」と絶賛した。

物語は過去のある日、少年徳次が歌いながら何者かと遊んでいる場面からスタート。物語の舞台となる老舗宿の入口が映像とモノクロで表現され、少年徳次と若かりし頃の女将・久代もセットに合わせて白と黒の衣装を着て登場した。そこで場面は一気に現在へと転換する。身重にもかかわらず何者かに命を狙われている志乃は、雨の中久代の宿へ。志乃を追い出そうとする久代と宿を乞う志乃のシリアスなやり取りが続く中、薬売りはミステリアスに佇みながら緊迫感を増長させ、徳次はコミカルな動きとセリフで観客を和ませる。

その後宿ではある異変が起き、その原因を探ろうと薬売りは動き出す。アニメ版でもおなじみの、勢いよく襖を閉じるような場面転換は映像とステージ上のパネルで表現された。また、ヨリコたちが今回の注目ポイントとして挙げた謎の子供たちは、明るく笑い声を上げながら舞台を走り回るものの、志乃以外の目には見えないというキャラクター。彼らは物語の後半から存在感を増し、「モノノ怪~座敷童子~」のテーマを担う存在となっていくため、劇場でチェックしてみよう。

舞台「モノノ怪~座敷童子~」は老舗の宿を舞台に、お腹に赤ちゃんを孕んでいるワケありの女・志乃が、薬売りとともに奇妙な現象に巻き込まれていくさまを描く物語。IMM THEATERでは本日3月21日から24日、4月4日から7日まで上演され、大阪のCOOL JAPAN PARK OSAKA WWホールでは3月29日から31日まで上演予定だ。

舞台「モノノ怪~座敷童子~」

日程:2024年3月21日(木)~24日(日)、4月4日(木)~7日(日)
会場:東京都 IMM THEATER

日程:2024年3月29日(金)~31日(日)
会場:大阪府 COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール

スタッフ

原作:モノノ怪「座敷童子」
脚本:高橋郁子
演出・映像:ヨリコジュン

キャスト

薬売り:新木宏典
志乃:岡田夢以
徳次:西銘駿、白又敦 ※Wキャスト
少年徳次:大平峻也
久代:新原ミナミ
フク:加藤里保菜
ボボ:中村哲人
ステ:田上真里奈
トメ吉:西洋亮
イチ/直助:高山孟久
若き久代:井筒しま
ヤス:波多野比奈
フジ:藤原ひとみ
モト:長島静莉奈

(c)舞台『モノノ怪~座敷童子~』製作委員会