原泰久がゲーム・オブ・スローンズ愛を製作陣に告白、映画キングダムへの影響も説明

左からD・B・ワイス、デヴィッド・ベニオフ、原泰久。

「キングダム」の原泰久と、海外ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」の製作総指揮を務めるデヴィッド・ベニオフ、ダニエル・ブレット・ワイスことD・B・ワイスによる鼎談が、去る8月15日に都内で行われた。

映画「キングダム」のBlu-ray&DVDが11月6日、「ゲーム・オブ・スローンズ」最終章のBlu-ray / DVDと同作の第一章から最終章までをまとめたBlu-ray / DVDが12月4日にそれぞれ発売されるのに加え、原が「ゲーム・オブ・スローンズ」の大ファンであることから実現したこの鼎談。第四章がスタートしたころからのファンだという原は、「友人からあまりに勧められるんで、観てみたらドハマリして。当時第一章から四章まで睡眠時間を削って観ていましたね。今日はおふたりに会えるということで、福岡から飛んできました(笑)」と挨拶する。

日本に来るのが長年の夢だったというデヴィッドは、「(『ゲーム・オブ・スローンズ』を製作する)HBOにかねてから『日本に行きたい』と伝えていたので、実際に来ることができて非常に光栄です」と語りながら、最終章を迎えた「ゲーム・オブ・スローンズ」について、「ようやく終えることができたとホッとしながらも、初めて原作を読んでから14年近く生活の大部分を費やしてきたので名残惜しい気持ちもあります」と心境を吐露。ダニエルも同様に名残惜しそうな様子で、「こういうシリーズを手がけられることがどんなにラッキーなのか、制作中は噛みしめる暇がありませんでした。今それをようやく噛みしめられています」と続けた。

Blu-ray / DVDの発売が待ちきれず、一足先に最終章を観終えたという原は「『ゲーム・オブ・スローンズ』は第一章から視聴者の予想を裏切る展開がすごくて、最終章もまさに『ゲーム・オブ・スローンズ』だったなという感じです」と絶賛。さらに同作の脚本について「脚本の作りがものすごく新しいなと思っていて。『ゲーム・オブ・スローンズ』は群像劇ですが、群像劇って作るのが結構難しくて敬遠されがちなんです。それが『これぞ群像劇』という見事な出来栄えになっていますし、最初は主人公が誰なのかもわからない作りも斬新。複数のキャラが同時に出てきてドラマも平行して展開されるけど、混乱がなくて面白い。計算し尽くされていますよね」と評した。

その後3人は会場で映画「キングダム」の予告編映像を鑑賞。デヴィッドは映像について「群衆のシーンや馬がたくさん出てくるところは、撮影が大変だったんだろうなというのが容易に想像できますね(笑)。ビジュアルが精緻に作られていて感動したのは言うまでもないですが、登場人物が表情豊かで、観客の皆さんに訴えかけて登場人物に感情移入できる作品になっているんだろうなと感じました」とコメント。ダニエルは「控室で原作も拝見したんですが、絵的に美しかったので実写版になっても目を見張る美しさがありますね。楊端和のマスクと爪が欲しくなりました(笑)。英語字幕付きで本編を観たいなと思いますが、字幕がなくても視覚的に物語を語ってくれるのかなとも感じました」と称賛した。

また原は映画の製作時、スタッフ陣に「『ゲーム・オブ・スローンズ』を観てください」と伝えていたと告白し、「『キングダム』の映画は成キョウという悪役が鍵を握っていると考えていたんです。薄っぺらい悪役は簡単に作れますが、誰が見ても嫌いだけど何か惹きつけられる悪役を作るのってすごく難しくて。『ゲーム・オブ・スローンズ』に出てくるジョフリーがまさに最高の悪役だと思っているんです。原作の『キングダム』に登場する成キョウは、僕が当時まだ未熟だったということもあり、悪役として完璧というところまでは描ききれていなくて。映画を作るにあたっては『ジョフリーを観てください』というところをまずお伝えしました」と回想。この発言を受けデヴィッドは「僕らが『ゲーム・オブ・スローンズ』を撮る上でビジュアル的にインスパイアを受けたのは、黒澤明監督の『乱』だったんじゃないかと思うんです。そんな黒澤監督もシェイクスピアの影響を受けているわけで、影響し合うことって国境がないんだなと感じますね」と述べた。

※成キョウのキョウは虫偏に喬が正式表記。