劇場アニメ「サイコト」7月22日公開決定、AJでイシグロ監督が脚本についてトーク

「AnimeJapan 2021」ステージの様子。左から司会の藤津亮太、イシグロキョウヘイ監督、脚本担当の佐藤大。

劇場アニメ「サイダーのように言葉が湧き上がる」の新たな公開日が7月22日に決定。本日3月27日に行われた「AnimeJapan 2021」のAJスタジオステージにて発表された。

昨年5月15日に封切り予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて公開延期となっていた「サイダーのように言葉が湧き上がる」。人とのコミュニケーションが苦手な俳句少年・チェリーと、コンプレックスを隠すマスク少女・スマイルが、言葉と音楽で距離を縮めていくボーイ・ミーツ・ガールストーリーだ。監督・脚本・演出をイシグロキョウヘイが務め、チェリー役を市川染五郎、スマイル役を杉咲花が演じた。

イベントには、イシグロ監督と脚本を担当した佐藤大が登壇。「【プリプロダクション】作品の骨格を作る脚本」をテーマにしたトークを展開した。「企画自体はフライングドッグから音楽もののオリジナルアニメのお話をいただいて、1年半くらい自分1人で回していた」と語るイシグロ監督。しかしうまくいかなかったため、自ら佐藤に声をかけたと明かす。そんな佐藤は「元々、イシグロ監督から最初に頂いたときはSFものだったんです(笑)。でも監督から『現代劇ベースに変更したい』と相談され、共同執筆という形でお互いに意見を出し合って、それを融合しながら作り上げていきました」と続けた。

同作のキーワードとなる“ショッピングモール”“アナログレコード”“俳句”について、イシグロ監督は「1km圏内の限定的な場所で展開されるストーリーにしたいと思い、地方の風景が感じられるショッピングモールを舞台にしました」とコメント。また「音楽に関わる記憶を辿る話にしたいと思い、実際にレコードの現物を脚本の打ち合わせの場に持って来たりして、互いに出てくるキーワードをピックアップしていきながらプロット化していきました」と述べる。モノローグに頼った作品にしたくなかったという佐藤は「モノローグに匹敵するような心情のピンを打つものとして、最初にラップを思いつきました。ラップで練っていく中で、いとうせいこうさんの『俳句はラップの始祖だと思う』という言葉に感銘を受け、ラップから俳句へと繋がっていきました」と、“俳句”というキーワードに辿り着いた経緯を明かした。

またイシグロ監督は、脚本の制作過程を振り返り「脚本は佐藤さんが大元を担当して、自分は4パートのシナリオうち1パートを担当。お互いが壁役になるとすごく意見が出しやすくて、1人で作業しているときには考えられないくらいのスピードでシナリオのアイデアが浮かんでくるんです。お互いアイデアをポンポン出し合って作り上げていったので、正直どっちが先に出したアイデアなのかわからないものもたくさんあります(笑)」と、共同脚本の面白さを語った。

最後、アニメ業界を目指す人へのメッセージとして、佐藤は「アニメ以外に好きなことを隠し玉として1つ持っておくこと! 僕にとっては『音楽』です。まさにこの作品でもそうでした」、イシグロ監督は「最終目標がアニメの監督だからといって、とにかくアニメの勉強をしなきゃ!ということはまったくないです。それよりも感性を磨いてほしい。技術は後からいくらでも付いてきますから。自分の中の好きを先鋭化することが大事です」と述べ、イベントを締めくくった。

劇場アニメ「サイダーのように言葉が湧き上がる」

2021年7月22日(木)全国公開

スタッフ

原作:フライングドッグ
監督・脚本・演出:イシグロキョウヘイ
脚本:佐藤大
キャラクターデザイン・総作画監督:愛敬由紀子
音楽:牛尾憲輔
アニメーション制作:シグナル・エムディ×サブリメイション
配給:松竹
製作:サイダーのように言葉が湧き上がる製作委員会

キャスト

市川染五郎、杉咲花 / 潘めぐみ、花江夏樹、梅原裕一郎、中島愛、諸星すみれ / 神谷浩史、坂本真綾 / 山寺宏一

(c)2020 フライングドッグ/サイダーのように言葉が湧き上がる製作委員会