映画「累」初日舞台挨拶、土屋太鳳「ニナと累を抱きしめてあげてください」

「累-かさね-」初日舞台挨拶。左から佐藤祐市、芳根京子、土屋太鳳、浅野忠信。

松浦だるま原作の実写映画「累 ―かさね―」の初日舞台挨拶が、昨日9月7日に東京・TOHOシネマズ日比谷で行われた。

「累 ―かさね―」は、自身の醜い容姿にコンプレックスを抱きながら生きてきた累が、魔法の口紅と天性の演技の才能でのし上がっていく姿を描くサスペンス。舞台挨拶には累とニナを演じ分けた土屋太鳳と芳根京子、元演出家・羽生田釿互役の浅野忠信、佐藤祐市監督が出席した。

土屋が「きょんちゃん(芳根)とかなりキスをさせていただいて……うれしかったです!」と微笑むと、芳根も「させていただきました。何回も何回もですね! テストのときから100回くらいですかね。太鳳ちゃんとのキスは挨拶です」と明かし、楽しそうに顔を見合わせる。土屋が「(キスをしたあと)もとに戻るときのテンションが難しかったですね」と続けると、佐藤が「決して百合ものの映画ではございません」とツッコミを入れた。

2人の演技を見ていた浅野は「激しくぶつかったり支え合っている2人を見て、僕もそれを楽しんでいました」と振り返り、また本日、関ジャニ∞のコンサートのため不在となった演出家・烏合零太役の横山裕の名を挙げ「今日は横山くんになったつもりでがんばろうと思います。実は中身が入れ替わっていて、本物の浅野は東京ドームにいるのかもしれません」と述べ、観客を笑わせた。

顔を入れ替える2人の女優を演じた土屋と芳根のタイプの違いを問われると、浅野は「言葉ではうまく表現できないけど、まったく違うなと思ってました」とコメント。続く佐藤は「芳根ちゃんはロジックで理解しながら、太鳳ちゃんは自分の中で言葉で落とし込んでいくタイプ。それを浅野さんはニヤニヤしながら見ていたっていう」と暴露。浅野が「見ていて楽しかったですね。でも役に入りすぎて、こっちの世界に還ってこれるのかなってドキドキしました」と告げると、佐藤も「ずっとイチャイチャしてて、手をつないでるんですよね」と振り返った。

作中では女優としてぶつかり合った土屋と芳根。「女優魂に火がついたのでは」いう質問に、芳根は「駐車場で(土屋に)踏みつけられるシーンでは『こんにゃろ』と思いましたけど(笑)、でもそれは累として。太鳳ちゃんと手を取り合ってやってきたから乗り越えられたと思う」と語る。また土屋も「きょんちゃんといかにコミュニケーションを取るかを大事にしていました。累は美しささえあればと思っていて、ニナは才能さえあればと、それさえあれば生きている意味が手に入ると思っているんですけど、それだけでは幸せになれないと思う。自分に欠けているものを認めて、それを持っている人がいたらその人を尊重して、愛情によって分かち合うことが大事なんだなってことをこの作品に教えられました」と真摯に言葉を重ねた。

さらに本作を演じて得たものについて、土屋は「この作品をやって、人生の中で大切な鍵をいただいたなと思います。この作品が自分にとってどういう節目になるかは、これから先自分がどう歩んでいくかに掛かっていると思う」とコメント。そして芳根は「自信をもらいました。朝ドラが終わったときに、演出家の方に『もうちょっと自信を持ったほうがいいよ』って言われて悩んだ時期もあったんですけど、自分の中に見つけることができなかった感情をこの『累』という作品で引き出してもらいました」と思いを馳せる。そんな2人の言葉に、佐藤監督は「2人にとっていいエポックになるような作品に関われたと思うとすごくうれしいし、まだ若い役者さんが真剣にまっすぐがんばっている姿に、僕らおじさんたちも触発されました」と感慨深げに語った。

最後、芳根は「今日を迎えられて幸せです。完成披露のときは怖いという気持ちがあったけど、今はうれしい気持ちでいっぱい。たくさんの方に『累』を広めてもらえるといいな」、土屋は「この挨拶を終えると私たちの役割が全部終わってしまうので寂しいです。でも今日から『累』は皆さんのもの。累のもつ傷やニナの持つ絶望は誰の心にもあると思います。どうか口紅の記憶と一緒に絆を持ってニナと累を抱きしめてあげてください」と述べ、舞台挨拶は幕を閉じた。「累 ―かさね―」は全国公開中。

(c)2018映画「累」製作委員会 (c)松浦だるま/講談社