「グレンラガン」は“原点” 今石洋之&中島かずきが15周年で回顧、そして15年後は

「劇場版 天元突破グレンラガン」公開15周年記念舞台挨拶にて。左から今石洋之監督、脚本の中島かずき。

「劇場版 天元突破グレンラガン」の公開15周年を記念した舞台挨拶が、本日9月6日に東京・グランドシネマサンシャイン池袋で行われ、今石洋之監督と脚本の中島かずきが登壇した。

2008年9月6日の「劇場版 天元突破グレンラガン 紅蓮篇」公開からちょうど15周年を迎えたこの日。今石監督が「当時観た人どのくらいいますか?」と呼びかけると多くの人の手が挙がり、一方で「グレンラガン」自体をこの日初めて観たという人も。中島は「わけわかんなかったでしょう(笑)」と笑いつつ、作品が今も広がり続けていることを喜んだ。

劇場版の前年、2007年放送の「天元突破グレンラガン」で、初めてTVシリーズの監督を務めた今石。放送が終わった日にはガイナックスの庭に集まり朝からバーベキューをやったそうで、「そのくらい全身全霊だった」と振り返る。「初監督だったので、何をやったら失敗するかを知らなかった。あれ以来やってないことがけっこうあります。1クールで設定を全部捨てるとか(笑)。50本分の内容を26本分に詰め込もうってつもりでやってたんです」と初監督ならではの充実ぶりに触れるも、中島はそのスタンスはあまり変わっていないと感じているようで、「『キルラキル』のときも最初にどんな部活動があるかを延々考えたけど、全然出してないじゃないですか。そういう作業って大事ですよね」と楽しげに続けた。

この日上映された「紅蓮篇」で思い出に残っているシーンを尋ねられると、2人が揃って挙げたのはヨーコとアディーネのキャットファイト。中島は「かなり初期からやろうと話していて、ウキウキして書いた」と話し、「“ここアクションよろしく”って書くのではなくて、できるだけアクションのアイデアを脚本の段階で入れたいと思っていた」とこだわりを明かす。また今石監督は終盤の“ギガドリルブレイク大グレン団スペシャル”のカットにも触れ、「『サイバーパンク エッジランナーズ』を作ったときに、吉成(曜)さんが『ああいうカットがないからやり足りない』みたいな空気を出してた(笑)」と、クリエイターにとってもやりがいのあるシーンであったと振り返った。

のちのスタジオ・TRIGGERの主要メンバーが最初に集まった作品でもある「グレンラガン」。今石監督は「それまでは自分1人で作るようなスタンスでしたが、『グレンラガン』で集団で作ることをかなり意識して、今もその作り方でやっている。自分の基盤を作った作品」と述べ、中島も「若い人や世界のファンへの響き方を感じて、『アニメってこんなに可能性があるんだ』って感じさせてくれた。今の自分があるのは『グレンラガン』があったから」と、2人ともにとって原点のような作品だと話す。MCに「グレンラガン」とTRIGGER作品に通ずるところはあるかと問われると、今石監督は「お客さんのほうが『いつも一緒やんけ!』と思ってるんじゃないかな(笑)」と回答。中島も「『ものすごい新しい肉まんです!』みたいな。新しくても肉まんは肉まん(笑)。でも肉まんは美味しいじゃん、ってことですね」と続け、2人は顔を見合わせて笑った。

最後に「15年後の自分はどうなっていると思いますか?」と聞かれた2人。現在64歳の中島は「俺、80歳ですよ。15年後にも新作を発表できていたらうれしいですね」と意欲を見せ、同意する今石監督に「監督は80歳過ぎたら、宣伝しないアニメを作ればいいんですよ!」とアドバイスして観客の笑いを誘う。そして「15年後にも『グレンラガン』が劇場でかかっていたらうれしいね」と続けて拍手を集め、2人はこの日集まった観客とまた池袋で再会したいと展望を語った。

2007年4月から9月に放送されたTVアニメ「天元突破グレンラガン」。劇場版は全セリフ録り下ろし、新規カットを多数追加した「紅蓮篇」「螺巌篇」から構成される。今年15周年プロジェクトとしてリバイバル上映が行われるほか、9月27日には4K Ultra HD Blu-ray Discが発売される。

(c)中島かずき・今石洋之・プロジェクト「グレンラガン」