「SLAM DUNK」終映に向けたイベントに井上雄彦が登壇「マンガと同じ気持ちで作ってきた」

「COURT SIDE in THEATER FINAL」の登壇者。左から赤木剛憲役の三宅健太、流川楓役の神尾晋一郎、宮城リョータ役の仲村宗悟、井上雄彦、三井寿役の笠間淳、桜木花道役の木村昴。

井上雄彦が原作・脚本・監督を務めるアニメ映画「THE FIRST SLAM DUNK」のトークイベント付き上映会「COURT SIDE in THEATER FINAL」が昨日8月15日に東京・丸の内TOEIで実施された。

2022年12月3日に公開され、8月13日時点で観客動員は1057万人、興行収入は152億4300万円を突破している「THE FIRST SLAM DUNK」。「COURT SIDE in THEATER FINAL」は8月31日に国内の上映が終了することに併せて実施され、トークイベントの第1幕に宮城リョータ役の仲村宗悟、三井寿役の笠間淳、流川楓役の神尾晋一郎、桜木花道役の木村昴、赤木剛憲役の三宅健太、第2幕に原作・脚本・監督の井上が登壇した。

公開から256日という異例のロングランを記録した「THE FIRST SLAM DUNK」。三宅は「応援してくださってる皆さんの熱意がこんなにも消えないというのは初めての経験。『感動しました』というような声を聞くたびに、緒を締め直さなきゃいけないなという気持ちです」と語ると、仲村は「ここまでくると、もう終わってほしくないですよね」と呼びかける。すると木村が「あの……終わらせません!」と宣言し、会場からは笑いとともに大きな拍手が鳴り響く。

神尾は「バスケの試合を大勢の人と一緒に観るという体験が、今月末までなんだなと思うと寂しい」と上映終了を残念がりながらも、「一緒に観戦する、共通の感覚を楽しむということを、残りの日数も沢山の方と存分に楽しんでいただければと思います」とアピール。笠間は「僕はスラムダンクに出会ってバスケを始めて、そして三井寿に憧れて、そして何の運命か、こういった形で三井を演じさせていただくことになりました」と振り返り、「同じように映画を見て、バスケしてみたいと思う小さな子供たちであったり、昔やってたけどもう一度バスケしてみるかというような人がたくさんいてくれるといいなと思います」と自身の経験に重ねた言葉を紡ぐ。そして仲村は「僕のスラムダンクはまだまだ続いていきます。だからこの言葉で締めさせてください。『行ってくる』」と、自身の演じたキャラクターである宮城リョータのセリフで締めくくった。

声優陣が降壇すると続いて井上が登壇。公開してから心境の変化について質問されると、「公開前はすこしでもよくしたいという気持ちで、ベストを尽くすことだけ考えていた。映画は完成したとはいえ、観てもらわないと存在価値もない。お客さんに観てもらって、その人の中に届く、伝わった時にやっと完成するという気持ちなので、伝わってくれるといいなと思いながら過ごしてました」と振り返る。また「円盤(DVDやBlu-ray)は出ますか?」という質問に対しては、「出した方がいいですか?」といたずらっぽく問いかけ、場内に大きな拍手が鳴り響く。

最後、井上は「この映画は、スラムダンクという名前のもう一本の樹です。物を作るときに、“予定調和”ってことはしたくない。ただなぞるとか、移し替えるとかはあまりそそられない。それで、この映画もちょっと違う感じになったかなと思います」とコメント。さらに「マンガを描くときに何を大事にしてたかというと、マンガでページをめくった先で驚いてほしい、ワクワクしてほしい、喜んでほしいという気持ちが根っこにあるんですね。同じ気持ちでずっと作ってきました。伝わって完成すると言いましたけど、段々完成しつつあるのかなという感じがしてます」と感謝のメッセージが伝えられた。

なお同イベントの模様を収録・編集した映像付きの特別上映が、8月25日から31日の7日間限定で全国の劇場で実施予定だ。