「富野由悠季の世界」記者発表会、富野監督が「新しい生き方の方向性を発見して」
「機動戦士ガンダム」などで知られる富野由悠季監督にスポットを当てた展覧会「富野由悠季の世界」の記者会見が、本日4月23日に東京都内にて行われた。
6月22日の福岡・福岡市美術館を皮切りに全国6会場を巡回する本展覧会。「機動戦士ガンダム」などのガンダムシリーズ、「伝説巨神イデオン」「聖戦士ダンバイン」といった数多くのオリジナルアニメーションの総監督を務めた富野の50年以上にわたる歩みを振り返りながら、それぞれの時代や人々に与えてきた影響や、彼が訴え続けたメッセージとは何かを紐解く内容となっている。
会見には富野監督をはじめ、本展の企画に携わった現在展覧会の開催が決定している各美術館の学芸員と神戸新聞社アート事業部長の養父尚三氏が登場。養父氏は「富野監督のアニメーションや映画にかける情熱と、各美術館の学芸員の熱意によって実現しました。『機動戦士ガンダム』の放映40周年に当たる今年。監督のキャリアを振り返る初の大回顧展を開催することは大変貴重な機会になると感じております」と挨拶し、富野監督やサンライズをはじめとした各所の協力に感謝を述べる。
続いてこの日集まった学芸員を代表し福岡市美術館の学芸員・山口洋三氏は「たくさんある富野監督の作品を割り振り、各担当が作品を研究しまとめるという方法で進めてきました」と、富野の少年時代のスケッチから「ガンダム Gのレコンギスタ」までを6つのパートに分けて展示することについて説明。さらに「出品点数がすでに1000点を超えています。通常の美術展が7、80点程度といえばその多さが伝わると思います」と大規模な展覧会であることを伺わせた。青森県立美術館の学芸員・工藤健志氏は「企画するメンバーが複数ということで、展示がバラエティに富んでいます。本当に切り口がさまざまで、あるパートでは主人公を紹介していないくらい尖った切り口の展示をしています。」とアピール。さらに「今までのアニメ展とは違う画期的な切り口の展覧会にと、監督からのオーダーもいただいたので、それに応える形で作ってきました。この展覧会で富野監督の世界をすべて理解していただくというよりは、ここをきっかけに皆さんが富野監督について考えるような展覧会になればいいなと思っております」と期待を込めた。
会見の最後に挨拶した富野監督は「こういう形でご支援をいただいて、催しものをさせてもらえることは本当にありがたいと思っております」と感謝を述べる。また「アニメやマンガから始まったものが1つの文化として認められていった潮流のようなものがあるならば、そういうものをこれ以後の世の中に対してどういうふうに投下していくのか、どういうふうに広めていくのかということをお考えいただきたいと思います」とメッセージを送り、「これ以後のメディアが果たすべき役割とか、どういうメッセージを伝えなければいけないのかということを考える課題みたいなものは、この『富野由悠季の世界』が含んでいるのではないかということは、おごり高ぶって自分自身で語ることができます」と自信を覗かせた。
さらに富野監督は「たとえ巨大ロボットアニメであっても、メッセージ性、ドラマ性というものを含むことができるのだということは、実験的かもしれませんけども自分なりにやってきたつもりです」と自作に言及。展覧会へ足を運ぶ人へ向けて「そういった部分を何か読み取っていただいて、新しい生き方の方向性というものを発見していただければありがたいと思います。そういう礎になるような展示であってくれたらいいなというふうに望んでおります」と話し挨拶を締めた。
「富野由悠季の世界」
第1会場
会期:2019年6月22日(土)~9月1日(日)
会場:福岡市美術館
第2会場
会期:2019年10月12日(土)~12月22日(日)
会場:兵庫県立美術館
第3会場
会期:2020年1月11日(土)~3月23日(月)
会場:島根県立石見美術館
第4会場
会期:2020年4月~6月
会場:青森県立美術館(予定)
第5会場
会期:2020年7月~9月
会場:富山会場(予定)
第6会場
会期:2020年9月~11月
会場:静岡県立美術館(予定)