新サービス「ピッコマTV」など発表、マンガ原作のドラマやアニメを中心に配信
マンガアプリ・ピッコマの事業発表会「ピッコマものがたり2018」が、本日4月17日に東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズにて行われた。
発表会にはカカオジャパンの金在龍社長が登壇し、まずは2016年にマンガアプリ業界に参入したピッコマのビジネスモデルを振り返った。サービス開始当初は、「1日待てば0円で読める」というピッコマのサービス内容について、出版社からの許諾を得るのが難しかったと語り、しばらくは「自社の社員しか使ってないだろうな」という日々を過ごしたという。
ピッコマの特徴として、広告掲載がないことが上げられる。サービスが軌道に乗り始めると「アプリの中に広告を入れませんか」という話が来るようになるが、すべて断っていると語る金社長。「子供が作品にお金を払うという習慣を作りたい。広告は大人が子供の代わりにお金を出してあげる方法。しかし作品に対して、その価値をわかって、その価値にお金を払うのが健全なビジネス」と、ピッコマに広告を入れない理由について語った。また無料で読めるまでのチャージ時間を個人ごとに設定するシステムや、作品ページのバナーをフォーマット化せず、作品の世界観を大事に1つずつ制作していること、さらにムロツヨシを起用したテレビCMはプラットフォームの宣伝ではなく作品をメインにしている、といったこだわりも披露。5月からオンエアされる新CMも公開したほか、パッケージから課金方式に変わったゲーム業界にマンガ好きが吸収されていることを憂い、ゲームに取られている人たちをマンガの読者に戻したいと述べた。
また新サービスとして「ピッコマTV」を今夏リリースすることを発表。金社長は「新しいビジネスモデルで、映像や作品を好きになる機会を作りたい」と述べ、まずはピッコマとのシナジーを出すため、マンガ原作のドラマやアニメを中心に配信を行うと語る。さらにその初タイトルとして中村光原作のテレビドラマ「聖☆おにいさん」をピッコマTVで公開することを明かし、ドラマの製作総指揮を務める山田孝之、監督・脚本の福田雄一、イエス役の松山ケンイチ、ブッダ役の染谷将太からのメッセージVTRを上映した。そのほか今後の展開について、日本、中国、韓国の3国で作品を集め競争させていくことや、ノベルへの本格参入、京都精華大学と共同プロジェクトが指導することも伝えられた。
また本日のイベントでは「ピッコマ AWARD 2018」を発表した。売上、気に入った作品を評価するハートの数、継続閲覧者数などを加味し、「RAINBOW」「AURORA」「STAR」の3つ賞を用意。「RAINBOW」にはあずみきしの「死役所」、「AURORA」にはMeen原作によるBaekdoo「復讐の毒鼓」、「STAR」には美嘉原作による羽田伊吹「恋空 切ナイ恋物語」が輝き、授賞式も執り行われた。
その後の質疑応答で、海賊版サイトの影響や対策について問われた金社長は「海賊版サイトは非常に大きい問題」とするも、現在は大手出版社の作品の配信が少ないピッコマでは、そこまで大きな影響はなかったと回答。また海賊版サイトの問題を「ユーザーの認識を変えていくのが重要」と述べ、「漫画村の場合、サイト運営も利益を得ている広告も含め、マンガが利用されているのが問題。ユーザーの認識を『作品に価値を払う』という考え方に変えていくことが根本的に必要だと思う」と語った。