ヤマザキマリが心の師と仰ぐ作家・安部公房の思考を読み解く1冊
ヤマザキマリの著書「壁とともに生きる わたしと『安部公房』」が、NHK出版より発売された。
ヤマザキが心の師と仰ぐ安部公房は、芥川賞作家、劇作家、演出家としても世界的にその名が知られる作家。同書は安部の作品に触れながら、彼の持つ鋭い“観察の思考”をヤマザキの視点と体験から読み解いた1冊だ。ヤマザキはプロローグで、「私たちは今、パンデミックと戦争というまさに百年前に近い不穏な世界情勢の只中に生きている。だからこそ第二次世界大戦後の混乱のなかで、あらゆる予定調和の崩壊、そしてあらゆる不条理と対峙しつつも、表現という手段を武器に毅然として生き延びてきた安部公房という作家の作品は強い説得力を持つ。彼の作品を軸に思索することで、今の時代を乗り越えるためのあらゆる示唆を感受できるのではないかと思う」と述べている。
なおヤマザキは、6月にNHK Eテレで放送予定の「100分de名著」に出演決定。同番組では「安部公房 砂の女」の回の講師を務める。