「モブサイコ100 II」悩み続けたモブの到達点、伊藤節生ら登壇の最終話上映会

左から立川譲監督、霊幻新隆役の櫻井孝宏、影山茂夫役の伊藤節生、松澤千晶アナウンサー。

ONE原作によるTVアニメ「モブサイコ100 II」の最終話先行上映会が、去る3月28日に東京・新宿バルト9で開催され、影山茂夫役の伊藤節生、霊幻新隆役の櫻井孝宏、立川譲監督が登壇した。

すでにオンエアされている第12話と、最終回となる第13話の先行上映を終え、響き渡る拍手の中迎えられた3名。第2期もついにエンディングを迎えることについて、立川監督は「今は寂しいという気持ちが大きい。ホッとしたという気持ちと、作り終わっちゃったな、もうちょっと作りたいなという気持ちもある」と素直な心境を述べ、物語のラストについては「構成のときはどうやって終わらせるか考えたんですが、これが一番ベストだったかなと」と振り返った。

伊藤は「2期はいろんなお話があっていろいろ大変ではあったんですが、1期の終わりの時点で、2期があるなら(鈴木統一郎役の井上)和彦さんと戦わなければいけないんだと思っていたので。そういう意味ではやっと来てしまったかと」と述べつつ、「台本をもらってからどうしようとずっと考えていたんですが、完成した映像を観てホッとしました」と述懐。司会の松澤千晶アナウンサーからは「相棒(エクボ)は大塚明夫さんで、(最上啓示役の)石田(彰)さんに立ち向かって……」と同作での伊藤の活躍ぶりが触れられ、櫻井も「声優界の名だたる方々と……」と続ける。伊藤は「僕が子供の頃から観ていた役者さんを続々と倒さなければいけなくて。役者・伊藤節生としても本当に大変だった2期でした」と思い返すと、櫻井からは「じゃあもう和彦さんは倒したということで?」と確認され、「いやいやいや!(笑) 倒せていないです!」と弁解し、「最後は(統一郎に)歩み寄った形になったと思います」と述べた。

櫻井も「『モブサイコ』は毎回ビジュアルのパワーがすごい。絵を観ているだけで感動するし、興奮するし面白い。モブの成長や変化もありつつ、モブはモブなんだという閉じ方をしていて、素敵なラストだったなと思います」とエンディングへの感想を口にしながら、「セリフを追加したのって最終話ですよね?」と立川監督に問う。立川監督は最終話にはないはずの予告用の15秒間を空けたままにしていたことを、アフレコ当日に音響監督から指摘され、急遽セリフを追加したというエピソードを披露する。「『大丈夫?』と言われて、本当は『どうしよう』って焦ってたんですけど、『あー、そうでしたね! 紙とペンあります?』って平静を装っていました(笑)」と当時の様子とともに制作秘話を明かした。

また12話での霊幻の行動について、櫻井は「あそこに赴くというのは、彼なりの変化があったと思う。モブにも助けられているので、自分が助けに行くではないですけど……。死んじゃうかも、くらいは思っていたかもしれないですね」と話しながら、「今までにないシリアスな表情をしていて。お芝居のときも監督から『もっとシリアスに』と指示をいただきました」とディレクションの様子を説明。伊藤は統一郎との戦いのシーンについて「原作だとモブの感情がテロップで出るんですよ。それがアニメではなくて、感情の方向を決めるのに僕の中で戸惑いがありました」と語り、立川監督は「モブくんが揺れ動いてる最中にテロップで(感情を)出してしまうのは説明的になりすぎちゃうかなと。それよりはモブくんの表情やセリフ、演出的な部分でどういう感情なのかを見てもらいたかった。伊藤くんが悩んで揺れ動いてることは狙いでした」と話し、伊藤は「監督の手のひらで踊らされてたんですね!」と驚きつつも、「マンガと映像の違いですかね」と頷いていた。

イベントの終盤、インフォメーションのコーナーでBlu-ray / DVD全6巻の発売がアナウンスされると、松澤が観客へ「すでに予約したよという方?」と質問。客席からは多くの手が挙がり、松澤が「師匠、これはどういう判断ですか?」と、おなじみとなったセリフを櫻井に振ってみるが、不意を突かれた櫻井は思わず「……はいっ?」と気の抜けた声を上げてしまう。会場から笑いが起こる中、「すみません、ボーッとしてました(笑)。『正しい判断です』」と訂正し、客席からは拍手が贈られた。

最後に伊藤は「2期はここで終わりますが、モブくんとしては悩み続けた2期の到達点と言える場所なんじゃないかと。完結というと寂しく感じますが、モブくんの成長としてはいいゴールテープを切れる話数なんじゃないかと思っています」と挨拶。立川監督は「1期から考えるとけっこうな年数を『モブサイコ』に費やしてきましたが、一切悔いはありません。2期は作り終えましたが、またさまざまな形で皆さんの前に立てるとうれしいなと思っています。本当に今まで応援ありがとうございました。これからもお願いします」とメッセージを贈った。

(c)ONE・小学館/「モブサイコ100 II」製作委員会