映画「サユリ」押切蓮介と白石晃士監督は両思い「5、6年かけて実現にこぎつけた」

左から押切蓮介、南出凌嘉、根岸季衣、白石晃士監督。

押切蓮介原作による実写映画「サユリ」の完成披露舞台挨拶が、本日8月8日に東京・新宿バルト9で実施された。イベントには神木則雄役の南出凌嘉、おばあちゃん役の根岸季衣、原作者の押切蓮介、白石晃士監督が登壇し、映画に関するトークを繰り広げた。

8月23日に全国公開を控える映画「サユリ」。完成した本編を観ての思いを、押切は「人間の(霊への)逆転劇をずっと観たかったので、やっと観ることができて楽しかったです」と述べ、「南出さんが卑猥な言葉を言うシーンは白石節が効いていました」と語る。白石監督も「5、6年かけて実現までこじつけた映画なので、非常にうれしかったです。もちろん原作ありきの話でありますが、Jホラーにこういった作品がなかなかなかったので『ついにやってやったぞ』という気持ちです」と述懐した。押切はもとより白石監督のファンであり、映画化が決定した際は「クラスでずっと狙っていた女の子と両思いになった気持ち」と表現。白石監督も、映画のプロデューサーである田坂公章から「サユリ」を読んでみてくださいと勧められたことが映画化のきっかけだったと話し、自分が監督をやるべき作品だと思ったことを明かした。

初のホラー映画主演を務めた南出は完成映像を観ての感想を「ホラー映画なのにおもしろい、切ない、爽快感、満足感が感じられてすごいおもしろかったです」と述べる。演技の面では則雄の感情、恐怖を観客に共感してもらえるよう演じることを決めていたと話し、「役と対話しながら楽しく演じることができました」と振り返った。また現場では白石監督が怖かったと明かし、「(白石監督は)いつも的確な指示をしてくれるんですけど、いつも足音がなくて気づいたら背後にいて。怖かったです」と言うと登壇者たちは笑顔を見せた。

作品にかなり入れ込んでいたと言う根岸も、「できあがりが待ち遠しくて、予告編ができたときは『カッコいいじゃん?』っていい気になっていました」と映像が完成したことに喜びをあらわにする。現場で太極拳のためにランニングをしていたという南出のエピソードに対して、「私は鍼の先生にわざわざ来てもらっていましたよ(笑)」と笑いながら話した。また作中で古いロックがラジカセから流れてくるところでテンションが上がったと語り、監督と初めて会ったときに「これジャニス(・ジョプリンのようなイメージ)で演じませんか」と演技プランを持ちかけたことを告白。実際にジャニスのイメージで演技した根岸を観て、押切も「なぜ原作であれをやらなかったのかって思うくらいよかったです」と賞賛していた。

印象に残っているシーンやセリフを聞かれると、南出はおばあちゃんの「復讐じゃー!」と言うシーンを挙げ、「ばあちゃんと則雄の感情が昂ってシーンが転調する大事なところで、涙なのか怒りなのか困惑なのか、(則雄の)その複雑な感情を維持しようとがんばりました」と振り返る。根岸は「命を濃く」というセリフが好きだと明かすと、南出も同じセリフが好きだと言い、「このセリフは私生活でも元気づけてくれて。よく寝てよく食べがんばるぞと、撮影中もそれ以降の生活でも支えになっていました」と話した。押切は根岸の「ポリ公」という言い方がよかったと述べると、根岸は「脚本通りです(笑)」と強調。白石監督は「『祓って済ませるつもりはねえ』とおばあちゃんが唾を吐くシーンを挙げ、なかなかきれいに唾を吐くのが難しいシーンだったため、唾はCGで付け足していると解説した。

押切は「この映画が終わったら自分のピークは終わるのではと思っていましたが、今回会場にいるお客さんを見ていたら、もっともっとおもしろいマンガを描かなきゃなと思って、一層気合が入りました。皆さんありがとうございます」と観客に向けて感謝を送る。最後に白石監督が「この映画は絶望にどう立ち向かうか、しっかり生きれば希望も見えるんじゃねえの、と言うのをねじこんだような作品になっております。そういうホラーがあってもいいんじゃないかなと。楽しんでいただけたらと思います」と締め、イベントは閉幕した。

「サユリ」は、とある家族が夢のマイホームへと引っ越した途端、次々と不可解な現象に襲われるホラー。映画は8月23日に全国公開される。

映画「サユリ」

2024年8月23日(金)全国公開

スタッフ

監督:白石晃士
原作:押切蓮介「サユリ 完全版」(幻冬舎コミックス刊)
配給:ショウゲート

キャスト

南出凌嘉、梶原善、占部房子、森田想、猪股怜生、きたろう、根岸季衣、近藤華

(c)2024「サユリ」製作委員会/押切蓮介/幻冬舎コミックス