劇場版「PSYCHO-PASS」2作目、東地宏樹「欽隆さんも劇場のどこかにいると思う」

左から須郷徹平役の東地宏樹、狡噛慎也役の関智一、塩谷直義監督。

「PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.2 First Guardian」の初日舞台挨拶が、本日2月15日に東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズにて開催された。

「PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System」は、宜野座伸元と霜月美佳を軸にした「Case.1 罪と罰」、須郷徹平と征陸智己を軸とした「Case.2 First Guardian」、狡噛慎也を軸とした「Case.3 恩讐の彼方に__」の劇場3作品。本日行われた舞台挨拶には、須郷徹平役の東地宏樹、狡噛慎也役の関智一、塩谷直義監督が登壇した。

舞台挨拶では2月1日に食道がんで死去した征陸智己役の有本欽隆に話が及ぶ。東地は「実感が湧かない」と現在の心境を吐露。「収録をしたのが2年半ほど前で、具合が悪いというのは聞いていましたが、必ず元気になって完成した頃には一緒に舞台挨拶ができるんじゃないかと思っていました」と話す。さらに「作品を観てもらえば、僕が知っている有本欽隆という役者がそこにいます」と観客へメッセージを贈った。

関は自身がドモン・カッシュ役で主演を務めたアニメ「機動武闘伝Gガンダム」にて、有本が父であるライゾウ・カッシュ博士を演じていたことを振り返る。「PSYCHO-PASS」のTVシリーズ収録のときに有本から「この話は何が面白いんだ、俺には全然わからんよ」と話しかけられたことを笑いながら明かし、「(TVシリーズの)最後のほうには征陸の役を気にいって『とっても面白い』とよくお話しされていました」と懐かしんだ。

塩谷監督は有本と収録で会ったときの印象について「トレンチコート姿で台本だけ持って現れて、全部終わったらスッと帰られて。こんなに雰囲気のある方はいない、ダンディを絵に描いたような方でした」とコメント。飲み会で聞きたいことがあると言われ「誰がキャラクターの名前を考えてるんだ、すごいな!それぞれに意味があるじゃないか!」と興奮気味に話されたことを明かし、「それぞれの意味を興味を持って調べてくださって。欽隆さんからそんな話がでるとは」と驚いたことを述懐した。

東地は本作を鑑賞した感想を「なんて男らしい話だろうというそれに尽きる」と表現。「老若男女に受け入れられる人間ドラマが描かれている。欽隆さんとこれをできたことが本当にうれしかった」と語る。関は時代劇「必殺仕事人」シリーズの名前を出し「いつも苛まれている中村主水が最後にスカッと仇を討ってくれる。それに近しいものを感じる」と本作への印象を伝え、「SF的な要素もたくさんあるんですけど、普遍的なみんなが抱えているフラストレーションみたいなものを観終わった後にカタルシスに変えてくれる作品。時代劇かのような雰囲気もあって日本人好きだなっていう感じのお話です」と感想を述べると、この日司会を務め事前に本作を鑑賞していたニッポン放送アナウンサー・吉田尚記も「わかるー!」と同意していた。

最後の挨拶では塩谷監督が「本当は欽隆さんにも観ていただきたかった。観終わって面白かったと思ってくれた方は欽隆さんに届くように拍手などしていただければ」と観客へ呼びかける。関は「有本さんの最後を飾るにふさわしい作品。有本さんからエールを贈られながらの公開開始というような雰囲気も感じています」と話し始める。続けて「悲しい気持ちもあると思うんですけど、純粋に楽しんでいただいて最後に惜しみない拍手を送っていただければ有本さんも喜ばれるのではないかと思います」とコメント。また東地も「欽隆さんも楽しんで観ていってくれよって気持ちが一番強いと思います」と関に同意する。さらに「欽隆さんも劇場のどこかにいると思うので、一緒に作品を堪能していってください」と挨拶を締め、この日登壇した3人に加え有本にも大きな拍手が贈られた。

(c)サイコパス製作委員会