「すごく刺激的だった」片渕須直も語る、メディア芸術祭25年の歩みを振り返る企画展

文化庁メディア芸術祭のイベントに出演した受賞者や関係者、ゲストが執筆したサイン色紙。

文化庁メディア芸術祭の25年の歩みを振り返る企画展が、明日2月4日から14日までの期間、東京・寺田倉庫のB&C HALLとE HALLで開催される。入場は無料。本日2月3日には関係者向けの内覧会が行われた。

25周年の節目に開催される同展では、歴代受賞作品の中から社会やテクノロジーの変化、メディア芸術の表現の多様性を感じられる作品群を展示。マンガ部門からは井上雄彦「バガボンド」のイラスト・原稿の複製原画や、こうの史代「夕凪の街 桜の国」の原画、しりあがり寿「あの日からのマンガ」と津原泰水原作による近藤ようこ「五色の舟」の複製原画、紗久楽さわ「百と卍」のカラーイラストや原稿などが並ぶ。またマンガ部門で初の同人誌からの受賞となった白井弓子「天顕祭」の下絵の数々、伊藤敦志「大人になれば」のネームやアイデアノートも公開された。

アニメ部門からは今敏監督による劇場アニメ「千年女優」の原画や絵コンテ、新海誠監督による短編アニメーション映画「ほしのこえ」の絵コンテ、山村浩二による短編アニメーション「頭山」の原画が登場。またこれまで文化庁メディア芸術祭のイベントに出演した受賞者や関係者、ゲストが執筆したサイン色紙も展示された。そのほか2階ではこれまでの受賞作のマンガが閲覧できる。

なお内覧会にはこうの史代原作による劇場アニメ「この世界の片隅に」の片渕須直監督が出席。25周年という歴史の中で同作品がアニメーション部門の大賞に選ばれたことについて思いを聞くと「こうのさんはこの物語を本当に悩み抜いて描かれていて。『(マンガ部門では)大賞を獲れなかったけど、アニメーション部門で大賞を獲っていただいてありがとう』と言っていただけた」と、こうのとの会話を振り返る。また会場を見渡し「ここで展示されているのを見ても、すごくたくさんの分野が広がっていて、それがすごく刺激的だったんですね。アニメーションだけ見ていたら思いつかないような発想に触れることもできるし、マンガ家の方たちに話しかけていただくこともあって。ある種の異種格闘技のような(笑)、たくさんの分野の人たちが一堂に会することにはすごく意味があったなと思っています。それが次のアニメーションを作るときの刺激になる気がしていました」と語ってくれた。

また2016年に公開されて以降、同作品がファンに長らく愛されていること、今回の展覧会で改めて人々の目に触れることについて伺うと「よく『どの作品が一番好きですか?』と聞かれるんですが、どの作品も自分ちの子供たちのような気がしているんです。でもそれが完成したら独り立ちをして、あちこちに出かけて行って、いろんな人と会ってるんだなと思うとそれがすごく喜ばしかったです。今回の展示でこんな作品があったなというのをまた思い出していただけることが、次の出会いにつながっていくようでありがたいです」と述べた。

「文化庁メディア芸術祭25周年企画展」

会期:2023年2月4日(土)~ 14日(火) ※ 2月7日(火)休館
時間:日曜日~木曜日11:00~19:00、金曜日・土曜日11:00~20:00
会場:東京都 寺田倉庫 B&C HALL、E HALL
入場料:無料
主催:文化庁