かわぐちかいじが映画「沈黙の艦隊」で大沢たかおの姿に太鼓判「海江田がここにいた」

映画「沈黙の艦隊」製作発表イベントの様子。左からアマゾンジャパン合同会社 Prime Video ジャパンカントリーマネージャーの児玉隆志氏、大沢たかお、かわぐちかいじ、松橋真三氏。

かわぐちかいじ原作による「沈黙の艦隊」の製作発表イベントが、本日1月25日に東京のホテル雅叙園東京で開催。かわぐちのほか、海江田四郎役とプロデュースを担当する大沢たかお、プロデューサーの松橋真三氏が登壇した。

製作発表イベントはPrime Videoの成長戦略や新番組を紹介する「Prime Video新年発表会:Meet the Producers 2023」内で実施。映画「沈黙の艦隊」は、“Amazon Original映画”として、Prime Videoが初めて製作する日本の劇場版映画となる。映画「ハケンアニメ!」の吉野耕平が監督を務め、9月29日に公開を予定。イベント内ではティザーPVも公開された。

実写化プロジェクトに参加した経緯を問われた大沢は、「以前松橋さんと電車で移動していたときに『沈黙の艦隊』という作品をどう思うか?と聞かれたんです。すごい作品というのは知っていましたから。その日をきっかけに話し合いをして、だんだん形になっていったという感じです」と振り返る。映画化のオファーを受けた際の心境について、かわぐちは「自分はマンガを描くときに、読者に分かりやすいようにリアルな絵を描いているんです。このマンガは絶対に実写化できないものを描こうと思っているんですが、最初にオファーがきたときは『なんと無謀な』という気がしました」と率直に明かす。続けて「テーマ、スケールともに実写化できないと自信を持っていたんですが、それと同時に、チャレンジする爽快感を感じました。今はできあがったものを早く観たい、と希望がものすごく膨らんでいます」と述べた。

大沢は「実写化不可能と思わせる壮大なスケールで、果たして本当に(実写化)できるのかという疑問から入ったんですが、スタッフなど皆さんの力が集結する中で、これはファンタジーではなく、実現できるのではと思いました。実際に今撮影が始まっているんですが、自分の中でも不思議な気持ちです。半ば諦めながらやってきたので、今この場に立っているのも信じられないですし、映像を自分で観ても信じられません」と心境を明かす。また大沢は、自らかわぐちに実写化に関するプレゼンをしたときのことを思い起こし、「先生に挨拶させていただいたときも、ほぼ疑いの目でしか見ていらっしゃらないなと感じたので、これはがんばらねばなと思いました」と正直に語り、かわぐちを笑わせた。

大沢が王騎を演じた映画「キングダム」シリーズも手がけた松橋氏。企画が立ち上がった当時の思いについて、松橋氏は「大沢さんの王騎を間近で見てきたので、大沢さんの次にふさわしいプロジェクトはなんだろうと考えていました。『沈黙の艦隊』の実写化は昔からずっとやりたいと思っていた企画でしたが、当時は私も若かったし規模感も大きいので実写化に向いてないかもしれないと思っていたんです。でもこれぐらいの企画をご用意しないと、大沢さんにも先生にも失礼だと思って、お声がけしました」と振り返る。また、松橋氏は「この激動の時代に、世界に対して提案できるエンターテインメント作品はこれだと思い、満を持して今やりたいものとして提案させていただきました」とアピールした。

撮影は2022年夏から始まり、今年3月末までを予定。大沢によると、潜水艦を使用するなど、海上自衛隊の協力を得て撮影が進んでいるという。現場に足を運んだというかわぐちは、まず海江田という人物は、自身の作品としては珍しくモデルが存在しないことを説明し、「船内の暗い戦闘指揮所にスポットライトが当たって、そこに白い制服と軍帽の大沢さんが立っているんですけど、大沢さんが帽子のふちをピッと上げると、目がピカッと光って、自分でも『海江田がここにいた』と納得しました」と大沢の佇まいに太鼓判を押す。続けてかわぐちは「俳優さんが持っている肉体性と重力、軍帽と制服の持っている魔力ってあると思います。最近は海江田艦長と大沢さんがオーバーラップしているんです」と述べた。

原作者のお墨付きをもらったにも関わらず、大沢は少々不安なようで、かわぐちが現場を訪れた日のエピソードを語り出す。「サインをもらい損ねていたのでお願いしたところ、海江田と深町の絵を描いてくださったんです。ただサインをいただきたいだけだったのに、感動しました。でも海江田のイラストを見たときに、やっぱり自分が(海江田に)似てないんじゃないかと思って……。現場のこの緊張した空気はどういうことだろう、やっぱり似てないと思っていらっしゃるのかなって、笑顔でかわそうとしましたが……」と心境を語る。苦笑する大沢に、かわぐちは「自信を持ってください」とエールを送った。

最後に大沢は「映像化不可能と言われたんですが、令和の今、我々は挑戦させていただいております。今やるべきと信じていますし、ファンの方や原作を知らない方、皆さんが観て、言葉を失うような力のある日本映画を観せられるように懸命にがんばっておりますので、9月までお待ちいただけましたら」とコメント。かわぐちは「この作品は、混迷の世の中を懸命に切り開いて構築しようとする人の話。その物語を世界の人に観ていただき、登場する人々のエネルギーを感じて同じように熱くなってほしいですね」と語った。

映画「沈黙の艦隊」

2023年9月29日(金)公開

原作:かわぐちかいじ「沈黙の艦隊」(講談社)
プロデューサー:大沢たかお、松橋真三
監督:吉野耕平
制作:クレデウス
配給:東宝

出演:大沢たかお ほか

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