「オネアミスの翼」コップひとつとっても異世界のデザイン、森本レオらが当時を振り返る

左から山賀博之監督、森本レオ、渡辺繁プロデューサー。

長編アニメーション映画「王立宇宙軍 オネアミスの翼」4Kリマスター版の公開初日舞台挨拶が、本日10月28日に東京・新宿バルト9にて開催され、主人公・シロツグ役を演じた森本レオ、原案・監督・脚本の山賀博之、渡辺繁プロデューサーが登壇した。

公開から35年が経って初めてのイベント登壇となった山賀監督は、冒頭「こんなに大きい劇場だと思わなかったので、ちょっと今ビビってます」と緊張した様子。森本も「2、30人で吉祥寺でやるような感じだと思っていたんだけど。すごいなあ」と驚いた様子を見せ、「まだこんなにいっぱいの人に来ていただけるなんて思いもしませんでした。ありがとうございます」と感謝を述べた。

4Kリマスター版となることを聞いたときの感想を求められると、山賀監督は「保存や記録のためにも4Kにしていただいてよかったです。監修という立場から見ても僕の想像以上に、当時の作業している素材まんまのものが観られる」と感動。続いて森本も感想を語ると思いきや「すみません、4Kの意味がよくわかっておりません」とこぼしたため、山賀監督が4Kについて丁寧に説明する場面も見られた。そんな森本は「映画が公開された当時ですら仲間内でも『ディズニー超えとるぞ』と騒いでいました」と当時を振り返り、さらにきれいに観ることができる4Kに対して「むちゃくちゃですね」と言及した。

当時のアフレコ現場ではうまく演じないでほしいとお願いされたという森本。「『三国志』などで多くの役を担当していて、声優っぽくやるのがすごい楽しかったのに、それをやるなってね」と言うと、山賀監督はそれが狙いだったと告白。「声優さんはもちろん上手で、ベテランの方々ばかり。でも声優さんが作っていく演技の世界じゃないもので作りたい、というのがスタートにありました」と話した。

また当時大学生だった山賀監督に出資したきっかけを聞かれた渡辺プロデューサー。「当時は入社4年目の平社員だったので私が決定したわけではないのですが」と前置きをしつつ、「もともとガンダムのモビルスーツバリエーションのビデオを山賀さん中心のダイコンフィルムで作れないかという話があって。(その話の)半年後に山賀さんと岡田斗司夫さんが映画の企画書を練り上げて持ってきたんです」とその経緯を明かす。企画書のどこが響いたのか問われると「企画書ではなく、貞本(義行)さんが描いた1枚の飛行機の絵にピンときました。面白いからやってみようと思ったら、深みにはまってしまった」と回答。そして制作現場はものすごい熱量を帯びていたようで、「コップひとつとっても異世界のデザインになるため徹夜で喧々諤々やっていたわけですね。『ああ、何やってんだこの連中』と思いましたけど、その熱ってほかの現場であんまり見たことなかったので『これはこのままいきたいな』と思ったんです」と胸の内を明かした。

さらに渡辺プロデューサーは作品の制作記録や設定記録が数万点ほど保存されていることを受け、後世に残すために出版物の作成を検討していると話す。来月11月21日よりクラウドファウンディングを実施すると話し、詳細は後日発表だがぜひ協力をとファンに向けて呼びかけた。そのほか4Kリマスター版を実施するに至った経緯や収録時の小話などについて話は尽きない様子だった。

最後に森本は「戦争が終わった頃は3歳で、倉庫の隅でひっそりと本を読み続けていました。そんなある日、母が『字ばっかり読むんじゃないよ。頭が固くなるで、字読んだ分マンガ読んだり映画観たりしなさい』って言ってくれて。それからいろんなヨーロッパ映画や歌舞伎も観まして、本当に気がちっちゃかったのに気がついたらこんな素敵な場所に立たせていただいています。この映画は遠い日の母が僕に送ってくれた宝物だと思います。観てやってください」と語る。渡辺プロデューサーは「キメの細かい作業をしていただいたおかげでここまで来れました。観ていただく皆さんの手にわたって初めて作品というのは本物になると思います。単なる懐古主義として観るのではなくて、熱い馬鹿みたいな前例としてどんどん挑戦してほしいし、挑戦させる立場にある年配の方は若い方にどんどんトライをさせていただきたいと思います」と締めくくり、イベントは閉幕した。

(c)BANDAI VISUAL/GAINAX