萩尾望都がイラスト描き下ろし、恩田陸の吸血鬼SF「愚かな薔薇」の単行本化に寄せて

「愚かな薔薇」の初回限定全面帯。

萩尾望都の描き下ろしイラストが、12月24日に発売される恩田陸の単行本「愚かな薔薇」の初回限定全面帯に用いられる。

「六番目の小夜子」「蜜蜂と遠雷」などで知られる恩田による「愚かな薔薇」は、2006年にSF誌・SF Japanにて連載がスタートし、 その後は文芸誌・読楽(ともに徳間書店)に発表の場を移し、14年にわたって発表された作品。14歳の少女・高田奈智が磐座で行われるとあるキャンプに参加するところから始まる吸血鬼のSFストーリーで、単行本では大幅な加筆修正が行われている。恩田は萩尾の大ファンであり、萩尾から多大な影響を受けたという。萩尾のイラストが用いられた初回限定の全面帯は2022年3月末出荷分まで付属する。また萩尾は推薦コメントとして「これは21世紀の『地球幼年期の終わり』だ。山間の夏祭りの中で少年や少女が変化していく。進化なのか? 人類はどこへ向かうのか? 巡る星々。過去と未来。愛、愛はどこへ行くのか?」と綴った。

萩尾望都コメント

これは21世紀の「地球幼年期の終わり」だ。山間の夏祭りの中で少年や少女が変化していく。
進化なのか? 人類はどこへ向かうのか? 巡る星々。過去と未来。愛、愛はどこへ行くのか?

恩田陸コメント

吸血鬼ってなんなんだろう、と子供の頃からずっと考えていた。
人類の進化の記憶の発露なんじゃないか、とどこかで感じていた。
一方で、うんと狭いところでうんと大きい話を書いてみたいと思っていた。
昨今言われる「グローカル」というのが念頭にあったのかもしれない。
またしても、ものすごく時間が掛かってしまったが、この二つの課題を
やり遂げられたのかどうかは、今はまだ自分でもよく分からない。  

「愚かな薔薇」担当編集者コメント

恩田陸さんが14年の歳月をかけ、「SF Japan」「読楽」と2誌に亘り丹精込めて書かれた物語が形になりました。2代目担当としては、初代担当が恩田さんとともに作ってきた歴史やその重みを感じておりますがーー主人公・奈智の苦悩や成長、そして恩田さんが描かれたミステリアスで魅力的な世界を、萩尾望都さんの美麗な特別カバーイラストとともにお楽しみいただけたら嬉しいです。