「アポカリプスホテル」竹本泉の参加は「僕ら世代の悲願」、ハリウッド実写化も希望
TVアニメ「アポカリプスホテル」のセレクション上映とトークショーが本日3月14日に東京・池袋シネマ・ロサで開催され、キャラクター原案の竹本泉と制作統括のCygamesPictures・竹中信広氏が登壇した。
竹本泉の参加は「僕ら世代の悲願である」
「アポカリプスホテル」は2025年4月から6月にかけて放送されたオリジナルアニメ。人類がいなくなり長い年月が経ち、無人となった地球で、ホテルを守りながらオーナーの帰還とお客様の来訪を待つホテリエロボット・ヤチヨの奮闘が描かれる。本日のイベントは、池袋エリアで3月16日まで開催中の「東京アニメアワードフェスティバル2026(TAAF2026)」の一環として行われたもの。第1話「ホテルに物語を」、第6話「おもてなしにはうらもなし」、第11話「穴は掘っても空けるなシフト!」が上映されたのち、トークショーが約40分展開された。竹本がイベントへ登壇することは非常に珍しく、会場には作品ファンはもちろん竹本のファンも多く来場。竹本は「アニメやドラマ(になること)もないし(笑)、人前でしゃべる機会が全然ありませんでしたね」と笑って挨拶した。
そんな竹本がキャラクター原案を務めるということでも注目を集めた「アポカリプスホテル」。制作に入るまでは紆余曲折あり、企画を立ち上げたプロデューサーが会社を去ったことから、竹中氏が引き継ぐことになったという。その時点で竹本のラフと大まかなプロットができあがっていたものの、シリーズ構成・脚本を務めた村越繁とともに、企画を一から練り直していった。また立ち上げ当時はライデンフィルムの代表・里見哲朗氏も関わっていたが、竹中氏が「この企画でもう既に竹本泉先生にデザインを発注していて、僕ら世代の悲願である」「全部変えてもらっても構わない。ただ、竹本泉先生だけは変えちゃいけない」と里見氏から伝えられたと話すと、客席からも同意のこもった大きな拍手が起こった。
セリフほぼなしの11話はオリジナルならではの挑戦
当初「ロボ子」という仮名だったというヤチヨのデザインについては、「ロボットということはあまり考えずに普通に女の子として考えて、周りの設定によって(視聴者に)ロボットだと思わせる、というような感じで考えました」と竹本。特徴的な長い三つ編みは、当初「普通の人間と区別するためにロボットは全員髪を三つ編みにしている、という設定があったらいいんじゃないか」と思って描いたものだそう。また衣装に関しては当初はメイド服寄りのデザインだったものから、ホテリエらしい落ち着いたデザインに変わっていったという。原案作業全体に関しては「ガチガチに『こういう感じで』というのがなく、割と好きに描けたので、苦労したり悩んだりしたことはなかったです」と振り返った。
トークショー前に上映されたそれぞれのエピソードに関する話題も。竹本は脚本を読んではいたもののアニメ自体の制作には基本的に携わっておらず、「いち視聴者として楽しみにしていました。特に1話は“ツカミはオッケー”みたいな感じでしたね」と回想する。一方竹中氏は「竹本先生にシナリオを見ていただいて、技術的なことやSF的なところで質問をいただくことがちょこちょこあって。『考えてなかったな』ということがあったり、『このへんが気になるんだな』ってところは情報を補完したり、逆に気にならないように情報をコントロールしよう、といったことはけっこうしていました」と明かした。またヤチヨが無人の街を1人散策する第11話は、セリフがほとんどないという異色のエピソード。竹中氏は「1本を無声でやろうという構想は当初からあって、アポカリプスの世界観だったら成立するかなと。音楽も当て書きしてもらって、感情線をうまく音楽で作るということができたかなと思います。なかなかオリジナル作品でしかできないことなので、思い切ってやってみたという形です」と解説した。
目指すはハリウッド実写化?
竹中氏は「アポカリプスホテル」をはじめ、これまで「勇気爆発バーンブレイバーン」「アキバ冥途戦争」「ゾンビランドサガ」などオリジナルアニメに多数携わってきた。オリジナルアニメを取り巻く現状について聞かれると、「なかなか厳しいですね。ビジネスの形というのがだいぶ固まってきている状況の中で、オリジナルに投資してくれる人というのはそんなに多くはないと思っています」とコメント。そんな中でなぜオリジナルアニメを作るのかと問われると、「なんででしょうね(笑)。毎回オリジナル作るたびに、もうやめようって思うんですよね。それこそ『アポカリプスホテル』が終わったときは『これで最後だな』って思ってたんですが、それ以降も『(アポカリプスホテルの)続編あるときは呼んでください』とアニメーターの方に言ってもらったり、CygamesPicturesに来る若い子が、『オリジナルを作り続けてる会社なので』って目をキラキラして僕の顔を見るんですよ(笑)。なので、期待してもらえる限りは、チャレンジしないといけないのかなっていうのが今の気持ちです」と穏やかな語り口ながら覚悟をにじませた。
最後に竹中氏が「(続編は)すぐにはできないだろうとは思いつつ、この時代にまた改めてこの世界観で何をお届けするか、みたいなことは常日頃考えていこうかなとは思っているんですが……世界中から人が集まってるTAAFということで、『アポカリプスホテル』はハリウッド実写化、向いてるんじゃないかなと。全然舞台ニューヨークに移していいんで。ニューヨークでアンドロイドの女の子が終末世界で過ごすという、ハリウッド映画化を待ってます」と呼びかけると、会場からも大きな拍手が。そして竹本は「アニメ終わってからだいぶ経って、スタッフの方はみんな次の仕事に変わってると思うんですけど、1人だけマンガの連載を今も続けていて(笑)。この仕事自体はすごく楽しいので、続けられるのはいいなと思っております。どうもありがとうございました」と集まった観客に感謝を伝え、トークショーを締めくくった。
「東京アニメアワードフェスティバル 2026(TAAF2026)」開催概要
日程:2026年3月13日(金)~16日(月)
会場:東京都 池袋エリア
