約束の刻、来たれり。大ベルセルク展が明日から、巨大ゾッドや三浦建太郎の動画も

巨大ゾッド像

三浦建太郎「ベルセルク」の大規模原画展「大ベルセルク展~三浦建太郎 画業32年の軌跡~」が、明日9月10日から23日まで東京・池袋のサンシャインシティ展示ホールAで開催される。本日9月9日にメディア向けの内覧会が行われた。

「大ベルセルク展」は三浦と白泉社が数年をかけて計画していた、三浦初の単独原画展。2021年1月の開催が予定されていたが、新型コロナウイルスの感染拡大と緊急事態宣言の発出に伴い9月の開催に。5月に死去した三浦は、2020年10月に告知された原画展開催の第一報で「溜りに溜った原画の展示もさる事ながら、ベルセルク愛をこじらせたスタッフ一同の手により、楽しい“蝕ランド”が具現化しそうです」と期待のコメントを寄せていた。

会場の入り口では、「大ベルセルク展」のために描き下されたガッツのメインビジュアルがお出迎え。続く登場キャラクター紹介のコーナーでは、ガッツとグリフィス、黒い戦士一行、新生鷹の団のメンバーを名シーンとともに紹介しており、作中で“正に鉄塊だった”と表現されるガッツの剣・ドラゴンころしのレプリカやグリフィスの甲冑なども展示された。

原画の展示は「年代記」と題し、「ベルセルク」1巻からではなく百年戦争が幕を開ける「前史」から始まり、ガッツの幼少時代である「黄金時代~誕生~」、ガッツが鷹の団と出会う「黄金時代~邂逅~」と作中の時系列に沿って並ぶ。「Diary of Hawk Soldiers」と題したスペースでは、鷹の団の栄光を想起させる赤い壁にメンバーのカラー原画やモノクロイラストが額縁で飾られていた。そして、壁の色が赤からおぞましい紫に。「年代記」に展示される原画シーンが、多くの読者に衝撃を与えた「蝕」のエピソードに突入。絶望し、うめき、叫ぶ鷹の団の姿が真に迫る、三浦渾身の迫力ある筆致で描かれた原画を間近に見られる。また「蝕」シーンを再現した大型ジオラマも設置。憤怒や憎悪、恐怖の表情を浮かべた無数の顔、そしてゴッド・ハンドたちの空間がお目見えした。

「蝕」シーンの後、「年代記」は「ベルセルク」1巻のエピソード「黒い剣士」へ。終盤の「幻造世界篇~妖精島の章~夢の回廊~」まで、憤怒を抱えたガッツが旅をする、さまざまなシーンの原画が壁面に飾られた。アナログ原画には試し書きの跡、修正のホワイト、写植までが生々しく残っており、美しい構図の見開き、残酷なシーンの痛ましさなども直に堪能できる。

「大ベルセルク展に巨大ゾッド像を降臨させよう!!」と題したクラウドファンディングによって会場に“降臨”した、等身大に近い使徒形態のゾッドは、「大ベルセルク展」の見どころのひとつ。また会場の途中途中に鎮座する精巧なフィギュア、大型のスタチューも見逃せない。プライム1スタジオ、ART OF WAR、マックスファクトリーといった「ベルセルク」の立体物を数多く制作してきたメーカーの作品が数多くお目見えしている。そのほかゴドーの鍛冶場、栗パックの森、キャスカ人形など、作中のシーンが再現されたコーナーも楽しめる。

さらにロボットアニメを愛する三浦を中心に立てられたアニメーション企画「メタバロン」から、カラーイラスト12枚も展示。同企画には羽海野チカ、森恒二、吠士隆が協力しており、企画書にはキャラクター設定、世界観、シナリオなど全般にわたり三浦のアイデアが詰め込まれているという。生前の三浦のインタビュー動画も会場内で披露されており、穏やかな笑顔でマンガに懸けた30年への思い、この原画展への期待が語られた。三浦の32年が結実した原画展は、国内各地での開催を計画中。決定次第、公式サイトなどで告知される。

(c)三浦建太郎(スタジオ我画)/白泉社