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愛蔵版「100年ドラえもん」装幀のこだわり熱弁、どこでもドア型本棚も

藤子・F・不二雄「ドラえもん」の愛蔵版「100年ドラえもん」が12月1日に発売される。本商品の企画説明会が本日3月27日に東京・出版クラブホールで行われ、装幀を担当したブックデザイナーの名久井直子、小学館の第二児童学習局ドラえもんルーム室長・松井聡氏と編集長・徳山雅記氏が出席した。

「ドラえもん」の50周年記念企画として刊行される「100年ドラえもん」。ドラえもんが誕生する22世紀までてんとう虫コミックス版「ドラえもん」を残すという思いが込められた同書の愛蔵版で、経年劣化を極力まで軽減する仕様だ。説明会ではまず松井氏が「ドラえもん」50周年企画について説明。その後「100年ドラえもん」に話題が移る。マイクを取った徳山氏は、全集版や文庫版などさまざまなバージョンがある中、てんとう虫コミックス版を選んだ理由について「この45巻は別格。なぜなら藤子先生が収録作を自ら選び、順番を決め、加筆修正を施して編まれたベストセレクションだからです」と述べた。

「100年ドラえもん」は全巻ハードカバーの布クロス装で、湿気を防ぐために本文上部に金箔が押されている。表紙の印刷はシルクスクリーンで行われ、金の箔押しが施された。名久井は「それぞれの巻の表紙には、その巻に出てくるドラえもんの絵を使っています」とコメント。「絵を選ぶときに本編を、ストーリーを楽しむマンガとしてではなく、絵として観ていったんです。するとどのコマでもドラえもんが活き活きと動いていて、ほとんど棒立ちしているコマがないことに気付きました。それが先生の絵の魅力だなと思いました」としみじみ語った。

続いて印刷にもこだわったという徳山氏が「紙がまず違います」と切り出すと、それを引き取った名久井は「『オペラクリアマックス』という紙で、日焼けに一番強い紙を選びました」と明かす。紙には藤子のペンタッチや原稿の濃淡を忠実に再現する高精細の印刷が施されており、徳山氏は「ドラえもんのひげの先は藤子先生がスッと力を抜いて描いたもので、先が細く尖っているのですが、その筆致まではっきり見えます」と熱弁した。

また各巻の口絵には、てんとう虫コミックス版のカバーイラストを採用。このイラストについて徳山氏は「(てんとう虫コミックス版の)各巻のために藤子先生が描き下ろしたものです」と説明する。さらに「100年ドラえもん」に付属し、全45巻を15巻ずつ収めることができる3箱の専用ボックスについては、その密閉性や丈夫さをアピールするとともに、「実は15冊ずつ分けたことには意味があります」と告白。「のび太の成長がだいたいこの区切りで3期に分かれているんです。『ドラえもん』は何巻から読んでも面白いのですが、頭から最後までを順番で読んでもらうと、この作品がのび太の成長物語、“のび太サーガ”であることがわかります。それをこのように区切ることでわかりやすく示したつもりです」と話した。

そのほか、「100年ドラえもん」は読みやすさを重視したかがり綴じで製本され、ぺージは喉元まで開く仕様。徳山氏はこの製本方法が個人的にもっともアピールしたい部分だとし「完全に(本が)開くことは長年の願いでした。てんとう虫コミックス版は完全に開かないため、ページとページの境目を空けて印刷した結果、見開きが切れているんです。『100年ドラえもん』ではそのわずかな面積に印刷できるということが本当にうれしい」と喜びの表情を浮かべる。名久井は「最初に企画について話したときもドラえもんルーム側から『夢はかがり綴じ』とうかがっていましたので、一番推す部分は“かがり綴じ”で」と同意しつつも、「私はまだもっとよくできないかと模索しているところです。もっと読みやすく、丈夫なものにしたくて」と本書の製作への熱意をうかがわせた。

なお購入特典としてカラーイラストを集めた「厳選カラー“幻”画集『ドラ絵もん』」、ひみつ道具とキャラクター名から登場巻を引ける索引巻「完全索引別巻『引くえもん』」、2019年に発売された「ドラえもん」0巻豪華装丁版の別巻3冊が付属。さらにてんとう虫コミックス版「ドラえもん」第40巻にあるワンシーンを再現したメディコム・トイ製の「ドラえもん&のび太 100年後もまんがを読んで爆笑フィギュア」、単行本を収めたケースを包む110cm四方の「超大型タイムふろしき」も付く。なお「100年ドラえもん」の購入者のみを対象に、専用の「どこでもドア型本棚」も販売。説明会ではフィギュア、ふろしき、本棚のサンプルがそれぞれお披露目された。

「100年ドラえもん」の価格は税込7万7000円。第1期予約は明日3月28日から8月31日まで全国の書店で受け付ける。

(c)藤子プロ・小学館