アニメ映画「音楽」原作者・大橋裕之は“総監督”?坂本慎太郎にも自らオファー

アニメ映画「音楽」舞台挨拶にて、左から大橋裕之、太田役の前野朋哉、朝倉役の芹澤興人、岩井澤健治監督。

大橋裕之原作による長編アニメーション映画「音楽」の先行上映会が本日12月12日に東京・新宿武蔵野館にて開催され、舞台挨拶に太田役の前野朋哉、朝倉役の芹澤興人、岩井澤健治監督、大橋が登壇した。

観客とともに上映を楽しんだ前野と芹澤は、ともに本作のライブシーンを絶賛。前野は「涙が出そうになりました。うまく言葉にできないんですが、熱くなる感じ」と語り、芹澤は「ずっと気持ちいいものを観させられて、最後のライブシーンは圧巻です」と魅力を述べた。アフレコはスムーズに楽しく行えたという2人。岩井澤監督は「僕の中では(研二役の)坂本慎太郎さんよりも早い段階で2人にお願いしたいと思っていて、坂本さんの出演が決まってみんなのテンションが上がっているときに、『今なら言える!』と思ったんです」とのキャスティングまでの経緯を明かした。

主人公・研二役を務める坂本には、大橋からオファーをしたという。大橋が「アニメの話が出たときから、坂本さんが合うんじゃないかなって。やってもらえるとは思ってなかったです」と話すと、前野が「僕も最初は大橋さんから誘ってもらって。基本、大橋さんがオファーをかけてますよね(笑)」と明かす。岩井澤監督も「原作者というより、本当は“総監督”とか(クレジットに)入れたいくらい」と大橋の深い関わりに感謝を示し、一方映画の感想を聞かれた大橋も「100点超えてるなと。アニメを観た後に僕の原作を読むと、しょぼいんじゃないかと(笑)」と絶賛した。大橋と家が近所だという岩井澤監督は、「近所のスーパーで『あ、大橋さんいた』って声をかけて、そのまま打ち合わせしたり、相談に乗ってもらったりしました」と親しさの伝わるエピソードも披露した。

また役柄は伏せられているが、岡村靖幸の出演が発表されている本作。岩井澤監督は「まだ何もできていないころに、原作を読みながら『やってもらえたらいいよね』って、夢を語り合うような感じで名前は出ていました」と言い、アフレコ当日について「『あと何分で到着します』ってときが一番緊張しました。実際来てくださったら『なんでも言ってください』という感じで言ってくださったので、遠慮なく6テイクほど録らせていただきました(笑)」とうれしそうに語った。

主題歌「ピーター・アイヴァース」を手がけるドレスコーズの起用についても、岩井澤監督の強い希望で実現したという。岩井澤監督は「本当にしんどいときとか、作業中にずっと聴いていたので、僕の中で完全にドレスコーズが主題歌になってたんです」と語り、さらに「『ドレスコーズに決まったら、作画のスピードもクオリティも上がるんで、絶対にお願いしてください』って言って、大橋さんが志磨(遼平)さんに連絡してくれて……」と、こちらも大橋のオファーであることが発覚する。志磨は「ピーター・アイヴァース」で初めて歌詞に“青春”というワードを使ったそう。その話を受けて岩井澤監督は「原作のエッセンスは絶対出てくるので、僕は青春感をあえて抑えるようにしたんです。最後にドレスコーズの主題歌が流れると『いい青春映画観たな』って、すごくいい締めだと思います」と自信を見せた。

2020年1月11日に公開される「音楽」は、楽器未経験の不良高校生たちが思いつきでバンドを組んだところから始まるロック奇譚。実際に撮影した映像をもとに作画していくロトスコープという手法を用い、71分のアニメーションがすべて手描きで制作されている。

アニメ映画「音楽」

2020年1月11日(土)より新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開

スタッフ

監督:岩井澤健治
原作:大橋裕之(「音楽と漫画」太田出版)
プロデューサー:松江哲明
アソシエイトプロデューサー:九龍ジョー、迫田明宏
配給:ロックンロール・マウンテン
配給協力:アーク・フィルムズ

キャスト

研二:坂本慎太郎
亜矢:駒井蓮
太田:前野朋哉
朝倉:芹澤興人
森田:平岩紙
大場:竹中直人

(c)大橋裕之・太田出版/ロックンロール・マウンテン