押切蓮介が「ハイスコアガール」新作の構想明かす「まったく毛色の違うものに」

トークイベント「『ハイスコアガール』ウル技情報局:2コイン目~ハイスコアガールII放送直前スペシャル~」の様子。左から鶴岡信哉氏、押切蓮介、照井順政、松倉友二。

押切蓮介原作によるTVアニメ「ハイスコアガールII」の放送を記念したトークイベント「『ハイスコアガール』ウル技情報局:2コイン目~ハイスコアガールII放送直前スペシャル~」が、去る9月29日に東京・LOFT9 Shibuyaで開催された。

10月4日からOVA、そして10月25日からはTVアニメ第2期の放送を控える「ハイスコアガール」。イベントには原作者の押切蓮介、アニメーション制作統括を務める松倉友二、オープニングテーマを歌うsora tob sakanaの音楽プロデューサー・照井順政、進行役としてアニメのプロデューサーである鶴岡信哉氏が登壇し、ゲーム好きの4人によるディープなトークが展開された。

最初の話題は、4人のゲームセンターの思い出話。松倉が、ゲームセンターが“インベーダーハウス”と呼ばれていた時代から足繁く通っていたと話すと、押切は、「ハイスコアガール」の作中でも重要な役割を果たす格闘ゲーム「ストリートファイターII」がきっかけで足を運ぶようになったと明かす。さらに「ゲーセンで仲よくなった人はいない(笑)。不良の陰に怯えながら遊んでいたので」と、押切が当時のゲームセンター事情を伝えるなど、「ハイスコアガール」の時代背景が垣間見えるトークが続いた。

また押切の願いもあり、ゲームセンター・ミカドが、アニメに登場するゲーム画面の収録を協力することになったことが明かされる。松倉は「本当にね、無茶なプレイを要求しすぎですよ」と話し、押切も「そのプレイヤーの悲鳴が僕のほうに来るんですよ(笑)」と原作の再現への苦労を感じさせる。さらに押切は「あれは新しいジャンルだと思ったんですけど、“ゲームプレイヤー俳優”みたいな。スタントマンみたいな感じですよね。体が反応して昇竜拳を打っちゃうところを、我慢してゲームプレイで演じなきゃいけない。それが大変だったんじゃないかな」と同じゲーマーとして苦労をねぎらっていた。

アニメ第2期についてのトークでは、松倉が「ほぼ作り終わってます」と明かすと大きな拍手が起こる。続けて「2期に関しては、シナリオもコンテも最終話から書いて、それ専用の音楽を付けてと、こだわってやっています」と松倉が話すと、鶴岡も「最終話のコンテを元に(音楽の)下村(陽子)さんと打ち合わせをして、クライマックスのところはコンテの尺に合わせて曲を作っていただいています」と劇場アニメなどで使われるような手法で制作が行われていることを説明。最終話のネームが上がり次第、シナリオ・コンテの作業に入っていたという話は、押切も初耳だったようで驚きを見せていた。照井はアニメ2期のオープニング「flash」について、「(原作の)最後のシーンをイメージして、曲を作ろうというふうにやっていた」「あの話の熱量というか、カタルシスというか。そこに向けて作りたいという気持ちがすごくあった」と話し、先ほどの松倉の話を受け、偶然にも同じく最終回を元に制作が始まっていたことを明かした。

イベントの後半では、観客からの質問コーナーも実施。登壇した4人が、大野派か日高派かという質問が観客からされると、鶴岡からこの話題が海外ではハッシュタグが作られるほど盛り上がっていることが伝えられる。照井と松倉が日高派と答える中、押切は「描いていて楽しいのは大野さんなんですよ。でも付き合うとなると面倒くさそうだと思うんですよ……。でも日高もあれはあれで大変そうですよね……。なんとも言えないです」と決めかねると、松倉から「いっそ鬼塚ぐらいにしておけば?」と小・中とハルオと同じ学校に通っていた強烈なキャラクターを推すアドバイスがされ、会場が笑いに包まれた。

最後の挨拶では、押切から「『ハイスコアガール』の新作を描こうとしています」と驚きの発表がされ、大きな拍手が沸き起こる。さらに「公の場で言ってしまえば僕が描かないということはできなくなるんですよ。こんなに綺麗に終わらせた作品をまた描くということは相当の葛藤が必要だったんです」と覚悟を伝え、「今年中に始める予定ではあるんですけど、未だに描けず。初代の『ハイスコアガール』とはまったく毛色が違うものになると思います。多くは語れないんですけど、楽しみにしていただければ」と意気込みを話し、会場に集まったファンの歓声が響く中、イベントは幕を閉じた。