「宇宙兄弟」を宇宙で描くミッション始動、“425.5話”をロボットアームの遠隔操作で執筆
小山宙哉「宇宙兄弟」とコラボした宇宙でマンガを描くミッション「Mission: SPACE COMIC」が発表された。「宇宙兄弟」の本編で語られなかった425話と426話の間の425.5話の物語が描かれる。
「Mission: SPACE COMIC」では、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が提供する国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟内に設置されたロボットアームを地上から操作し、宇宙空間の微小重力環境下で描画を行う。小山が地上でマンガを描く際の手の動きをデータ化し、そのデータをロボットアームに伝送し紙面上で再現する。なおロボットアームの制御ソフトウェア・ヴェロッキオは、「宇宙兄弟」34巻に登場する遠隔操作ロボット・ダヴィンチにちなんで名付けられた。
小山は「近未来の夢として漫画に描いていた技術が現実になり、宇宙でペンを持って漫画を描いてくれるなんて、本当にうれしく思います。宇宙の物語を締めくくるものとして、まさに『宇宙兄弟』らしいミッションなのではないでしょうか」とコメント。そのほか、プロジェクトメンバーであるスペースエントリーの宇宙事業開発部・後藤孝之氏、メノー代表取締役・根本雅人氏、セルシスアプリ開発部部長・小田直矢氏からのコメントも到着した。
小山宙哉コメント
初めてこのお話を伺ったとき、作中に登場する遠隔操作ロボット「ダヴィンチ」みたいだ、と驚きました。
近未来の夢として漫画に描いていた技術が現実になり、宇宙でペンを持って漫画を描いてくれるなんて、本当にうれしく思います。宇宙の物語を締めくくるものとして、まさに『宇宙兄弟』らしいミッションなのではないでしょうか。フィクションが現実になるその瞬間を、ぜひ皆さんと一緒に共有したいです。
そして、本編の余白をつなぐ特別な一話「425.5話」も、楽しんでもらえたら幸いです。
後藤孝之(スペースエントリー株式会社 宇宙事業開発部)コメント
私たちが今回用いるISS「きぼう」日本実験棟内にあるロボットアームは、宇宙実験の自動化・遠隔化を見据えた実証データを取得する目的で、JAXAによって2025年に打ち上げられた新しい機械です。
今回はそれを利用した初の商業ミッションで「漫画を描く」という繊細な作業に挑戦します。このテーマは、微小重力下で線を再現する一見単純な内容に思えますが、時間制限や打ち上げ重量、強度・難燃対策、対流のない環境での発熱やインクの揮発対策など、地上とは異なる多くの制約の中で作業再現性を検証する実証的な試みも含まれています。
ここで得られた知見や課題は、弊社の今後の自動化・遠隔化に向けた取り組みに活用し、日本の将来の宇宙産業の発展へと還元・貢献していきます。そして、『宇宙兄弟』の本編と時間軸が重なるかけがえのない時期に、本ミッションに携われたこと、大変誇りに思います。
根本雅人(メノー株式会社 代表取締役)コメント
メノーは、ロボットアームの制御ソフトウェアと動作プログラミングを担当しています。
漫画の描画は、直線や曲線、強弱のある筆圧など、非常に繊細で複雑な動きの連続です。微小重力という地上とはまったく異なる環境下、多くの制約の中でこの精密な動作を再現するために、何度もシミュレーションと調整を重ねてきました。
今回のミッションで得られるデータは、今後の極限環境における遠隔精密作業の基盤になると確信しています。
『宇宙兄弟』のファンの皆さまにも、技術の裏側にあるチャレンジを感じていただければ嬉しいです。
小田直矢(株式会社セルシス アプリ開発部部長)コメント
今回のミッションでは、小山宙哉先生が日頃の執筆にもお使いいただいている、セルシスのマンガ制作アプリ「CLIP STUDIO PAINT」で描かれた筆跡データを、宇宙のロボットアームへ正確に伝送するプロセスを技術面から支援しています。
「人の手が描いた線を、宇宙で忠実に再現する」というこの前例のない挑戦は、デジタル作画技術の新たな可能性を切り拓くものと考えています。
クリエイティブとテクノロジーの融合が宇宙にまで広がるこの瞬間に携われることを、大変光栄に思います。
