映画「零落」竹中直人が浅野いにおに鬼LINE、斎藤工を主演に選んだきっかけの一言は

映画「零落」舞台挨拶付き完成披露上映会より。左から竹中直人、玉城ティナ、斎藤工、趣里、浅野いにお。

浅野いにお原作による実写映画「零落」の舞台挨拶付き完成披露上映会が、本日2月8日に東京・テアトル新宿で開催された。

3月17日より公開される「零落」は、売れっ子マンガ家から“元”売れっ子マンガ家となった主人公・深澤薫の“極限の業”を描く物語。舞台挨拶には深澤役の斎藤工、ちふゆ役の趣里、猫顔の少女役の玉城ティナ、監督の竹中直人 、原作者の浅野が登壇した。斎藤は役について「深澤の気持ちが痛いほどわかる。“零落”という感覚みたいなものには共感しかありません。立場は違えど、進行形の自分の出来事と思えるぐらい共鳴しました」と述べる。

斎藤に深澤役をオファーした経緯について竹中は「以前、工と山田孝之さんと『ゾッキ』という映画を撮ったんです。いつも3人で宣伝に回ってたんですが、そのときはたまたま孝之が仕事でこられなくて。工と2人で宣伝した帰りに、一緒にごはんを食べに行って。映画の話をして『次は浅野いにおさんの「零落」を撮りたいと思ってるんだよ』と言ったら、工が『大好きです……!』って。『じゃあ深澤やる?』って言って、そこから一気に動き始めたんです」とコメント。斎藤は「もし山田孝之さんが竹中さんと食事をしてて、『「零落」大好きです!』って言ってたらここには僕じゃなく山田孝之が立ってたのかな……」と言って笑いを誘う。また斎藤が深澤を演じるにあたり、竹中は「聞き取りづらい声でしゃべってほしい」とディレクションしたことも明かされた。

趣里はちふゆについて「いにお先生が描く女の子を演じられることが光栄。たくさんの原作ファンがいるのでプレッシャーでしたが、自分が作品を読ませていただいて、心を持っていかれた衝動というものを大事に演じようと思いました」とコメント。また「そのシーンのイメージの音楽を(竹中)監督が送ってくださったりして、内側からちふゆというキャラクターを作り上げられたなと感謝しています」と話す。玉城は深澤の魅力を「身勝手を自分で許しちゃってるところがかわいらしくもあり、彼を放っておけない理由になっているのかなとも思います」と語った。

竹中は「零落」との出会いを「赤坂にある本屋さんでふと見かけたんです。『零落』というタイトルと、帯のちふゆの顔を見た瞬間にうわあっと僕の心に入り込んできた。読んだら、もう絶対に映画にしたいと思ったんです。『零落』というタイトルを筆文字で縦書きにして、それが歩道橋に浮かぶ。オープニング映像も頭に浮かんできました」と説明。竹中の「零落」への熱い思いは止まらず、浅野は「もともと原作は、みんなが楽しいと感じるようなマンガではないと思うんです。連載中もいったい誰に向けて描いてるんだろうと思ってたんですけど、それが竹中さんの手に渡って目に留めてもらえた。竹中さんと僕ってアウトプットはまったく違うように見えると思うんですけど、たぶん根底の部分では近しいところがあって。そこが共鳴したのかな」とコメントする。

また浅野は、竹中から映画化のオファーがあったときのエピソードを披露。「竹中さんのラジオに出たとき、熱烈なアプローチを受けまして。それからプライベートでお酒を飲む機会があって、竹中さんの僕に対する詰めっぷりがすごかった。その後も、とんでもない量のLINEが竹中さんから届きまして(笑)。もう先走りすぎて、制作過程の細かいところまで伝わってくるような熱の入れようでした。僕のほうから竹中さんに『普通、マンガ原作で映画を作るときは、間に出版社が入るんです』って教えてあげたぐらいです(笑)」と明かす。できあがった映画については「もとの作品の本質は失っていないんですが、竹中さんのフィルターを通した映画になっていて。竹中さんの好きなように、思い描いたように作ってくれればいいなと思っていたので、できあがったものを観て満足しています」と太鼓判を押した。

映画「零落」

2023年3月17日(金)に東京・テアトル新宿ほかにて全国ロードショー
出演:山下リオ、土佐和成、吉沢悠、菅原永二、黒田大輔、永積崇、信江勇、佐々木史帆、しりあがり寿、大橋裕之、安井順平、志磨遼平、宮崎香蓮、玉城ティナ、安達祐実
原作:浅野いにお「零落」(小学館 ビッグスペリオールコミックス刊)
監督:竹中直人
脚本:倉持裕
製作幹事・配給:日活/ハピネットファントム・スタジオ
制作プロダクション:ジャンゴフィルム
宣伝協力:ミラクルヴォイス
製作:「零落」製作委員会(日活/ハピネットファントム・スタジオ/小学館)

※宮崎香蓮の崎はたつさきが正式表記。

(c)2023浅野いにお・小学館/「零落」製作委員会