「本なら売るほど」で幼少期の夢叶う 児島青がマンガ大賞受賞「すべての方に感謝を」
児島青「本なら売るほど」が「マンガ大賞2026」の大賞に選ばれた。本日3月26日に東京・浜離宮朝日ホールの小ホールで行われた授賞式には、児島の代理で担当編集の淺井康平氏が出席。プレゼンターは前回「ありす、宇宙までも」で大賞を受賞した売野機子、MCは吉田尚記が務めた。
授賞式では結果発表に先立ち売野が登壇。前回大賞を受賞した反響を吉田に聞かれ、「私のマンガを芸能人の方や芸人さんが熱く語り合っているテレビ番組を観て、なんだか不思議な気持ちになりました。『マンガ大賞』のおかげで、かなり注目していただいています」と話す。また「身の回りの変化よりも、自分自身の変化が大きかった」と切り出し、「作品への反響がなく、あまり感想をいただけない中でマンガを描く時間ってつらかったんだ、寂しかったんだなって気づきました。今みたいに注目してもらい、優しく見守ってもらう中で連載できる喜びとはまったく違います」と吐露。さらに「16年間ほどずっと休まず毎日マンガを描いてきたんですけど、正気ならそんなことできません。私はずっと正気にならないようにしていたんだと思います。今になって、私は『どれだけ大変なことをしてたんだ!』って驚いています(笑)」と笑顔で語った。
売野により大賞が発表されると、「本なら売るほど」の担当編集を務める淺井氏が登壇。淺井氏は受賞の喜びを語るとともに、児島から預けられたメッセージを代読した。その中で児島は、1巻の発売以来受けた反響の大きさに喜びを感じるとともに戸惑いも覚えたと告白。今回大賞を受賞したことで、その思いはますます強くなったという。そんな折、「絵を描く人か、お話を作る人か、本屋さんになりたい」と幼少期に語っていたことを母に言われた思い出したと言い、「図らずも『本なら売るほど』を描くことで、自分が3つの夢を一度に叶えていたことに気づきました」とコメント。「本の楽しさを教えてくれた両親、私を見つけてくれた担当編集の淺井さん、名作を生んだ偉大な先人たち、共感してくれた読者の皆さんや、全国の書店員の皆さん、私が今この場にいる後押しをしてくださったすべての方に感謝を贈ります。このたびは『本なら売るほど』ほど栄えある賞に選んでいただき、誠にありがとうございました」と結んだ。
続くMCの吉田と淺井氏によるトークパートでは、淺井氏が児島との思い出を振り返った。2人が出会うきっかけは児島がSNSに公開し、話題になっていたマンガ。これを淺井氏が読み、児島へコンタクトをとったことで二人三脚の歩みが始まった。当時はコロナ禍だったこともあり、打ち合わせは電話がメイン。電話越しにやり取りを重ねる中で読み切りを描き上げ、その後、デビュー作であり「本なら売るほど」の第1話となる「本を葬送る(ほんをおくる)」が完成した。
この「本を葬送る」について淺井氏は、「読み切りはのちに続いていく作品ではないので、読者に登場人物の感情の変化をどう伝えるかが1つ大事になります」と説明。「『本を葬送る』では店主の心情の変化が強く描かれているのですが、それは児島さんが今まで生きて、得たものを作家として活かすために、何を描くべきかといった問いに向き合い、その答えを掴んだ1作なのかなと思います」と語った。
また淺井氏は児島の作家としての魅力について「まず絵が素晴らしい」と一言。初めて作品を読んだときのことを振り返り、「どこかで連載しているマンガ家の別名義かと思うぐらい、人物も背景も書き慣れていて、端正なタッチで、完成されていました。それが初めて描いた長編マンガだと聞かされてすごくびっくりして。人物の感情がしっかり伝わる絵作りの力がすでにあった」と明かす。次いで「あまり説明しすぎず、読者に想像させるところも魅力です。作品自体に余白があって、読者が物語から受け取るものが多い。非常に豊かな読書体験を与えてくれるマンガを描ける方です」と賞賛した。
「本なら売るほど」は、ひっつけ髪の気だるげな青年が営む古本屋・十月堂を舞台に、そこを訪れるさまざまな愛書家たちの人生の機微を描く短編連作シリーズ。ハルタ(KADOKAWA)で連載されており、4月15日に単行本の3巻が発売される。これまでに「このマンガがすごい!2026」オトコ編1位、「BOOK OF THE YEAR 2025」コミックランキング1位を受賞した。「マンガ大賞」は2008年に始まり、今回で19回目になるマンガ賞。前年の1月1日から12月31日までに出版され、単行本の最大巻数が8巻までの作品を対象に、その年で一押しの作品を選出する。
「マンガ大賞2026」
大賞:児島青「本なら売るほど」
2位:清野とおる「「壇蜜」」
3位:イシコ「邪神の弁当屋さん」
4位:渡部大羊「おかえり水平線」
5位:絹田みや「友達だった人 絹田みや作品集」
6位:サイトウマド「怪獣を解剖する」
7位:鍋倉夫「路傍のフジイ」
8位:住吉九「サンキューピッチ」
9位:塚田ゆうた「RIOT」
10位:西修、宇佐崎しろ「魔男のイチ」
11位:田中空、あきま「人喰いマンションと大家のメゾン」
12位:雁木万里「妹は知っている」
(c)児島青/KADOKAWA
