「チェンソーマン レゼ篇」𠮷原達矢監督が想像以上の反響に驚き「ライブ感のある現場だった」

左から牛尾憲輔、𠮷原達矢監督、中園真登

藤本タツキ原作による劇場版「チェンソーマン レゼ篇」の制作スタッフトークショーが、本日1月31日に東京・TOHOシネマズ新宿で開催され、監督の𠮷原達矢、副監督の中園真登、音楽の牛尾憲輔が登壇した。

2025年9月19日の公開から1月30日までの134日間で観客動員686万人、興行収入104億円を記録している劇場版「チェンソーマン レゼ篇」。周囲からの反響について問われた𠮷原監督は、「世間やメディアからの注目も含めて、いろんなところから反応いただいてうれしく思いつつ、驚いてます」と心境を語り、中園も「家族の知り合いも観に行ったという話も聞いて、想像以上にいろんな人に観てもらえてるなと」と述べる。一方の牛尾は「僕は特にないですね。友達がいないので……(笑)」と笑いを誘いつつも、会場にいる観客たちが何度も繰り返し劇場に足を運んでいるという話に、「今いっぱいいらしてビックリしました」と語った。

劇場アニメの監督は初めて手がけた𠮷原監督は、「(TVシリーズと比べて)基本的には変わるところはないんですが、各スタッフにワガママを伝えて夢を叶えてもらえるポジションでした(笑)」と微笑む。「チェンソーマン」の原作で描かれるユニークなシーンを映画でも表現したかったそうで、「そういったところをスタッフに汲んでもらえたので、やり遂げられました」とスタッフへの感謝を述べる。𠮷原監督のサポート役として、演出面での手伝いはなんでもしていたという中園。「自分はAパートと呼ばれる冒頭からマキマのデートシーンまでの絵コンテを担当したんですけど、中心に丸を持ってくるような画作りをフラッシュアイデアで入れたのを監督が活かしてくれた」とこだわったシーンを明かす。

また原作の独特なコマ割りやセリフ回しを映像にするうえで、中園は「コマとコマの行間をどう描いていくかは、普通の作品と比べると難しいところだったのかなと思います」と振り返る。「各パートの演出やアニメーター1人ひとりに『チェンソーマン』(の捉え方)があるので、それをまとめていくのは大変だったんじゃないかなと」と述べると、𠮷原監督は「大変ではありつつも、非常に優秀なスタッフのおかげでいいものができた。成果物をチェックしていても楽しかったです」と充実感のある現場だったと語り、「各スタッフが足し算でいろんな要素を入れてくるライブ感があった」と回想した。

オープニング、エンディング、挿入歌以外の音楽を担当した牛尾は、「劇場の場合、放送と比べて尺が長いので、5分を長く感じさせるのか短く感じさせるのかが音楽の役割」と劇場版で意識したことを語る。「尺に対してばっちり曲を作るのも大事なんですけど、劇場版では視聴環境が大事。例えば最後にレゼが海辺にいるシーンのバイオリンは、音の音量が小さすぎてテレビ(環境)では聞こえない。繊細なところからデカい音まで使えるのが違う」とTVシリーズと劇場版では大きな違いがあると話す。さらに「レゼ篇」に関しては、最初からオーケストラやろうと考えていたそうで、「オーケストラなら小さい音から大きい音まで使えるので、それを見越してやりました」と明かした。

さらに藤本が作詞、牛尾が作曲・編曲を手がけた、レゼがロシア語で歌う「ジェーンは教会で眠った」の制作についても話がおよぶ。翻訳家を交えて制作を行ったという牛尾は「まずロシア語がわからないので、言葉をどこで切ったらいいかもわからない。さらに原作の歌詞は分量が多くて、そのまま使うと(挿入歌としては)長い曲になっちゃう。どうやって切り詰めるかはけっこう大変でした」と苦労を明かし、「(レゼ役の)上田さんもすごい大変だったと思います。あれもこれも大変だった。思い出したくない(笑)」と苦笑いした。

また終盤のバトルシーンについて、𠮷原監督は「アクションに関しては重次(創太)さんを筆頭に制作し、並行して牛尾さんには音楽の中での抑揚よりもハッキリとパートをわけて決めどころを作るという発注の仕方をしました」と振り返る。カッコよさはありつつもクスッとなるところが「チェンソーマン」らしさだと述べる𠮷原監督は、「ユニークなものになってるんじゃないか」と自信を覗かせる。「重次くんとは胸ぐらつかみ合いながら作るんですけど(笑)」と笑う牛尾。「自分は元々ダンスミュージック出身でテクノとか作ってたんですけど、ずっとピークタイムなのは疲れる。ずっとハイでピークな音楽は結局何も起きてないみたいになる」と述べ、バトルシーンではその緩急を意識したと明かし、「ピークは後ろにあるけど、要所要所も盛り上がってるという構造が作れたのはよかった」と振り返った。

さらに事前にファンからの募集した質問に答える場面も。原作から発展させた映画ならではのシーンについて問われると、𠮷原監督は「ライブ感を持ってということで、アドリブで絵コンテになかった要素を入れてます」と回答。例として、暴力の魔人が台風の悪魔を背にしたボムガールに指差すシーンをあげ、「元々絵コンテにはなくて、原画担当者がレゼが指差す芝居を加えたのを見て、チェック時に自分が対抗するように暴力(の魔人)にも指さしてもらって」と楽しげに語る。また中園も「ラストでマキマがデート終わりにデンジの心音を聞くシーンは、その後の原作を読んでる人には気づきになるかなと思って入れました。でも自分よりみんなのほうが遊んでた気がしますね」と振り返る。すると牛尾が「最後の対峙するシーン、後ろのビルの光がカウントダウンになってるの気づきました?」と発言。それに対し𠮷原監督は「悪魔がいる世界なのでビルの光が変わってもいいかなっていう遊びの1つとして」と答えると、牛尾は感心している様子だった。

最後は𠮷原監督が「原作も2部が連載中ですし『レゼ篇』で得た勢いを活かして、よりアニメで皆さんの印象に残る作品を描いていけたらと思っております」と感謝の言葉を述べる。そして「原作を知らなかったけど『レゼ篇』でチェンソーマンを知った、これからが気になるという新規層が増えるのもクリエイター冥利に尽きます。これからも応援お願いします」と伝え、トークショーを締めくくった。

劇場版「チェンソーマン レゼ篇」

公開中

スタッフ

原作:藤本タツキ(集英社「少年ジャンプ+」連載)
監督:𠮷原達矢
脚本:瀬古浩司
キャラクターデザイン:杉山和隆
副監督:中園真登
サブキャラクターデザイン:山﨑爽太/駿
メインアニメーター:庄一
アクションディレクター:重次創太
悪魔デザイン:松浦力/押山清高
衣装デザイン:山本彩
美術監督:竹田悠介
色彩設計:中野尚美
カラースクリプト:りく
3DCGディレクター:渡辺大貴/玉井真広
撮影監督:伊藤哲平
編集:吉武将人
音楽:牛尾憲輔
配給:東宝
制作:MAPPA

キャスト

デンジ:戸谷菊之介
ポチタ:井澤詩織
マキマ:楠木ともり
早川アキ:坂田将吾
パワー:ファイルーズあい
東山コベニ:高橋花林
ビーム:花江夏樹
暴力の魔人:内田夕夜
天使の悪魔:内田真礼
岸辺:津田健次郎
副隊長:高橋英則
野茂:赤羽根健治
謎の男:乃村健次
台風の悪魔:喜多村英梨
レゼ:上田麗奈

(c) 2025 MAPPA/チェンソーマンプロジェクト (c)藤本タツキ/集英社