「『宇宙戦艦ヤマト2205』は古代進の魂の復権の物語」福井晴敏が明かす

完成披露舞台挨拶より。左から中村繪里子、畠中祐、小野大輔、安田賢司、福井晴敏。(c)西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト2205製作委員会

「宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 前章 -TAKE OFF-」の完成披露舞台挨拶が、去る9月23日に東京・新宿ピカデリーで開催された。

1979年に放送されたテレビスペシャル「宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち」をモチーフに、全2章で描かれる「宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち」。その前半である「宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 前章 -TAKE OFF-」は10月8日より劇場上映され、同日にBlu-ray特別限定版販売とデジタルセル配信もスタートする。イベントでは作品上映前の舞台挨拶に監督を務める安田賢司、シリーズ構成・脚本を務める福井晴敏、古代進役の小野大輔、土門竜介役の畠中祐が登壇。司会を桐生美影役の中村繪里子が務めた。

冒頭で小野は「今日、この劇場はヤマトの艦橋(ブリッジ)です。皆さんはヤマトのクルーです。皆さんと一緒に宇宙へ出航したいと思います」と挨拶。「宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 前章 -TAKE OFF-」からヤマトの乗組員として登場する土門役の畠中は「この新しい旅が、そして新クルーが皆さまにどう受け取られるのか、どう届くのか、本当にドキドキしています。今日は『ヤマト』を楽しんで帰ってくれたらと思います」と心境を話した。

福井は前作「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」のラストシーンを踏まえ「古代進は地球に帰ってからも地獄だろうなと。全人類の総意で迎えてもらったのはいいけど、ここからはどこへ行ってもマスコミが追いかけてくるだろうし、心の休まるときはないでしょう。また、この先いろいろなことが起きるたびに、自分のせいで本来なら地球が持っている力を失ってしまったのかもしれないと、自責の念もあるだろうと思ったら、脚本チームでなんとかしないと駄目だなと」と古代への思いを語る。そして「『宇宙戦艦ヤマト2205』では、古代がまた違った苦難に向き合ったときに、『宇宙戦艦ヤマト2202』を含めた古代進の魂の復権の物語にしようということを、一番最初に決めました」と、「宇宙戦艦ヤマト2205」のポイントを明かした。

「宇宙戦艦ヤマト2205」で初めて「宇宙戦艦ヤマト」シリーズに参加した安田監督は「最初『ヤマト』を知らない人間に作ってもらいたいと言われ、であれば……ということで参加しました。いざやってみると、覚えないといけないこと、知らないといけないことが膨大にあって、これは聞いていた話と違う。そこから地獄は始まりましたね(笑)」と告白。「思った以上にキャラクターと歴史に深さがあって、今回はさらに『宇宙戦艦ヤマト2202』からの続きで新しい展開が出てくるので、そこを噛み砕きながらやっていこうと決めていきました」と述べる。さらに「宇宙戦艦ヤマト2205」の見どころについては「新人クルーがたくさん入ったというのもありますが、いろんな星であったり、いろんなドラマが同時進行で描かれていきます。もちろん、その1つひとつにメリハリをつけ、どう見せていくかというところでやっています。これまでもいろいろな作品を手がけていましたが、ここまでの情報量が詰まっている作品は初めてじゃないかな。そう思えるくらいのボリューム感がありますので、皆さんも驚かれるのではないかと思います!」と話していた。

畠中は自身が演じる土門について「台本を見ていても生意気だなと」と感じたそう。「彼自身が重いものを抱えているので『口先だけの大人には騙されない。古代進、あんたはどういう行動をとるんだ?』という立ち位置で、このヤマトに乗り込んでいます!」と役にかける思いを明かした。また「宇宙戦艦ヤマト」という作品については「本当にすごい熱量だと思います。総集編『『宇宙戦艦ヤマト』という時代 西暦2202年の選択』を劇場で観ましたが、本当に涙が止まりませんでした。普遍的で、ものすごく骨の太いメッセージを投げかけてくれる作品だと思いました。『宇宙戦艦ヤマト2205』では、新しい旅をより高い熱量で皆さんにお届けできると思いますし、本当に胸が熱くなると思います。是非スクリーンで感じていただけたらと思います」とメッセージを送る。

そんな畠中のキャスティングについて、福井は「ドーンドーンと、直角でまっすぐな感じが今回の土門にはピッタリだと思いました」とコメント。続いて小野は「熱量とか、突き進んでいく推進力とか、思いの強さが古代と土門は凄く似ていて、僕は小野大輔として自分の若い頃を見ているようで……。畠中祐という人に対してもそれに近い気持ちがあります」と、各々のキャラクターとキャスト自身に重なる部分があることも打ち明けていた。

イベントの終盤では、小野が観客に挨拶。「今、こうして劇場で皆さんと一緒に『ヤマト』の新しい旅立ちを共有できることが本当にうれしいです。『ヤマト』に関わらせてもらって、演じるたびに……つらいこと、決断を迫られて不安になったりすることや心の揺れをたくさん体験してきました。でも、一緒に旅をしてくれる仲間がいるからずっと旅を続けてこられたんだなと思っています。この時代、ひとつの試練を迎えているような気がします。でもきっとヤマトに乗っていれば、ヤマトと一緒に旅をしていれば、絶対乗り越えられると思います。ヤマトは希望の艦(ふね)です。皆さんこの艦に一緒に乗って、ここから未来へ旅立ちましょう!」と呼びかけ、舞台挨拶を締めくくった。