松本大洋「Sunny」で思い出にひと区切り、今後は「50歳ぐらいの男女を描けたら」

「Sunny」の展示の様子。

「第20回文化庁メディア芸術祭 受賞作品展」の内覧会が、本日9月15日に東京・NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]、東京オペラシティアートギャラリーにて実施された。

第20回文化庁メディア芸術祭にてマンガ部門の大賞を受賞した、石塚真一「BLUE GIANT」を始めとするマンガ作品の原画などが展示される同イベント。コミックナタリーでは優秀賞に選ばれた「Sunny」の作者・松本大洋に取材を行った。

「Sunny」を「やろうかやるまいか最後まで悩んだ作品だった」と語る松本は、受賞について「純粋にうれしかったです」とコメント。「恨み節のようになって、放り出してしまうような作品にはならなかったかなと自信はあるんですが、こうやって認めていただけると作品としてちゃんと成立してくれたかなと思いました」と述懐した。また「メディア芸術祭で選ばれるマンガの作品ってみんな面白いので、その中に入れてもらえたのがうれしかったです」とも述べた。

松本が自身の幼少期の体験を描いた「Sunny」。印象深かったことを聞くと、「足立というキャラクターにはモデルがいて、その人とは天敵でずっといがみ合っていたのですが、彼をカッコよくかけたのはよかった」と思い返す。「当時のことは思い出したくない部分もあるんですが、いいか悪いかはわからないですが、美化して描けたなと思います。自分の中で、この時代の思い出に関してはひと区切りがついた感じになりましたね」と心境を明かした。

さらに今後描いていきたい作品を問うと、「もう50歳になるので、あんまり子供ばっかり描いていないで、50歳ぐらいの男女を描けたらいいなと今は思っています。子供は描ききったのかもしれないです」と展望を明かす。また会場には、第11回文化庁メディア芸術祭マンガ部門で優秀賞を受賞した「竹光侍」で原作を務めた永福一成の姿も。今後も2人で描くことはあるかと聞いてみると、松本は「機会があれば」、永福は「頼んでくれればいつでも」と笑顔で語ってくれた。

「第20回文化庁メディア芸術祭 受賞作品展」は、明日9月16日から28日まで東京・NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]、東京オペラシティアートギャラリーほかにて開催。「BLUE GIANT」の原画や楽器のほか、マンガ部門の優秀賞を受賞した「Sunny」、筒井哲也「有害都市」、ユン・テホ、古川綾子訳、金承福による「未生 ミセン」、新人賞に選ばれた畑優以「ヤスミーン」、清家雪子「月に吠えらんねえ」、灰原薬「応天の門」の原画や資料などが展示されている。

また優秀賞に選ばれた、林律雄原作による高井研一郎「総務部総務課山口六平太」の最終話の原稿、高井の私物なども登場。アニメーション部門で優秀賞に選ばれた大今良時原作の「映画『聲の形』」の資料も閲覧可能だ。会期中は多数の関連イベントが催されるので、気になる人は足を運んでみては。

第20回文化庁メディア芸術祭 受賞作品展

期間:2017年9月16日(土)~28日(木)
会場:東京・NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]、東京オペラシティ アートギャラリー ほか
料金:無料