「ジオラマボーイ・パノラマガール」冒頭映像公開、小沢健二ら12人のコメントも

2020年10月23日2020年10月23日 editor

映画「ジオラマボーイ・パノラマガール」メインビジュアル

岡崎京子原作による映画「ジオラマボーイ・パノラマガール」の冒頭映像が公開された。

映像には山田杏奈演じるハルコが慌ただしく朝の支度をするシーンや、鈴木仁演じるケンイチが衝動的に学校を辞める様子、そしてそんな2人が建設途中のビルやマンションが立ち並ぶ東京の街ですれ違う姿が映されている。また小沢健二、吉本ばなな、黒沢清、山内マリコ、濱口竜介、今泉力哉、佐々木敦、しまおまほ、オカモトショウ（OKAMOTO’S）、ラブリーサマーちゃん、環ROY、NANAE（seven oops）という各界の著名人からコメントが到着。作品について思い思いに語っている。

11月6日に全国公開される映画「ジオラマボーイ・パノラマガール」は、東京で暮らす平凡な女子高生・ハルコと、彼女がひとめぼれした男子・ケンイチを主人公とした物語。映画では舞台が現代に置き換えられ、未来への不安を抱えつつも“今”を生きる若者たちの恋と成長が描かれる。

小沢健二コメント

キッズなるものは透明な、抽象的な、誰でもない魂として在り、
その身体が僕や京子さんでも、この映画の彼や彼女でも、
そして今はまだガキンチョの子たちでも、永遠に続くのかも
──そうだ、きっと、大人なるものも。

吉本ばななコメント

若いときだけの苦しみ、キラキラを細部まで再現。
なんだか、とーってもいい映画だったな！

黒沢清コメント

埋立地の青春は空を飛ぶがごとく、滑らかで、白く、薄い。地に足など絶対に着けぬ。
ちょっと不安だがそれが冷徹な現実というものだ。私はこの二人に未来を任せていい気がしてきた

山内マリココメント

建設中のタワーマンションを遊び場にする東京の子供たちがまぶしい。
元気いっぱいに片想いする女の子と、たじろぐ男の子も。
あちこちで、20世紀と21世紀が交差する。
都市の風景は無慈悲なほどあっけなく変わる、流行は素知らぬ顔で循環する、
人だって交換可能なパーツみたいに入れ替わっていく。
たしかなことはただ一つ。世界はいつだって十代のもの。

濱口竜介コメント

重層的な都市空間で、ボーイ・ミーツ・ガールやガール・ミーツ・ボーイやガール・ミーツ・ガールが交錯する。
少女たちはすれ違い、振り向き、倒れ込む。
身振りの数々が、彼女らのからだを突き動かしているものを語らずとも示す。
2020年代、天才が本領を発揮する。その嚆矢！

今泉力哉コメント

瀬田なつき監督の映画が好きだ。
どきどきする。
登場人物が、映画がずっと踊ってる。
この映画に流れる時間。せつない目線。
山田杏奈さんも鈴木仁さんも好きになる。

佐々木敦コメント

高低差へのこだわり、ガール・ミーツ・ボーイ、日常に穿たれる異世界、
これはまぎれもなく瀬田なつきの映画だ。
岡崎京子的世界の現在への時間移動ではなく、岡崎京子的世界の現在形の不成立こそが、本作のテーマだ。
すなわち、シリアスの否定の否定、ピュアへの懐疑の終わり。

しまおまほコメント

ああ、わたしっていつ岡崎京子の世界みたいな人物になれるのかしらってあの頃は悩んでいたけれど。
振り返れば、立派に登場人物やっていたじゃないかって思う。カッコいい役じゃあなかったけれど。
……今だって。駆け抜けるような、涙が出るほど酸っぱい青春はもうそこにはないけれど。
ふと見上げる青空が、あ、今わたし岡崎京子の世界にいる。
そう思わせることが、たまにあるのだ。

オカモトショウコメント

“岡崎京子”というファンタジーの中に出てくる東京はなぜか少しノスタルジックで、
それでいてまだよく知らないものに溢れている。
あのワールドを構成する詩や、
歌のような言葉たちの行間に流れる独特の空気感を捉えて映し出した監督はすごい！
いつの間にか忘れてしまっていた大事なことを少しだけ思い出せたような映画でした。

ラブリーサマーちゃんコメント

すれ違っても出会わないような、そこらじゅうに溢れる、なんてことない出会い。
敬語の二人。不意にタメ口になる二人。敬語に戻る二人。
そんな些細な出来事を見逃さず、誇張せず、茶化さない作品で嬉しくなりました。
衒いなくありのままでいることしかできないティーンエイジャー。
青臭い恥ずかしいセリフも言えるし、なんだってできてしまう。
泣いたり、ぬか喜びしたり、大変そうだけど楽しそう。その瑞々しさが眩しかったです。
SFのような世界であっても、人の愚かしさ、愛らしさ、人との出会いは、いつまでも普遍的なものです。
そして恋は言ってみりゃボディー・ブロー！