クズの本懐、DIVE!!、いぬやしき、カバネリも!ノイタミナ発表会で新情報続々

「ノイタミナプロジェクト発表会2017」の出演者たち。

「ノイタミナプロジェクト発表会2017」が去る12月15日に東京・お台場のフジテレビ本社にて行われた。コミックナタリーでは、その会場の様子をレポートする。

2005年4月に、「アニメの常識を覆したい」「すべての人にアニメを見てもらいたい」という思いから創設された深夜アニメ枠「ノイタミナ」。これまで「ハチミツとクローバー」「働きマン」「のだめカンタービレ」「坂道のアポロン」など数多くのアニメが放送されてきた。今回の発表会では、その「ノイタミナ」枠で2017年にオンエアされるアニメ作品や、ノイタミナプロジェクトの劇場作品の情報が一挙に発表された。

映画「夜は短し歩けよ乙女」、映画「虐殺器官」の作品情報が次々と公開されたのち、イベントは横槍メンゴ原作によるアニメ「クズの本懐」のコーナーに突入し、安楽岡花火役の安済知佳、粟屋麦役の島崎信長が登場。安済は自らが演じる花火のキャラクターを説明するも「花火ちゃんは見た目はそんなに違和感を感じない、どこにでもいそうな子だと思うんですけど……。一途で素直な性格ってプロフィールに書いてある通りなんですけど、純粋すぎて……純粋をこじらせているというか……」と徐々に尻すぼみに。島崎が「鳴海お兄ちゃんがね」と助け舟を出すと、「そう! お兄ちゃんが好きです! ガチなんですよ!」と相槌を打った。

島崎も「麦くんもいろいろありまして、思春期をこじらせてる少年です」と断言。「麦も花火もお互い好きな相手がいて、お互いの思いが届かないんじゃないかって思って。じゃあ僕たち私たちで慰めあおうかとなり……」と主役2人の関係を説明する中、思わずボルテージが上がったのか「最近の高校生はそんな感じなんですか!? 進んでるんですかね??(笑)」と周囲の人間に迫る一幕も。

ここで新規カットを加え、96猫によるオープニングテーマ「嘘の火花」と、さユりによるエンディングテーマ「平行線」が流れるアニメの第2弾PVがスクリーンに映し出される。歪んだラブストーリーが展開される本作のPVを観終わった安済は「すべてさらけ出します。やり遂げる」と決意を新たに。島崎も「あんなシーンやこんなシーンにもまっすぐに向き合っていきます」と語った。

続けて、アニメと同じく2017年1月よりフジテレビで放送される実写ドラマ「クズの本懐」で、安楽岡花火役を演じる吉本実憂と粟屋麦役を演じる桜田通が登壇。アニメの第1話を観たばかりという吉本は「アニメを観て、花火というキャラを、いい意味で裏切られた。改めて撮影に臨む意志が出てきました」と意気込む。普段からアニメをよく観る桜田は「『クズの本懐』のアニメ第1話がよすぎて“スンッ”となりました」と独特の表現で感想を述べ、「このアニメと一緒に放送されることの光栄さとプレッシャーを一気に、リアルに感じてしまって。ちゃんとアニメからいい影響をいただいて、参考にできることはして、もっと作品としてドラマ『クズの本懐』のクオリティを高めていきたい」と思いを明かした。なお月刊ビッグガンガン(スクウェア・エニックス)にて連載中の原作マンガは、来春完結することが発表された。テレビアニメと実写ドラマのどちらも、原作の最後まで描かれるとのこと。

次に登場したのは、覆面レスラーのスーパー・ササダンゴ・マシン。プレゼンテーションを得意とするスーパー・ササダンゴ・マシンは、「現代のアニメマーケットにおけるノイタミナの課題の分析とその打開策についての考察」と題したパワーポイント資料をスクリーンに投影させる。経営戦略のための戦術を立案するSWOT分析を駆使し、ノイタミナ作品には「男たちの熱いぶつかり合い」「かけがえのない一瞬」「シズル感あふれる肉体美」「ほとばしる汗のスプラッシュ」が必要だという理路整然としたプレゼンを披露。最終的にはプロレスをテーマにしたアニメ作品を制作するよう畳み掛けたが、ノイタミナ側は森絵都の青春スポーツ小説「DIVE!!」を原作としたアニメを2017年7月よりオンエアすると発表した。

アニメ「DIVE!!」のキャラクター原案はヤスダスズヒト。鈴木薫監督のもと、待田堂子がシリーズ構成を手がけ、アニメーション制作はゼロジーが担当する。ステージには主人公の坂井知季役を演じる梶裕貴、鈴木薫監督、待田堂子が登場。梶はスクリーンに映し出されたヤスダによるキャラクターたちのイラストを見ながら「僕もまだ情報を知らされる前で、このイラストは初めて見ました。いろんな作品でお世話になっているヤスダスズヒト先生がキャラ原案というのも最近知って。ご縁がありますね」と感慨深げに話す。水泳競技のひとつである飛込競技を題材にした本作について鈴木監督は「水泳の競技なので、もうひとつの主役は水。水面の美しさ、きらめきと一緒に、少年たちのまぶしさも描いていきたい」と結んだ。

そしてまたしてもスーパー・ササダンゴ・マシンがステージに現れる。日本のアニメマーケットは1.8兆円の市場規模があることを指摘するスーパー・ササダンゴ・マシンは、少子高齢化に向かう日本社会にも目を向け、50~60代向けのアニメコンテンツの必要性を提示。「老人の熱いぶつかり合い」「かけがえのない余生」「熟成感あふれる肉体美」「ほとばしる汗のスプラッシュ」を高齢者向けコンテンツの要素と定め、最終的にヘミングウェイの「老人と海」のアニメ化を主張した。しかし、ノイタミナ側が発表した10月放送のアニメは、冴えない初老のサラリーマン・犬屋敷とイケメン高校生の獅子神という対照的な2人を奥浩哉が描くSF作品「いぬやしき」。スーパー・ササダンゴ・マシンも「なるほど」と納得の表情を見せた。アニメ「いぬやしき」はさとうけいいちが総監督、籔田修平が監督を務め、アニメーション制作はMAPPAが担当。また2018年に実写映画化されることも明らかになった。

続けて紹介されたのは、美樹本晴彦キャラクター原案によるアニメ「甲鉄城のカバネリ」。荒木哲郎監督、生駒役の畠中佑、逞生役の梶裕貴がステージに上がり、アフレコのエピソードなどトークを展開した。そして「甲鉄城のカバネリ」の新作が、2018年完成を目指して制作されることが明らかに。荒木監督が「ドラマCDにしても劇場の新シーンにしても、それ(新作)を作ることを前提に。(新作は)繋がる話というか、後日談になってる」と説明すると、梶は「後日談というと……あれ、逞生……」と自らが演じたキャラクターについて思いを馳せた。畠中は「まずは映画。劇場に足を運んでいただいて、楽しんでいただけたら」と12月31日から前編、2017年1月7日から後編が公開される劇場版「甲鉄城のカバネリ 総集編」をアピール。梶も「いろいろと発表されてうれしい限りです。改めて客観的に『カバネリ』を観て、面白い作品なんだなと実感できました」と語った。