「BEASTARS」舞台版ビジュアルに板垣巴留が太鼓判、「でも一番は先生ですよ」

左からルイ役の竹中凌平、レゴシ役の川上将大、板垣巴留、ハル役の桑江咲菜。

板垣巴留原作による舞台「BEASTARS THE STAGE」の合同マスコミ取材会が、去る2月19日に都内にて実施。板垣と、レゴシ役の川上将大、ルイ役の竹中凌平、ハル役の桑江咲菜が登壇した。

取材はキャストと板垣の対談形式で進行。それぞれが演じるキャラクターに扮した川上、竹中、桑江に対し、板垣は作中のキャラクター・レゴムの着ぐるみを着用して対談に挑んだ。まずは「BEASTARS」の舞台化に対する感想を尋ねられると、板垣は「メディア展開するなら、アニメよりも舞台のほうがやりやすい作品かもな、とは思っていました。人間が動物を演じる楽しさというのは舞台映えするというか、舞台で活かされそうだなって」と語る。

川上は「僕はうれしい反面、初めて主演をやらせていただくので重圧が先に来たんですけど。でもすごく注目されてる作品だと思いますし、性格的には期待されてると『いいもの見せるぞ』という気持ちになれます。(稽古は)これからですけど楽しみです」と頼もしいコメント。

原作やアニメとは異なる、舞台版独自のビジュアルに対して板垣は「本物を見たのは今日が初めて。『見たときに笑ってしまったらどうしよう、そういう失礼なことをしないようにこらえよう』と思ってたんです(笑)。でも完成度が高くて感動のほうが大きかったです。違和感がないですね」と感想を語る。これにはキャスト陣も「よかった」「うれしい」と安堵しながら、桑江が「でも今日、一番(のインパクト)は先生(の着ぐるみ)でしたけどね(笑)」と笑い、川上も「食われました、僕たち(笑)」と続けた。

キャスト陣でこの3人が勢揃いしたのは、今回が初めてとのこと。川上が「ナイスキャスティングじゃないですか?(キャラに)似てるし」と2人に印象を伝えると、桑江も「(川上が)レゴシの格好で現れたのを見て『あ、レゴシ!』ってなった」と返す。さらに竹中が同意しつつ「俺は将大とは共演経験があるんですけど、性格もすごくレゴシっぽい。ネガティブなんですよ(笑)。そこも知っててキャスティングされたのかなって」と、配役の妙について盛り上がった。

キャストから板垣への質問が促されると、桑江は「ご自身が飼ってたペットがキャラクターのモチーフになったキャラもいるんでしょうか」と尋ねる。板垣が「いや、逆にいないんですよ。犬が好きすぎて、飼ったら正気じゃいられないから飼わないんです(笑)」と回答すると、ここでイヌ科であるハイイロオオカミを演じる川上は犬を飼っていること、ドワーフウサギを演じる桑江が実家でウサギを飼っていたことが明らかに。これを受けた川上が竹中に、「……ってことはシカを飼ってた?」と振ると、竹中は「ザリガニしか飼ったことない……(笑)」と見事なオチをつけた。

ここからは集まったマスコミ陣からの質問コーナー。それぞれが演じるキャラクターに対する印象を問われると、川上は「自分とレゴシは似ている」と言う。「僕は体も大きいし目つきも悪いから、ヤンチャっぽいと勘違いされるんですよ。めちゃくちゃしゃべるのでコミュ力が高くてポジティブシンキングみたいにも言われるんですけど、でも本当はネガティブなんです。レゴシも肉食獣として、ハイイロオオカミとしての本能はあるけど、それを出しちゃうと……っていうところでオオカミらしさを隠してる。そういう意味ではリンクしてるなって」と、自身が演じるキャラクターとの共通点について分析する。

続いては「板垣先生は映画がお好きで、学生時代も映画について学んだそうですが、レゴシが演劇部になった理由は?」という質問。これに板垣は「初期はかなりふわっとストーリーを考えてるから、『これを伏線に』とか『この設定は大事』っていう作り方はしてないんですけど」と前置きしながら、「演劇を見に行くのも好きなんですよ。舞台裏にすごく興味があって、舞台を見つつ、そこを楽しんでいる。今思えば、そこに魅力を感じて演劇部にしたんだろうなって」と回答。今回の「BEASTARS THE STAGE」についても機会があれば舞台裏を取材したいとのことだ。

キャスト陣には「原作で印象に残ってるシーンは」との質問が飛ぶ。3人が「難しい」「全部素敵だった」と悩む中、「2人が深い話をする前に(笑)」と切り出したのは桑江。「レゴシがジュノにダンスを教えるシーンで、ジャージを脱いでTシャツ姿になるじゃないですか。あそこはすごくキュンポイントです。腕のスジとかが見えて、『やっぱりこの人カッコいいよ』ってなるシーンで『わかる! それ、人間界でも同じ!』みたいな」と女子目線で熱弁してみせた。

好きなシーンについて竹中は「まだアニメでもやってないのでネタバレになるかもしれないけど」と、レゴシと食殺犯の対決における、ある衝撃シーンを挙げる。これには板垣が「あそこ、めっちゃ炎上しましたけどね」と苦笑いしつつ「あそこを好きと言ってもらえるのはうれしい」と喜んだ。続く川上は「僕が『BEASTARS』で好きなのは、本能だけで生きていけない社会で、じゃあどう生きていくのかっていうところ。だから裏市のシーンが好きなんですよね。裏市に行って『ダメだ』って言いながら、よだれが止まらないレゴシが印象的」とコメント。竹中が「そのシーン、舞台でもたぶんあるよね」と言うと、川上は「楽しみ。よだれ、出るかな(笑)」と笑った。

最後に板垣が、舞台について「私は『BEASTARS』をあまりファンタジーとしては書いてなくて、人間の生々しさ、生きてる姿を描きたいだけみたいな感じ。それを生身の人間が演じてくれるのはうれしい。『BEASTARS』がどんな形に変わるのか楽しみです」と期待を口にする。竹中は「さっき好きなシーンとして挙げたところが大好きなんですよ。できたらそこまでやりたいので、がんばりたいと思います」と意気込んだ。

続く桑江は「台本もまだ手元にはないんですけど、なぜか『絶対に面白いものになる』っていう確信を持っています。マンガやアニメにない表現方法が舞台にはあると思うので、そこを楽しみにしていただけたら」と期待を煽る。さらに主演の川上が「僕も同じ気持ちで、舞台という生ものでしか出せない熱量や表現に注目してほしい。『BEASTARS』の世界観をみなさんと共有できたらいいなと思います」と意気込み、取材会は終了した。「BEASTARS THE STAGE」は、4月30日より東京・日経ホールにて、5月8日より大阪・松下IMPホールで上演される。

「BEASTARS THE STAGE」

日程:2020年4月30日(木)~5月4日(月・祝)
会場:東京都 日経ホール

日程:2020年5月8日(金)~5月10日(日)
会場:大阪府 松下IMPホール

スタッフ

原作:板垣巴留『BEASTARS』(秋田書店「週刊少年チャンピオン」連載)
脚本・演出:伊勢直弘
監修:週刊少年チャンピオン編集部

美術:村上薫
技術監督:寅川英司
舞台監督:大友圭一郎
照明:田中徹
音響:前田規寛(ロア)
衣裳:瓢子ちあき
ヘアメイク:新妻佑子
小道具:平野雅史
アクション:潮見勇輝
舞台音楽:Yu(vague)
演出進行:丹治泰人(SPM)
演出部:高澤裕子/織田圭佑/薬師寺ほのか
宣伝美術:羽尾万里子(Mujina:art)
宣伝写真:金山フヒト
Webデザイン:EAST END CREATIVE

キャスト

レゴシ:川上将大
ルイ:竹中凌平
ハル:桑江咲菜
ゴウヒン:谷口賢志
ジュノ:佐倉花怜
ビル:田中彪
ジャック:伊崎龍次郎
ほか

(c)「BEASTARS THE STAGE」製作委員会