オムニバスSF「AIの遺電子」が人工知能学会の選定するAI ELSI賞を受賞
山田胡瓜「AIの遺電子」が、人工知能学会の定めるAI ELSI賞のPractice部門を受賞した。
週刊少年チャンピオンにて連載された「AIの遺電子」、その続編で別冊少年チャンピオン(ともに秋田書店)に連載された「AIの遺電子 RED QUEEN」は、国民の1割がヒューマノイドとなっている近未来を舞台としたSF。人間とは違うヒューマノイドならではの病とそれにまつわる物語が、彼らを治療する医者・須堂を中心に描かれた。
AI ELSI賞は、人工知能学会倫理委員会が企画・運営を務めるもの。AI技術を単に研究開発の中で捉えるのではなく、社会との関係やAI技術の倫理的側面を考える点において顕著な活動を表彰することを目的に今年創設された。
人工知能学会倫理委員会の公式サイトでは、今回の選定理由も公表。「技術や倫理・法の専門家が具体的 / 専門的な課題から議論を始めてしまう一方、本作は登場人物の日常生活や心情を中心に扱うことで、広く一般の人にも読みやすい物語となっています」と作品に言及した上で、「また漫画という学術関係者が表現できない媒体を用いることで、学術における課題と社会を繋いだ点がAI ELSI賞のPractice部門にふさわしいと評価されました」と、サービスや製品、フィクション作品などの実践的活動を対象としたPractice部門に選ばれた理由を明かした。