舞台はみだしっ子第3弾は「山の上に吹く風は」、倉田淳「少年たちの分岐点」

スタジオライフの舞台「はみだしっ子~White Labyrinths~」ビジュアル。

三原順原作による舞台「はみだしっ子~White Labyrinths~」が、スタジオライフにより2020年1月8日~19日まで東京・新宿シアターサンモールにて上演される。去る10月29日に都内にて製作発表記者会見が行われた。

1974年より花とゆめ(白泉社)にて連載された「はみだしっ子」は、グレアム、アンジー、マックス、サーニンというまったく個性の異なる少年たちの放浪と成長を描いた物語。2017年にスタジオライフにより初舞台化され、2018年には続編となる舞台「はみだしっ子~in their journey through life~」も披露された。3度目の舞台化となる「White Labyrinths」では、4人の少年たちの人生の分岐点ともいえる事件が起こる「山の上に吹く風は」のパートを上演する。

記者会見では、芳崎せいむも登壇。「金魚屋古書店」にて「はみだしっ子」を登場させるほどの三原ファンである芳崎は、「はみだしっ子」全6巻の中で「山の上に吹く風は」がターニングポイントになっていると話す。「世間から追い出され居場所がなくなった4人の少年が1つのシェルターを作った。当時の一般的な少女マンガでは、主人公を取り巻くシェルターが描かれることが多かった。『はみだしっ子』は4人が疑似家族的な愛情を持って寄り添い合い、時には世間の風に触れながらも、またシェルターに戻るという物語だった」と1~3巻までの内容に言及。そして4巻で描かれた「山の上に吹く風は」について「シェルターが破壊される展開。雪に閉ざされた山の上で4人の周りを大人たちが取り囲む密室劇で、いわば山の上が小さい世間であり世界の縮図になっているんです。タイトルの『山の上に吹く風』は世間の風を意味している。未熟なままシェルターを失うさまが描かれたのは、当時の少女マンガでは初めてのことだった。残酷かつドラマチックな展開で、三原先生は少女マンガの可能性を広げたんです」とマンガ家ならではの視点で分析してみせた。

脚本・演出の倉田淳は「『山の上に吹く風は』は、4人にとっては大きな分岐点。自分たちのシェルター、彼らが言うところのサンクチュアリにひびが入って、世間と対峙し、自分たちを見つめ直すというハードな話です。自分としても心して向かい合わなければいけないと覚悟を新たにしました。(スタジオライフで上演するにあたって)『山の上に吹く風は』まではたどり着きたいと思っていました。でも、この先を舞台化するのは、ちょっと時間をおかないとできないかもしれません」と心中を明かす。

続いて出演キャストが意気込みを述べるコーナーに。客演としてマックスを演じる八島諒は「このような会見は初めてで心臓の音が聞こえるくらいに緊張しています。40年以上も愛されている作品。3作目に出演させていただき、プレッシャーはありますがそれをはねのけて、妥協なく一生懸命取り組んでいきたい」、同じく客演としてシドニーを演じる田中彪は「僕は今年で28ですが、僕が生まれる前からの作品に出演させていただけることに感謝しております。お客様に愛される作品になるようにしたい」とコメントした。

アンジー役の松本慎也は本作について「極限状態で社会の倫理から切り離されたはみだしっ子4人の軋轢が舞台の見どころ」と語り、「真摯に突き詰めていく劇団なので、生のリアルな感情をお客様に届けられるように。原作を知らなくても演劇作品として楽しんでいただける作品にしたいと思います」と決意を語った。

「はみだしっ子~White Labyrinths~」のチケットは、12月1日に一般販売がスタート。舞台はTBCとCAPの2チームに分かれ、グレアム、アンジー、マックス、サーニンはダブルキャストで演じる。

スタジオライフ「はみだしっ子~White Labyrinths~」

日程:2020年1月8日(水)~19日(日)
会場:東京都 シアターサンモール

原作:三原順 (c)三原順/白泉社
脚本・演出:倉田淳

キャスト

TBCチーム / CAPチーム
グレアム:仲原裕之 / 関戸博一
アンジー:松本慎也 / 宇佐見輝
サーニン:千葉健玖 / 澤井俊輝
マックス:伊藤清之 / 八島諒
シドニー:田中彪

船戸慎士、曽世海司、石飛幸治、吉成奨人、鈴木宏明、富岡良太 ほか

※関戸博一はCAPチームのみの出演。