中村明日美子が「ダブルミンツ」キャストとトーク、「BLは懐が深いジャンル」

左から冨手麻妙、田中俊介、淵上泰史、川籠石駿平。 (c)2017「ダブルミンツ」製作委員会 (c)中村明日美子/茜新社

中村明日美子のトークショーが、本日6月10日に東京・渋谷のGALLERY X BY PARCOにて行われた。

これは明日6月11日まで同会場で実施されている、展覧会「中村明日美子展」の一環として催されたもの。イベントには事前に出演がアナウンスされていた明日美子、映画「ダブルミンツ」で壱河光夫役を務めた淵上泰史、麻美役を務めた冨手麻妙の3人ほか、映画で市川光央役を演じた田中俊介(BOYS AND MEN)、高校時代の壱河光夫役を演じた川籠石駿平が急遽加わり、計5名が登壇した。

展覧会スペースの一部で開催されたこともあり、周囲に明日美子の原画が並ぶなかで進行した本日のトークショー。明日美子が「きれいに並べていただいてありがとうございます」と挨拶すると、かねてから明日美子の大ファンだったという冨手は「ちゃんとゆっくりくるくる見て回りたいです」と興奮した様子を見せる。淵上が原画を見渡し「毒がある感じがして、先生の小さな体のどこからこの毒が出ているのかなって思っちゃいます」とつぶやくと、明日美子は「日々の暮らしの中に毒があるのかも」と回答。本展覧会に足を運ぶのはこれが3回目だという田中は、「めっちゃ(原画が)欲しいです。何回も来ても『素敵だな』って思うところがある」と語れば、川籠石も「中村先生の作品って、必要以上のことをしないんですけど、それ以上の空気感を感じさせてくれると思うんです。近くで原画を見させていただいてその空気がより伝わってきましたし、僕も原画が欲しくなりました」と続けた。

本日のイベントは事前に寄せられた質問に、登壇者が回答する形で進行。「作品のアイデアはどんなときに生まれるか」という質問に対し、明日美子は「暮らしの中で生まれるとしか言えないですかね」としながら、「私は『こういうシーンが描きたいな』というところから描き始めるので、『そこしか考えていなかった』ってこともあったりします。それを第1話に描いちゃうと、『このあとどうなるんだろう』ってなることも」と制作模様を説明。アナログで描き続けている理由を問われると、「ただ(時代に)置いていかれているだけです(笑)。『デジタルならもっときれいに描けるのかな』と考えたりするんですが、アナログだとこうやって原画展もできますし、(アナログで作画する)最後の1人になるのもいいかなと思います」と答えた。

その後質問は「ダブルミンツ」関連の内容に。「(内田英治監督に)『映画化を任せてもいい』と思った部分は」との問いに、明日美子は「最初、監督から編集部宛に直接『映画化したい』という電話がかかってきたらしいんです」「企画書を提出してもらって、映画化に向けてのダメ出しもたくさんしたんですが、それに英治が(粘って)ついてきてくれたので(笑)」と、映画化は内田監督の熱意の賜物だったことを明かす。内田監督の熱意について淵上は「そういう作業を2年近くやっていたらしいんですが、それだけやれば、そりゃあいい映画になるよなと思います」と自信ありげにコメント。撮影に入るまで1年近くの時間があったという田中は、「役者としての経験が浅いというのもあり、撮影に入るまでの1年、BOYS AND MENを一歩離れたときは、この作品のことだけを考えて過ごしていました」と回想する。淵上は田中の発言について、「役者には私生活でも役のことを考え続けて役作りをする人と、現場とプライベートでオンオフを完全に切り替える人がいるんです」と説明しながら、「撮影の中盤くらいのときには田中くんに『私生活であまりに役に引っ張られすぎないように』とアドバイスしたりもしました」と撮影を振り返った。

最後に「先生にとってBLとは何か」と問われた明日美子は、「いろんな作家さんがいるので、あくまで私の場合なんですけど」と前置きし、「基本的には男同士の恋愛が入っていれば、何を描いてもいいという、懐が深くて自由度の高いジャンルだと思っています。そのなかでせっかく作品を世に出すので、BLを読んだことのない人が手にとっても『面白い』って言ってもらえるようにしたいと考えています」とBLというジャンルへの思いを述べた。

「ダブルミンツ」は壱河光夫と市川光央、同じ名前を持つ2人の男を描いたBL。映画は東京のシネ・リーブル池袋ほかにて目下公開されている。

実写映画「ダブルミンツ」公開記念 中村明日美子

会期:2017年6月1日(木)~6月11日(日)
時間:11:00~20:00
会場:GALLERY X BY PARCO

(c)2017「ダブルミンツ」製作委員会 (c)中村明日美子/茜新社