「超人ロック」を難波圭一が懐かしむ「冒頭とラストのセリフで悲哀を表現」

難波圭一

聖悠紀原作による劇場アニメ「超人ロック」のトークイベント付き上映会が、“いいロックの日”にあたる去る11月6日に東京・新宿ピカデリーにて開催された。

1984年に公開された劇場アニメ「超人ロック」をHDテレシネ版の高画質で収録したBlu-rayが、本日11月7日にリリースされることを記念して行われた同イベント。トークショーには主人公・ロック役を務めた難波圭一、アニメ評論家の藤津亮太、MCとしてアニメライターの小林治が登壇した。

本日のイベントではまず藤津と、過去に月刊OUT(みのり書房)で聖の担当編集を務めた経歴を持つ小林が、「超人ロック」の歴史や劇場版が公開された1984年のアニメーションの制作事情などについて解説。藤津は本作のアニメ化までの道のりについて「『超人ロック』はファンの間では『いつアニメ化するの?』という状況がずっと続いていて、1984年の劇場アニメ化は満を持してのことだったんです」と振り返る。

本作で初めて役名が付いたキャラクターを演じたという難波は、「(ロック役は)オーディションで決まりました。当時は劇団薔薇座に所属していて、ニューヨークにミュージカルの勉強に行こうと思ってお金を貯めていたんです。正直受かるとは思っていなかったんですが、役に決まったときに劇団の代表だった野沢那智さんに『ニューヨークはいつでも行ける。でもこういうチャンスは2度とないから、これに全身全霊で打ち込んでもらいたい』とおっしゃっていただいて」と、キャラクターを演じるに至るまでの経緯を説明。当時は声の演技についての勝手がわからず、音響監督の言うがままに演じたという難波に、藤津が「どういう注文があったんですか?」と問いかけると、難波は「それが覚えていないんです。自分に都合が悪いことは忘れてしまうみたいで(笑)」と語った。

そんな中でもロックを演じるうえで大切にしたことについて難波は「映画の最初と最後に『人違いだ』というセリフがあるので、そのシーンごとの違いを通して、ロックの持っている悲哀を出せないかなと考えていました」と回想。また難波はこの日のイベントが新宿ピカデリーで行われていることに触れ、「ちょうど劇場版の初日舞台挨拶をやったのが、改築前のピカデリーだったんです。そのとき舞台袖で『出番です』とキューを出してくれたのが、当時松竹の社員だった小杉十郎太でしたね」と思い出話に花を咲かせる。さらに「『超人ロック』に出演したあと『これでアニメの声優は終わりかな』なんて思っていたんです。ただ当時バイトしていた居酒屋で、僕がいる時間に必ず有線で劇場版の主題歌だった『星のストレンジャー』がかかって。もしかしたら誰かが僕がこの時間に居酒屋にいるのを知って、『後押しするためにリクエストしてくれているのかもしれない』なんて思っていました」と、当時を懐かしんだ。

「超人ロック<劇場版>」

スタッフ

原作:聖悠紀
監督:福富博
脚本:大和屋竺
音楽:淡海悟郎
キャラクターデザイン:聖悠紀、白梅進
メカニックデザイン:小泉謙三、木上益治
作画監督:白梅進
制作:日本アニメーション
製作:日本アニメーション、松竹

キャスト

ロック:難波圭一
リュウ・ヤマキ:安原義人
ジェシカ・オーリン:潘恵子
コーネリア・プリム:藤田淑子
ラムセス教授:柴田秀勝
レディ・カーン:中西妙子
聖母ルウ:信澤三恵子
ベル中尉:銀河万丈
ウド:千葉繁

(c)聖 悠紀/日本アニメーション・松竹