「若おかみは小学生!」高坂監督がグローリー・水領の人気に「しめしめ」

映画「若おかみは小学生!」トークイベントの様子。左から豊田智紀、高坂希太郎、齋藤雅弘。

映画「若おかみは小学生!」のトークイベントが10月5日に東京・新宿バルト9にて開催された。

「若おかみは小学生!」は青い鳥文庫(講談社)の同名児童文学作品を原作にしたアニメ。両親を亡くして祖母の温泉旅館「春の屋」で暮らすことになった小学6年生の女の子・関織子こと“おっこ”が幽霊のウリ坊や周囲の人々に助けられながら若おかみとして奮闘する様子が描かれる。イベントには、高坂希太郎監督、プロデューサーの齋藤雅弘と豊田智紀が登壇した。

司会から作品の手応えを聞かれた高坂は「作っているときは、『あまりお客さんが入らないんじゃないか』と話していました」と率直に述べる。続けて「児童文学には触れてこなかったし、こういう目の大きいキャラクターにも接点がなかったので『なんでわたしが若おかみ!?』という感じで引き受けたんです」とTVアニメ第1話のサブタイトルを引用し、会場の笑いを誘った。TVアニメも現在放送中の本作について齋藤プロデューサーは「作品を盛り上げるために同時にはじめたが、今は大変なことになっている(笑)」と制作の苦労を明かした。

SNS上での本作の盛り上がりについて高坂は「作ってよかったとしみじみ思っています」とコメント。原作者の令丈ヒロ子、脚本の吉田玲子の名前を出しながら「いろいろな方の意見やアドバイスをいただきながら作った、奇跡のような作品です。自分が野放図に作ったら全然違うものになっていたと思います」と感謝を述べる。

会場に集まった客に大人の男性が多いことについて司会が触れると、齋藤プロデューサーは「原作は児童文学なので原作は小学生の女の子に人気なんですけれど、今ここにいらしてる方は男性が多くて、登壇者も男性ばかり(笑)。広い年齢、性別の方に受け入れられているので、世に送り出してよかった」と意外なところへの反響に笑顔を見せる。豊田は「企画がスタートした当初は『高坂さんがこれやるの?』と言われ続けましたが、それから3年経ちこうして作品ができあがったことに感無量です」と術懐した。

劇中に登場する美人占い師、グローリー・水領について「アニメファンに刺さっているようですが(笑)」と司会が高坂へ投げかけると、会場からは大きな笑いが起きる。高坂は「仕掛けがちゃんと引っかかって……」と、劇中でグローリー・水領の化粧をノーメイク、濃いメイク、ゆるいメイクと分けて描いたことに触れ「みんな反応してくれて『しめしめ』と思いました」と笑顔を見せた。さらに風呂場のシーンでは眉も無くそうとしていたことを話し、「スタッフの女性陣に『それは絶対駄目!』と言われ眉はつけました(笑)」と明かした。

完成間近になり高坂からの「付け足したいシーンがある」という申し出があったという話から、それがどんなシーンだったのか聞かれた高坂は、マーベル映画を引き合いに出し「エンディングの後に、おっこがコンビニでウリ坊らしい男の子を見かけるシーンで終わるようにしようと思っていた」と幻のシーンを語る。司会が「今のお話だと(パッケージで)追加できますね」と発するとそれを望むように会場からは大きな拍手が起きた。

最後の挨拶で高坂は「皆さん、ご覧いただきありがとうございました」観客に再度感謝を述べる。続けて「皆さんのご支援があればカットを追加したバージョンもできるかもしれないので、よろしくお願いします」と呼びかけ、イベントは幕を閉じた。

(c)令丈ヒロ子・亜沙美・講談社/若おかみは小学生!製作委員会