ポノック「ちいさな英雄」完成披露、尾野真千子が「声優さんは超すごい」と尊敬
スタジオポノックの劇場アニメ「ちいさな英雄―カニとタマゴと透明人間―」の完成披露試写会が、本日8月19日に東京・品川ステラボールにて開催された。
「ちいさな英雄―カニとタマゴと透明人間―」は、“現代のちいさな英雄”を3人の監督が描くオムニバス作品。舞台挨拶では「カニーニとカニーノ」より木村文乃、鈴木梨央、米林宏昌監督、「サムライエッグ」より尾野真千子、篠原湊大、坂口健太郎、百瀬義行監督、「透明人間」より田中泯と山下明彦監督が登壇し、各作品ごとのキーワードをもとにトークが展開された。
見えない男の孤独な闘いを描く「透明人間」では、「存在」という言葉がキーワードに。山下監督は「そこにいるんだけど、いないも同然という扱いを受けている人々を描きたかった」と同作のテーマを語る。盲目の男役を演じた田中は、アフレコは目をつむって挑んだと言い、「見えてしゃべるのと、見えないでしゃべるのはまったく世界が違うんです。台本は覚えて(現場に)入りましたので、要するに絵をまったく見ないでアフレコしました」と明かした。
「サムライエッグ」のキーワードである「歯」について、百瀬監督は「生命とか成長とか、そういうものの象徴として見えるといいな」と述懐。同作では尾野のみプレスコ方式で収録が行われ、尾野は「アフレコ自体も経験がないのに、また違うやり方で。とても苦労して、声優さんは超すげえなって尊敬しました(笑)」と振り返る。百瀬監督は「女優さんなのでセリフをしゃべっていると自然に演技が出てくるというのもあって、それを見ながら絵を起こしてリアリティを出したかった」と語り、尾野の演技をヒントに絵を作っている部分があることを説明した。
「カニーニとカニーノ」のキーワードは、全編にて用いられている「カニ語」。米林監督は「最初は(人間の)言葉がある話も考えてみようと思ったんですけど、全編カニ語にして、ジェスチャーで気持ちを伝えるような物語にしたんですが、描いてみて難しかったなと思いました」と笑みを浮かべる。木村は「伝えたい気持ちがあったら、意外と言葉の形はいらないんだなと思いました」と述べながら、「アドリブが多かったのでその部分は苦労しました。一瞬迷ったときにうっかり『よいしょ』って言っちゃったり(笑)」と収録での様子を思い返した。
またステージには、エンディングテーマ「ちいさな英雄」を歌う木村カエラも登壇。作詞を担当した木村は「まっすぐで明るい曲にしようというイメージがあった。映画を見終わった皆さんが口ずさんで帰れるような曲になるといいなと思って言葉選びをしました」と制作を振り返りながら、「親の無償の愛とか、子供が伸び伸び育っていく喜びが表現したかった」と楽曲に込めた思いを語り、観客の前で楽曲を生披露した。
「ちいさな英雄―カニとタマゴと透明人間―」は、8月24日より全国ロードショー。
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