「映像研」10周年展、大童澄瞳の夜間作業現場に突撃 浅草による野外上映作戦も再現
大童澄瞳「映像研には手を出すな!」の連載10周年を記念した展示イベント「『映像研には手を出すな!』連載10周年記念 大・映像研展!」が、7月12日まで東京・北千住マルイで開催されている。コミックナタリーでは、会期中某日の閉会後の夜間に大童が展示物へ加筆するタイミングに合わせて取材を実施。会場の様子と当日の模様を写真とともにお伝えする。
浅草みどり、金森さやか、水崎ツバメの最初期の設定が公開
北千住マルイ7階の一角にある催事スペースで開催されている「大・映像研展!」。大童自身も設営に参加し、展示物の細かな部分まで調整したという入魂のイベントだ。会場内のパネルなどには大童直筆のコメントが多数残され、あるいは隠されており、茶目っ気のあるメッセージや展示物の補足説明を見ることができる。
場内に入ると、映像研の電撃3人娘こと浅草みどり、金森さやか、水崎ツバメの連載前のキャラクター設定が記されたパネルが目に飛び込んでくる。最初期、初期、中期、後期、最終案と時期ごとの設定やラフが記されており、現在とはまったく違う3人を見ることができる。等身大パネルも設置されているため、横に立つと3人の身長がリアルに感じられるはずだ。
この展示に正対して左手には、タイトルロゴの変遷を追ったパネルや百目鬼のデザインが決定したときの絵も。百目鬼になるかもしれなかったというキャラクターのデザインも確認できる。また作品の初期、映像研ではなく映画部という設定だった頃のネームもお披露目されている。
こうした貴重な資料に目を奪われてしまうかもしれないが、入り口から入ってすぐ右手には、イベントのキービジュアルと、大童からの“何割かの人が読み飛ばす挨拶”が掲示されている。こちらもお見逃しなく。
ネームと原稿がずらりと並ぶ通路、米代恭とのコラボイラストも
会場最初のエリアを抜けると、各話のネームと完成原稿がずらりと左右に並ぶ、10mほど続く通路に出る。ネームと完成原稿は並列になっており、1つひとつ見比べることが可能だ。
ネームのコマ割りがそのまま原稿になったケースもあれば、まるっきり異なるコマ割りの原稿に変化しているケースも見受けられた。各話ができあがるまでの試行錯誤の跡が見てとれる。ここだけでも相当なボリュームになっているため、じっくりと見たいという人は時間に余裕を持っての来場をオススメしたい。
ここを抜けると、一転してカラーイラストが展示のメインに。掲載誌である月刊!スピリッツ(小学館)に載ったイラストや、各話の扉ページに使用されたイラストがスペースの許す限りまとめられている。
珍しいところでは、浅草が初代観光大使を務める茨城県・美浦村とのコラボイラスト、2018年7月に東京・青山ブックセンター本店にて行われた米代恭とのトークイベントに向けて描かれたコラボイラスト、CanCam2020年6月号(小学館)に収録されたイラストもある。
詩譜人、南賀なんが手がけた資料に1800年から始まる作中の年表も展示
そうしたイラスト群の反対側に目を向けると、制作の工程をまとめた展示物が。制作の進行パターン、キャラクターの色見本、アシスタント用に用意されたボカシやグレースケールの作業マニュアルといった内部資料が公開されている。かつて大童のアシスタントを務めていた「天蓋のヴォールト」の詩譜人(しふと)や、「999号室」の南賀なんが手がけた資料も確認できた。
そして1800年から始まる作中の年表、映像研の活動とそれによる総売り上げおよびSNSフォロワー数の推移を時系列に記したパネルも存在する。今後何かしらの機会に公開される可能性もあるが、現状ここでしか見ることができない展示物が揃うエリアだった。
浅草みどりが書き出した野外上映作戦を大童澄瞳が直筆で再現
さらに奥に進むと、撮影可能な最後のエリアに出る。このエリアには芝浜高校や狸沢市一帯を上空から見た図、単行本各巻の資料などを展示。大童が作業部屋や本棚を撮影した映像も上映されている。
中でもひと際目を引くのが、コマツの電動マイクロショベル「PC01E-1」だ。大童に聞くと、「今回持ち込める展示物の中で何かインパクトがあるものをと考えたときに思いついた」という。
なぜマイクロショベルなのかと言えば、4巻収録の第30話「浅草氏の冴えたやり方」の扉ページで、浅草がマイクロショベルに乗っているから。このショベルには実際に乗ることができ、撮影も可能なため、フォトスポットとしても機能している。備え付けのヘルメットをかぶって浅草になりきろう。
映像研の部室を再現したコーナーもフォトスポットだ。3人で修理したトタン、金森愛飲の瓶牛乳が入った保冷ボックス、浅草お手製の机、水崎家から運ばれたソファが再現されている。ちなみに机の寸法は大童が指定したそう。またこの机には浅草が絵を描く中できた鉛筆汚れがあり、金森が作業しているPCを置いた形跡が付けられている。机の横にはホワイトボードがあり、5巻収録の第36話「上映に備えよ」で浅草が書き出した野外上映の作戦が大童の直筆で再現されている。閉会後の扱いは未定ではあるが、基本的には消されてしまうとのことだ。会場を訪れた際には忘れずに撮影を。
続く最後のエリアには実写版の映像、資料などを展示。マンガでは第1話「最強の世界」に登場し、プラモデル化が決定している“汎用有人飛行ポッド カイリー号”のサンプルも公開中だ。このエリアのみ撮影禁止ゾーンになっているため気をつけたい。
グッズコーナーには大童澄瞳が手がけたPOPがたくさん
最後の展示エリアはグッズコーナーへ直結している。アクリルスタンド、缶バッジ、クリアファイルといった定番のグッズから、作中に出てくる音曲浴場のロゴが入ったチャーム付き銭湯バッグ、「浅草みどりの予備帽子」など作品に関連したグッズまで幅広くラインナップされた。
これらのグッズを税込3000円以上購入するとホログラム仕様のステッカー全5種からランダムで1枚、税込1万円以上購入すると入場特典である「芝浜高等学校 学生証風カード」全4種のコンプリートセットがもらえる。さらに税込3000円の購入で大童のサイン色紙、ステッカー全10種のコンプリートセット、ステッカー1枚が当たる抽選会にも参加できる。
またグッズを紹介するPOPはすべて大童が手がけており、ちょっとした展示物のようだ。こちらも取材日に新しいものが追加されており、開催初日からアップデートがなされている。ほかにも至るところに書き込みが追加されているため、一度会場に足を運んだ人も再訪する機会があれば、どこが変化したのか最後まで目を凝らして確認してほしい。
「『映像研には手を出すな!』連載10周年記念 大・映像研展!」開催情報
期間:2026年6月26日(金)~7月12日(日)
時間:10:00~19:00 ※最終入場は18:30まで
会場:東京都 北千住マルイ7階
料金:一般チケット2400円
