奥田亜紀子の短編「るすばん」アニメ化、制作は「ひゃくえむ。」のロックンロール・マウンテン

短編アニメーション「るすばん」ビジュアル

「ぷらせぼくらぶ」などで知られる奥田亜紀子の短編集「心臓」の中の1編「るすばん」が映像化。短編アニメーション「るすばん」が、東京・新宿K’s cinemaにて8月1日より1週間限定公開される。

「るすばん」で描かれるのは、1987年8月に大きな家で一人留守番を任された主人公・とっこの1日。家族が帰ってくるまでの、子供だけが知っている特別な時間が描かれる。映像化を手がけるのは「音楽」や「ひゃくえむ。」の岩井澤健治が代表を務めるアニメーションスタジオ・ロックンロール・マウンテン。実写をトレースするロトスコープは使わず、若手スタッフのみで初の全編手描きアニメーションに挑戦する。「ひゃくえむ。」で初めて長編作品の演出助手を務めた柳澤あゆみが、今作で監督デビューを果たす。

劇場公開決定に合わせ、ポスタービジュアルと予告編も公開された。ポスタービジュアルは、「みんなの家に、わたしがひとり。」というコピーとともに、とっこが過ごす懐かしい日本家屋の居間の一角が描かれた。少女マンガ雑誌、恐竜の貯金箱、とっこが描く「てん」の文字、1人で佇むとっこの後ろ姿などがちりばめられた。また予告編には、留守番を任されたとっこの心の内の豊かさと寂しさ、相反する感情が凝縮されている。

原作者の奥田、柳澤監督、企画・プロデュースの岩井澤のコメントも到着。奥田は「この作品にこめられたのはとても個人的な記憶ですが、私じゃない誰かの古い記憶にまで届くんじゃないかと思っています」とアニメへの期待を語る。また柳澤は「言葉ではいいようのない瞬間が詰まっている作品です」、岩井澤は「言語化が難しいあの頃の空気感や心象を独自の視点で表現する奥田さんの漫画を、柳澤監督を中心にRRMスタッフが素晴らしいアニメーション映画に仕上げてくれました」とコメントを寄せた。

なお「るすばん」とともに、2010年に岩井澤が監督を務めた短編アニメーション「山」の同時上映も決定。大橋裕之の短編マンガを原作にした「山」は、のちに長編アニメーション映画「音楽」の誕生へとつながった。公開期間中はそれぞれ異なるゲストを迎え、監督の柳澤と連日アフタートークを開催予定。スタッフのコメントや原画、設定資料、奥田によるイメージボードなど、制作の過程を詰め込んだ全52ページのドキュメントブックも劇場窓口で販売される。

奥田亜紀子(原作)コメント

数年前、私が18歳までを過ごした実家が取り壊されました。
『るすばん』は、その家の記憶から生まれた作品です。
アニメになったことで、風景や過去の自分と再会できました。
丁寧に映像へと結実させてくださった監督をはじめ、制作に携わってくださった皆さまに心から感謝しています。
気づけば、何度も繰り返し再生していました。
この作品にこめられたのはとても個人的な記憶ですが、私じゃない誰かの古い記憶にまで届くんじゃないかと思っています。

柳澤あゆみ(監督)コメント

奥田亜紀子さんの、物語よりも掴みきれない“空気”のようなものを描いた希少な作品を監督できて、本当に光栄です。
漫画として完成されている奥田さんの作品は、映像化する意義を見出すのがものすごく難しかったのですが、
スタッフとともに原作の一コマ一コマに向き合い、アニメーションならではの『るすばん』を制作しました。
言葉ではいいようのない瞬間が詰まっている作品です。
こどもの方も、おとなの方も、ぜひ劇場にいらしてください…!

岩井澤健治(企画・プロデュース)コメント

『ひゃくえむ。』完成後、自社スタジオで短編を制作できないかと考えていたところ、奥田亜紀子さんの短編集「心臓」に収録されている「るすばん」を原作にするのはどうだろうと思いつき企画したのが始まりです。
言語化が難しいあの頃の空気感や心象を独自の視点で表現する奥田さんの漫画を、柳澤監督を中心にRRMスタッフが素晴らしいアニメーション映画に仕上げてくれました。
是非劇場までお越しいただけますと幸いです。

短編アニメーション「るすばん」

2026年8月1日(土)より、東京都 新宿K’s cinemaにて1週間限定公開

スタッフ

原作・美術設定:奥田亜紀子
企画・プロデュース:岩井澤健治
監督・絵コンテ・編集:柳澤あゆみ
原動画:野口優花、牧野翠、明美来
背景美術:萬斎千聖、龐䌢
撮影監督:ヴェロニカ・ホレヴァ
色彩設計:関口あやめ
音響監督:加藤みゆ
音楽:原田泰男
音響効果・ダビングミキサー:臼井勝
方言監修・指導:かとう有花
制作デスク:関口あやめ
宣伝:平井万里子
製作:ロックンロール・マウンテン

キャスト

立花心葉、かとう有花、宮﨑敦吉、神戸光歩、今井愛美、香月朱音

(c) 奥田亜紀子/ロックンロール・マウンテン 2026