谷口悟朗が監督・原作で携わるオリジナル劇場アニメ「パリに咲くエトワール」より、11分超えの本編冒頭映像が公開された。
上映中の「パリに咲くエトワール」は、20世紀初頭のパリを舞台に画家を夢見るフジコと、薙刀の名手ながらバレエに心惹かれる千鶴が、パリで壁にぶつかりながらも夢を追い求めていく姿を描く物語。冒頭で展開されるのは、運命的なフジコと千鶴の横浜での出会い、そして日本で画家を目指そうとするフジコが置かれている立場と葛藤、そこから叔父の若林とパリへ旅立ちと、彼女自身が希望に満ち溢れている物語の序章部分だ。
映画には、今から約100年前の第一次世界大戦前夜という、さまざまな文化が花ひらいたベル・エポックの時代を描くにあたり、マンガ・アニメ・ゲーム・小説の設定考証を幅広く担う白土晴一がリサーチャーとして参加。白土は、ふとした描写の中にも説得力と情報量の詰まった作品となるよう、当時の街並みから人々の暮らし、それを裏付ける小道具に至るまで調べ上げた。今回の冒頭映像の公開に合わせ、白土からはフジコの叔父・若林が持つカメラと、フジコの実家の園井家、パリの風景についてコメントが寄せられている。
白土晴一(リサーチャー)コメント
フジコの叔父・若林が持つカメラについて
横浜のゲーテ座で若林が持っているカメラは、明治37年に発売された「チャンピオン手提暗函」をモデルにしています。日本の国産カメラの中でも最も古いものの一つで、日本カメラ博物館様のご協力で実物を撮影させて頂きました。しかし、実際にどうやって持って撮影するかなどはよく分かりません。そこで構造や形状が近そうな当時のカメラ「Brownie No. 2」などの資料から、持ち方や撮影の仕方などを推測しました。
園井家について
園井家ですが、高田馬場の周辺と設定しました。明治の高田馬場は1910年(明治43年)に鉄道院山手線「高田馬場駅」が開業したばかりで、落合崖線沿いには金持ちの別邸などもある自然を残した邸宅街。家のモデルは文豪・夏目漱石が晩年に住んだ邸宅で、特に園井父がいる部屋は、門下生が出入りしたとされる漱石の書斎「漱石山房」などを参考にしています。しかし、和室に洋式の家具が配置された和洋折衷的なレイアウトにするため、細かい部分は複数の幕末、明治の建築を組み合わせたものになっております。
パリの風景について
千鶴がパリを散策しているシーンに出てくる橋は、1900年のパリ万国博覧会に合わせて建設された、四隅に巨大な記念柱(ピュロン)のあるアレクサンドル3世橋。ベルエポックの絶頂を象徴するような豪華絢爛なセーヌ川の橋なのですが、次に何やら大きな船が出て来ます。これは洗濯船(Bateau-Lavoir)と呼ばれる共同洗濯場で、女性たちが川水で衣類を洗って、2階でそれを乾かす場所でした。その次のカットの右下に洗濯物をたくさん抱えた洗濯婦が描かれています。ベルエポックの絢爛たる橋でも、すぐその下に庶民の生活が溢れているという描写になっております。
劇場アニメ「パリに咲くエトワール」
上映中
スタッフ
原作:谷口悟朗・BNF・ARVO
監督:谷口悟朗
脚本:吉田玲子
キャラクター原案:近藤勝也
キャラクターデザイン:山下祐
リサーチャー:白土晴一
美術監督:金子雄司
色彩設計:柴田亜紀子
撮影監督:江間常高
キャラクター演出:千羽由利子
3DCG監督:神谷久泰
編集:廣瀬清志
プロップデザイン:尾崎智美
メカデザイン:片貝文洋
音響監督:若林和弘
音楽:服部隆之
アニメーション制作:アルボアニメーション
製作:「パリに咲くエトワール」製作委員会
配給:松竹
キャスト
當真あみ、嵐莉菜
早乙女太一、門脇麦、尾上松也、角田晃広、津田健次郎
榊原良子、大塚明夫
甲斐田裕子、藤真秀、興津和幸、小野賢章、名塚佳織、唐沢潤、村瀬歩、内山夕実、岩崎ひろし、永瀬アンナ
黒沢ともよ、矢野妃菜喜、生天目仁美
(c)「パリに咲くエトワール」製作委員会