コミックナタリーが主催する、縦スクロール形式のマンガを対象としたマンガ賞「タテ読みマンガアワード」。2回目の開催となる「タテ読みマンガアワード 2025」では、海外作品部門の1位を「今世は当主になります」が受賞した。
同作は目を覚ますと7歳の自分に戻っていた主人公のフィレンティアが、大切な父と滅亡の運命にある家門を守るために奮闘する転生ファンタジー。「タテ読みマンガアワード 2025」の授賞式では、ゲスト審査員のぱーてぃーちゃんら登壇者が「復讐の爽快感と同時に(子供ががんばる姿に)ほっこりできる作品」とコメントしていた。そんな「今世は当主になります」について、海外作品部門1位受賞を記念し作画担当のMonにメールインタビューを実施。“読者とともに、愛情を込めて育てているような気持ちになることがある”という愛され主人公創出の裏側について聞いた。
構成 / コミックナタリー編集部
「今世は当主になります」
作者:Mon / Antstudio / Kim Roah
あらすじ
今度こそ守れるんじゃないかな?
ランブル帝国随一の家門、ロンバルディを!
交通事故で死んだ後ロンバルディ家の婚外子として転生したフィレンティア。
だが……彼女を待ち受けていたのは愛する父の死とロンバルディ家の滅亡だった。
家門の滅亡を知った日に彼女は酒を飲んで馬車に轢かれてしまうのだが、目を覚ますと7歳の自分に戻っていた。
今度こそ父と家門を守り抜くと決めたフィレンティア。
彼女を待ち構える試練とは一体何なのか……。
当主になると決めた彼女の挑戦が始まる──!
(作品公式より)
作画担当・Monメールインタビュー
──改めてになりますが、「タテ読みマンガアワード 2025」の海外作品部門で1位を獲得した感想や周囲からの反響などをお聞かせください。
今回、このような素晴らしい賞を授けてくださいました日本の読者の皆様、そして関係者の皆様に心より感謝申し上げます。この賞を頂けるという知らせを受けたときは、とてもうれしく、同時に、これまで「今世は当主になります」とともに歩んできた時間が温かく報われたような気持ちになりました。フィレンティアの成長の物語が、日本の読者の皆様にしっかり届いていると感じられ、作者として何よりも誇らしく、そして幸せに思っています。これからも、よりよい物語と絵をお届けできるよう努力していきたいと思います。改めて、本当にありがとうございます。
──「タテ読みマンガアワード 2025」はユーザー投票でランキングを決めるマンガ賞です。「今世は当主になります」のどういった部分がユーザーの支持を得られたと思いますか。
原作の持つしっかりとしたストーリーの力が、 大きな土台になっているのではないかと思います。原作の魅力をできるだけそのまま伝えられるよう、チームメンバーとともにさまざまな面で工夫と努力を重ねてきました。そうした部分が読者の皆様にも伝わっているのだとしたら、とてもうれしく思います。また、ティアの幼い頃から一歩一歩成長していく姿を描き続けていると、まるで読者の皆様と一緒に、愛情を込めてティアを育てているような気持ちになることがあります。読者の皆様が「ティアはいつの間にこんなに大きくなったのだろう」と微笑ましく思ってくださるとき、私自身も主人公たちの成長に改めて胸がいっぱいになります。そうした読者の皆様とのつながりが、今回の投票という形の応援につながったのではないかと感じています。
──Mon先生には今回の受賞に際してイラストを描き下ろしていただきました。このイラストはどういったテーマで執筆されたのでしょうか。
今回の受賞を記念するイラストを構想する際、「もしティアがこの知らせを聞いたら、最初に誰と喜びを分かち合いたいだろう?」と考えました。ティアならきっと、ギャラハンだろうと思いました(笑)。ティアがまっすぐに成長できた大きな原動力は、父であるギャラハンの無条件の愛と支えだったからです。そのため、2人が一緒に喜びを分かち合う姿を描きました。多くの読者の皆様に愛されているティアの姿を見て、誰よりも喜ぶであろうギャラハンの気持ちが、このイラストを通して皆様にも伝わればうれしいです。
──「タテ読みマンガアワード 2025」の授賞式では、ゲスト審査員のぱーてぃーちゃんや登壇者の方々が、「復讐の爽快感と同時に(子供ががんばる姿に)ほっこりできる作品」とおっしゃっていました。復讐のシーンやほっこりとするシーンの描き分けなど、作品を執筆するうえで大切にしているポイントなどを教えてください。
ティアが当主になることを決意した理由は、大切な人たちを守るためです。物語の中では復讐や計略などさまざまな葛藤が描かれますが、その根底には常に、大切な人たちを思うティアの温かい心があります。そうした部分がきちんと伝わるよう意識して描いています(審査員と登壇者の方々が私の思いをとても素敵に表現してくださり、本当にありがたく思っています)。また、ティアは冷静な策略家でもありますが、どこか頼れる友人のような存在にも感じてもらえたらと思い、ティアの雰囲気や表情、感情表現がどちらか一方に偏りすぎないよう、いつも丁寧に考えながら描いています。
──今回の受賞で初めて作品を手に取る読者もいるかと思います。初めての読者にはここをぜひ読んでほしいというエピソードやシーン、おすすめしたいキャラクターなどを教えてください。
個人的に好きなエピソードは、ギャラハンの「トレンブール病」のエピソードです(特にクライマックスとなる72話、73話はぜひ読んでいただきたいです)。
──今回「タテ読みマンガアワード 2025」ではユーザー投票で投票数が多かった作品を20位までランキング形式で発表しています。海外作品部門のランクイン作品で、「この作品が好き」という作品がありましたら教えてください。
好きな作品はたくさんあり、1つだけ選ぶのはとても難しいのですが(笑)、あえて挙げると、最近夢中になって読んでいるGae先生の「枯れた花に涙」です。作画もとても美しく、雰囲気の表現が素晴らしくて、毎週アラームをセットして更新を楽しみに読んでいます。
──Mon先生が考えるタテ読みマンガの魅力はどんなところでしょうか。
タテ読みマンガの最大の特徴は、スクロールの速度に合わせて、読者と作者が同じ呼吸で物語を体験できるところだと思います。また、スクロールによって場面が映画のように連続して流れていくため 、読者がストーリーにより深く没入できるところも魅力です。さらに余白を活かすことで、登場人物同士の感情の流れや間、時間の経過などを効果的に表現できるところも、タテ読みマンガならではの面白さだと感じています。
──最後に関係者の方々やファンの方々にメッセージをお願いします。
これまで長い間、「今世は当主になります」とフィレンティアを愛してくださった読者の皆様に、心より感謝申し上げます。また、日本の読者の皆様に本作を届けるため尽力してくださっているすべての関係者の方々にも、感謝の気持ちをお伝えしたいです。物語はいよいよ完結へと向かっています。フィレンティアが立派に当主となるその日まで、私も最後まで楽しみながら描いていきたいと思います。よりよい作品にするため、多くのチームメンバーが力を合わせて取り組んでいます。これからも本作とともに、皆様が楽しい時間を過ごしてくださることを願っています。
改めて、本当にありがとうございました。