「往生際の意味を知れ!」の米代恭、影響を受けた映画監督・原一男と語り合う

「虚構にとって真実とはなにか── 『極私的エロス・恋歌1974』から『往生際の意味を知れ!』への世代を超えた継承」告知画像

「往生際の意味を知れ!」の米代恭が、11月16日19時より東京・ゲンロンカフェで行われるトークショー「虚構にとって真実とはなにか── 『極私的エロス・恋歌1974』から『往生際の意味を知れ!』への世代を超えた継承」に出演する。

イベントには映画監督の原一男、米代、司会のさやわかが登壇。「往生際の意味を知れ!」は主人公の映画監督が、ヒロインの出産をドキュメンタリーとして撮るというあらすじだが、同作は原の初期の代表作「極私的エロス・恋歌1974」に影響を受けており、連載時には原に取材を重ねたという。また「往生際の意味を知れ!」では、ヒロインの母親が国民的エッセイマンガ家であり、そのエッセイが虚構にまみれているさまを暴いていくという物語が展開される。一方、原監督作品の「全身小説家」では作家の井上光晴の晩年を追う中で、井上が生前に述べた経歴や生い立ちに嘘があることを明かしていき、作家にとって“虚構”や“真実”とは何かを問いかけていく。

トークショーでは米代が原の作品にどのような影響を受けたのか、原は「往生際の意味を知れ!」をどう読んだのかといった話題を展開。作家が生み出す虚構と真実にも迫る。チケットの料金は税込3000円。イベントはシラス・ニコニコ生放送で生中継が行われ、アーカイブも配信される。

米代恭コメント

今年の夏に完結した『往生際の意味を知れ!』は原さんにたくさんの協力をしていただきました。

そこで原さんの70歳を超えていると思えないエネルギーを目の当たりにし、ただ勉強させてもらうしかない身の上なのにこのように同じ壇上で話すことになるとは『水俣曼荼羅』の舞台挨拶を観て、初めてご挨拶させてもらった頃からは想像もつきませんでした。

「虚構にとって真実とは何か」、現実を撮影する原さんと1から紙の上で物語をつくる漫画家である私と、どのようなお話しになるか今からとても怖く、そして楽しみです。

原一男コメント

先日、ここゲンロンカフェで大島新監督とドキュメンタリーを巡って論戦を展開した。大島監督はテレビ畑出身、私は、映画館で上映される映画畑出身。テレビと映画という畑は違っても同じドキュメンタリーなので、表現の形式は同じ、という気安さはあった。

が、今度はいささか勝手が違う。漫画とドキュメンタリーという表現形式の違いが、論戦に、どんな火花を散らすだろうか?

米代さん担当の編集者が『極私的エロス・恋歌1974』を観てみたら、と米代さんに勧めた事がきっかけ、ということは私も聞いている。つまり私の作品が米代さんの漫画にインスパイアを与えた、ということになるのだろうが、そのことが論戦に、私の方が優位になる、と思われては困るのである。なぜなら、影響を受けたとされる米代さんの側は、批判的に越えようとしてそのエネルギーを作品の中に展開するであろうことは、ごく自然なことだ。だから、何もしないまま呑気に無防備に論戦に挑めば、私はコテンパンに打ちのめされることは火を見るよりは明らかである。そんなことで、私はかなり緊張している。
 
論戦のキーワードとしては、いくつかのことを考えている。

そもそもドキュメンタリーとは?  
ドキュメンタリーにおける物語とは?
ドキュメンタリーにおける虚構とは? 
ドキュメンタリーにおいて主人公の役割とは?
ならば、フィクションとは?

「虚構にとって真実とはなにか── 『極私的エロス・恋歌1974』から『往生際の意味を知れ!』への世代を超えた継承」

日時:2023年11月16日(木)19:00~22:00
会場:東京都 ゲンロンカフェ
料金:税込3000円(税込)
出演:原一男、米代恭、さやわか(司会)