“作ってこなかった人”に届けるジャンプ+発のアプリ、林士平が今後の展望を語る
少年ジャンプ+編集部によるサービス「World Maker」のアプリとコンテストの説明会が本日7月26日に行われ、プロジェクト責任者の林士平氏と開発を担当したカヤックの佐久間亮介氏が登壇した。
「World Maker」は頭の中にある物語をビジュアル化し、マンガのネームにすることができるサービスとして2021年にオープンβ版を公開。アイデアをひらめいたらイメージに合ったパーツを選び自由に組み合わせ、内容やセリフを入力するだけで、マンガのネームを作ったことがない人でも最短10分で自分のネームを完成させることができる。7月12日にアプリ版がリリースされ、マンガのネームだけではなくアニメや映画、ドラマ、CMなどの映像コンテンツのコンテ作成が可能となった。
「World Maker」開発の経緯について、林氏は「企画書を書いたのは4年前のことで、今後人口が減っていくと(作品を)作る人も減ってしまう。そうなったときに作れる人を増やしたらマンガやアニメの豊かさは続くのではと考えたんです。我々はこれまで若いマンガ家さんやイラストレーターさんといった“作る人”たちへのサポートはしてきたんですが、作らない方々、作ってこなかった方々へのアプローチはあまりしていなくて。今回のアプリは作らない方々、作ってこなかった方々へのアプローチとしてやっております」とコメントする。「World Maker」のアプリ版公開から2週間での作品数は約1万程度、ただしテストで触った程度の人の投稿もカウントされているため、完成した状態の作品の実数とは少し異なるとのこと。林氏は「たくさんの方に使っていただいてありがたいんですが、もっと日本がざわざわすると思ったんですけどね(笑)」と、まだまだ現状には満足していない様子を見せながら、「もっとたくさんの人に使ってほしいですし、『こんなの作ったよ』ってLINEやTwitterでみんながどんどん発信してくれるようなツールになりたいなと思っています」と述べた。
マンガのネーム以外にも、コンテ作成ができることが特徴の1つとなっているアプリ版の「World Maker」。少年ジャンプ+というマンガ誌発のアプリながら、マンガ以外のコンテ制作機能を組み込んだのには、林氏がこれまでドラマ、実写、舞台の現場で経験してきた打ち合わせ方法にあったという。「マンガはネームっていうすでにビジュアル化された、完成品の手前の状態で打ち合わせするんですけど、映画とかドラマの打ち合わせって文字(の資料)を使ったものでスタートすることが多いんです。個人的には『ビジュアル化されたものを使って打ち合わせしたほうがいいのにな』って感覚もありましたし、『文字でやるのはなんでかな』って思っていたんですが、やっぱり絵を描ける人がそんなに多くないからなんじゃないかと考えて。ツールでどうにかできる部分だなとも思ったので、コンテ作成の機能を作ったんです。このツールを使ってもらった場合、今の打ち合わせの流れがどのように変わっていくのかというのはちょっと楽しみにしている部分です」とその経緯を説明する。
また「World Maker」で発表されている作品の現状について林氏は、「アプリがリリースされて2週間ということで、まだ皆さんツールの使い方を学んでいる状態なんじゃないかと思います」と分析。さらに「ツールの使い方が自分に馴染んだ後で、皆さんの本当に作りたいものが発表されてくるんじゃないかと」と続け、今後に期待感を募らせる。そして林氏は「(『World Maker』は)皆さんと一緒に育てていくサービスだと思っています。使ってくれる人がいて、いろんなご意見をいただかないと、いいサービスになっていかないと思うので、気軽に触って気軽に文句を言うなり要望を言うなりしてくれたらうれしいです。その要望が僕たちが気付いているものがあれば、鋭意制作しているかもしれないですし、気付いていないもので、本当にそれが重要であればすぐさまフォローして制作できるように整えていきたいなと思っています」とメッセージを送った。
「World Maker」では新たな才能を発掘を目的に、「アニメコンテスト」「映画コンテスト」「漫画コンテスト」と銘打った3つのコンテストを8月より順次開催。第1弾としてマンガネームを対象にした「ジャンプ+ワールドメーカーコンテスト」が行われる。「World Maker」で制作した50ページ以内のマンガネームであればテーマ・ジャンルは問われない。応募期間は8月1日から10月1日まで。審査員としてジャンプ+編集部に加え「ぼくたちは勉強ができない」の筒井大志も参加し、大賞作は筒井が作画を担当しジャンプ+に掲載される。なお「World Maker アニメコンテスト」はNetflix、「World Maker 映画コンテスト」は東宝と共催して実施。それぞれのコンテストの大賞受賞作品は実際にアニメ化、映画化されたうえで公開される。
アプリの説明パートでは佐久間氏が「World Maker」のポイントとして「最短10分でマンガのネームが作れる」「作った映像用のコンテは動画として書き出しが可能」「使用可能なパーツは600万種類以上」「ワンタップでの自動翻訳」「応援し合えるコミュニティ機能」「作家や監督としてデビューできるコンテスト」の6つをピックアップ。実際にアプリを使ってネームやコンテ作成の実演を行いながらその機能を紹介した。