もし母の余命が残りわずかだと知ったら…介護体験記「20代、親を看取る。」
自宅で母を看取った作者が、その体験を綴ったマンガ「20代、親を看取る。」。同作がオールカラーの単行本となり、本日5月24日にKADOKAWAより発売された。
20代後半の作者・キクチは、母親が脳腫瘍を患い、転院先や治療法などさまざまな選択肢を模索していた。しかしそんな中で、医師から母の余命が3カ月であることを告げられる。父と相談し、残された時間を家族3人で一緒に過ごそうと決めたキクチ。前向きな気持ちで母の自宅介護を始めるが、慣れないことばかりでハプニングが続き……。
キクチは2022年の年始から、「親の介護はじめました」と題したマンガをInstagramで発表。執筆中に母親を看取り、タイトルを「20代、親を看取る。」と変えて投稿を続けた。
作中ではキクチと父の2人が奮闘する様子、介護家族の苦労、複雑に揺れ動く感情も繊細に描写。弱っていく母を前に“終わり”を意識するうち、母に生きていてほしい気持ちと「この日々から解放される」という気持ちが入り交じって葛藤するような、切実な場面も登場する。SNSでは似たような経験がある人はもちろん、まだ“親の死”を考えたことがなかった若年層からも共感や支持を集めた。
単行本ではSNS投稿をもとに全編を描き下ろし。新規エピソードが追加されているほか、テキストエッセイにてマンガでは描き切れなかった部分も語られる。作中に出てくる「KIKUCHI JOURNAL」や家族写真、母との思い出の品などを紹介するページなど、連載を追っていた読者も楽しめる1冊に仕上げられた。