「声優紅白歌合戦 2023」が本日5月20日に神奈川・パシフィコ横浜国立大ホールで開催された。発起人・中田譲治のもと2019年にスタートした「声優紅白歌合戦」は、若手からベテランまで声優が一堂に会し、紅白の組に分かれてさまざまなアニメソングを歌唱し合って勝敗を決めるイベント。今年で3回目の開催となり、冨永みーな、古谷徹らが出演した。
声優自身の楽曲やキャラクターソングのみならず、主演作や思い入れのある作品の主題歌のカバーなど、新旧織り交ぜた幅広い選曲も魅力の「声優紅白歌合戦」。今年は紅組として伊藤彩沙、TARAKO、徳井青空、富田美憂、冨永みーな、中島愛、福原香織、白組としてIsla・la(保志総一朗)、榊原優希、高橋広樹、土屋神葉、中尾隆聖、永塚拓馬、古谷徹が出場した。さらに企画コーナーには太田貴子、國府田マリ子、檜山修之、吉武千颯が参加。紅白の出場者がステージに揃い、古谷が「声優紅白2023、ここに、開催、しまーす!!」と表情豊かに開催を宣言すると、その声色に白組司会の柳原哲也(アメリカザリガニ)も「いろんなもんが思い出されますね」とコメントした。
トップバッターを飾ったのは白組・榊原。「本当に大好きな作品」だという「BLEACH」のオープニング曲「少女S」のカバーで、自慢の高音を響かせる。紅組トップの富田は、自身の歌う「デート・ア・ライブIV」のオープニング曲「OveR」で会場を盛り上げた。序盤は若手のステージが展開され、続いて登場した土屋は、主人公を演じた「映画 バクテン!!」の挿入歌「光の中から伝えたいこと」を情感たっぷりに歌う。そのまっすぐで熱いパフォーマンスに、紅組司会の松澤千晶は「息子がこんなふうに育ってくれたらうれしい」、柳原も「バイトなら即採用」と口々に感想を述べた。福原は「らき☆すた」から、柊つかさのキャラクターソング「寝・逃・げでリセット!」をチョイス。歌い終えると「これまで歌ったキャラクターソングの中でも、『らき☆すた』は特にレコーディングがハードでした」と思い出も語った。
永塚は出演作「怪病医ラムネ」のオープニング曲で、内田雄馬の「SHAKE!SHAKE!SHAKE!」をカバー。自身演じるクロのセリフも交えながら観客に声援を呼びかけ、「治療完了」とステージを去るまでしっかりと世界観を表現した。伊藤は日頃スタァライト九九組として9人で歌唱している「Star Divine」を、1人でも迫力ある歌声で聴かせてみせた。保志は今年結成したユニット、Isla・la(アイララ)として登場。「自由に僕のペースで音楽をやれるチームを作りたかった」という保志は、Isla・la初の大きなステージでのびのびと熱い歌声を披露する。中島は「声優紅白」発起人・中田譲治との共演作「たまゆら ~もあぐれっしぶ~」より、自身の楽曲「ありがとう」をセレクト。「初めて歌ったときは20代前半で、10年経って歌詞の深みがよりわかるようになった」と話し、包み込むような優しい歌声と笑顔で観客を魅了した。
中盤では2つの企画コーナーを展開。アニメ映像付きで届けられた「周年アニメソング企画」では、15周年の「らき☆すた」から「もってけ!セーラーふく」、同じく15周年の「マクロスF」から「星間飛行」と、アニメファンにはおなじみのヒットソングを惜しみなく連発する。「星間飛行」では保志演じるブレラ・スターン、中島演じるランカ・リーが互いに呼びかけるセリフが披露されるサプライズも。吉武は「ひろがるスカイ!プリキュア」エンディング曲の「ヒロガリズム」を元気いっぱいに歌い、20周年を迎える「プリキュア」シリーズの変わらないフレッシュさを見せつけた。
そして「久しぶりに一緒になった!」と、ステージでも和気あいあいとおしゃべりする冨永と太田。冨永は泉野明役を務めた「機動警察パトレイバー」について「周年を数えられるのも、ファンの方々が本当に支えてくれたおかげ。これからも新しく応援し直していただけるとうれしいです!」と語り、「そのままの君でいて」をダンサーとともにパフォーマンス。最後は「ターゲット ロック・オン!」とカッコよく決めてみせた。太田は「魔法の天使クリィミーマミ」に携わった高田明美や布川ゆうじ、スタジオぴえろのスタッフたちへの感謝の気持ちを述べつつ、少女のような朗らかさで「デリケートに好きして」を歌唱。にっこりと笑顔でステージを後にした。
もう1つの企画コーナーが「特別ユニット企画」。ここでは出演者によるユニットが、90年代の名アニメソングのカバーをメドレー形式で披露していく。「幽☆遊☆白書」から「アンバランスなKissをして」を歌ったのは飛影役を務めた檜山と、土屋・永塚。続いて「ママレード・ボーイ」主題歌「笑顔に会いたい」を、小石川光希を演じた國府田が保志とともにキュートにパフォーマンスした。「残酷な天使のテーゼ」では歌い出しを檜山が担当し、熱い歌声を響かせる。歌い終えてのトークでは、マイペースな國府田に檜山がツッコミを入れるさまを、後輩声優たちが温かく見守っていた。
後半戦に突入すると同時に、会場を大いに盛り上げたのが高橋。歌唱曲として「金色のガッシュベル!!」で演じたパルコ・フォルゴレのキャラクターソング「チチをもげ!」のタイトルが告げられると、客席から歓声が沸き起こる。高橋は「カモン!」「ヘイ!」とコール&レスポンスを促し、観客もそれに「ぼいんぼい~ん」と元気よく応答した。続いて登場したのは、真っ青なワンピース姿の徳井青空。μ’sの楽曲から矢澤にこのセンター曲「夏色えがおで1,2,Jump!」をキュートな笑顔で歌い上げ、会場の空気をさわやかに入れ替えた。
ここからはベテランたちの驚きのパフォーマンスが続く。「ちびまる子ちゃん」のまる子役で知られるTARAKOは、同作のエンディング曲となった西城秀樹の「走れ正直者」をカバー。シンガーソングライターとしてもデビュー40周年を迎えるTARAKOはその歌唱力を披露する一方、2番からはまる子ボイス、さらにまる子以外のキャラクターのモノマネも交え、くるくると声色を変えながら歌ってみせる。対する白組は、フリーザ役で知られる中尾が登場。キャリアを重ねてもパワフルな、どこか色気も漂う歌声で「ドラゴンボール超」オープニングの「限界突破×サバイバー」を見事に歌い上げる。曲中では「わたしの戦闘力は530000です」という名セリフを披露し、最後は「バイバイキーン!」と立ち去るサービス満点のパフォーマンスに、会場からは大きな拍手が贈られた。
紅組のトリを飾った冨永は、カツオ役を務める「サザエさん」の誰もが知るエンディング曲「サザエさん一家」をセレクト。「『声優紅白』初参加でトリ、大丈夫ですか?と思ったんですが、この曲なら皆さん歌っていただけるかなと」と選曲理由を話す。紅組の仲間たちも呼び込みながら、伸びやかな歌声を響かせる冨永。司会の柳原の発案もあり、曲中で「ヘイ!」「カツオー!」といったコールが起こると、思わず笑顔になっていた。
そして大トリは白組・古谷。歌唱曲が「名探偵コナン ゼロの執行人」の主題歌「零 -ZERO-」だと発表されると、客席からも喜びの悲鳴が上がる。スポットライトのもとでしっとりと歌い始めた古谷は、徐々にステージを広く使いながら、役者らしい表現力でドラマチックに楽曲を盛り上げていく。安室透の名セリフ「僕の恋人は、この国さ」も飛び出し、最後は観客とともに「真実はいつもひとつ!」とクールにポーズを決めてみせた。
勝敗を決する投票結果を待つ間、出演者からひと言ずつ挨拶が行われる。観客の幅広い年齢層や温かい空気感、先輩・後輩と世代を超えて共演ができることの喜びなどが口々に語られた。中尾は「(古谷)徹くんと、よくお互いがんばってやってきたねと、しみじみ話していました」と笑顔。太田は「クリィミーマミ」の魔法の呪文、「パンプルピンプルパムポップン」を観客と唱和して作品の40周年を祝った。観客投票の結果、優勝したのは白組。古谷は「うれしいです。台本でもリハーサルでも紅組優勝だったんで(笑)」と冗談交じりに喜びのコメント。紅組の冨永は「皆さん本当に素敵でしたので、納得するところもありますが、たぶん1票差だったと思うんです! だから来年がんばります!」と宣言してみせた。
「声優紅白歌合戦2023」はローチケ LIVE STREAMING、ニコニコ生放送でアーカイブ配信も実施。なお配信では周年アニメソング、特別ユニットの両企画コーナーは視聴できないのでご注意を。
「声優紅白歌合戦 2023」
日程:2023年5月20日(土)12:30開場、13:30開演
会場:神奈川県 パシフィコ横浜国立大ホール
出演者
紅組:伊藤彩沙、TARAKO、徳井青空、富田美憂、冨永みーな、中島愛、福原香織
白組:Isla・la(保志総一朗)、榊原優希、高橋広樹、土屋神葉、中尾隆聖、永塚拓馬、古谷徹
企画コーナー:太田貴子、國府田マリ子、檜山修之、吉武千颯
司会:松澤千晶、柳原哲也(アメリカザリガニ)
セットリスト
- 榊原優希 / 少女S「BLEACH」
- 富田美憂 / OveR「デート・ア・ライブIV」
- 土屋神葉 / 光の中から伝えたいこと「映画バクテン!!」
- 福原香織 / 寝・逃・げでリセット!「らき☆すた」
- 永塚拓馬 / SHAKE!SHAKE!SHAKE!「怪病医ラムネ」
- 伊藤彩沙 / StarDivine「少女☆歌劇 レヴュー・スタァライト」
- Isla・la / Silver Star Will
- 中島愛 / ありがとう「たまゆら~もあぐれっしぶ~」
- 福原香織 / もってけ!セーラーふく「らき☆すた」
- 中島愛 / 星間飛行「マクロスF」
- 吉武千颯 / ヒロガリズム「ひろがるスカイ!プリキュア」
- 冨永みーな / そのままの君でいて「機動警察パトレイバー」
- 太田貴子 / デリケートに好きして「魔法の天使クリィミーマミ」
- 國府田マリ子、檜山修之、土屋神葉、永塚拓馬、保志総一朗 / SPECIALメドレー(アンバランスなKISSをして「幽☆遊☆白書」~笑顔に会いたい「ママレード・ボーイ」~残酷な天使のテーゼ「新世紀エヴァンゲリオン」)
- 高橋広樹 / チチをもげ!「金色のガッシュベル!!」
- 徳井青空 / 夏色えがおで1,2,Jump! 「ラブライブ!」
- TARAKO / 走れ正直者「ちびまる子ちゃん」
- 中尾隆聖(コーラス:榊原優希・土屋神葉・永塚拓馬) / 限界突破×サバイバー「ドラゴンボール超」
- 冨永みーな / サザエさん一家「サザエさん」
- 古谷徹 / 零 -ZERO-「名探偵コナン ゼロの執行人」
(c)「声優紅白歌合戦」実行委員会