アニメ映画「BLUE GIANT」完成披露、圧倒された山田裕貴「音楽ってすげえんだな」

左から石若駿、上原ひろみ、馬場智章、山田裕貴、間宮祥太朗、岡山天音、立川譲監督。

石塚真一原作によるアニメ映画「BLUE GIANT」の完成披露舞台挨拶が、本日2月7日に東京・TOHOシネマズ日比谷で開催され、宮本大役の山田裕貴、沢辺雪祈役の間宮祥太朗、玉田俊二役の岡山天音、立川譲監督が登壇した。

2月17日に公開される映画「BLUE GIANT」。出演が決まる前から原作を愛読していたという山田は「自分が声を担当するということにいろんな思いがあった」と口にする。間宮もオファーの際を振り返り「声優は難しいだろうなと思った」と話しながらも「裕貴くんが大を演じると聞いて、2人には親和性があると感じた。『裕貴くんの大って、いいだろうな』と思って、このお話を受けさせてもらった」と明かした。山田と同じく原作のファンだったという岡山は「自分も大にパワーをもらってきた1人だったんですが、(映画が)これまで『BLUE GIANT』ファンだった皆さんがより愛を深めていただくきっかけになればと思いますし、今作に触れたことがない方も大のエネルギー、そしてそれを取り巻くキャラクターたちの生きざまから何か感じ取っていただければ」と呼びかけた。

俳優として劇場アニメの声優に挑戦したことについて、山田は「(メインキャストの)3人とも不安があったと思うんです。プロの声優さんのほうがいいんじゃないかと思う自分もいて。でも僕らが演じた意味みたいなものは絶対にあると思っている。それがいいセッションとなって伝わるといいなと思っています」と述べる。またオファーが来た際を思い返し、「『声のお話が来てるんですけど』『大です』と言われて『えっ……大……? マジすか……?』という感覚になって(笑)。でもほかの2人が間宮くん、天音くんと聞いて『あ、なるほど……。大丈夫!』と思ったんです。同じ俳優として戦ってる身として、そうなった(声優に挑戦する)ときの気持ちや、このアニメーションに挑戦するという思いは一緒だと思うから安心感がありました」と当時の心境を語った。

「映像化は難しい」と言われていた同作を劇場アニメ化したことについて、立川監督は「演奏シーンが多いので、3人の成長とともにライブの様子も変わっていく。グルーヴ感が生まれていくのをどう表現していくか、というのを自分の中で大きな課題にしていた」と述懐。また「TVアニメーションですと、最近だとタブレットやスマホでご覧になることも多くなって来ていると思うんですけど、劇場公開であれば素晴らしい音響システムで音を“体験してもらう”という行為をしてもらえるということで、今回映画化という運びになりました」と経緯を説明した。

さらにステージには同作の音楽を手がけ、ピアノを演奏した上原ひろみ、テナーサックスを演奏した馬場智章、ドラムを演奏した石若駿が登場。原作を読んでいたときから「音が聴こえてきたので勝手に曲を書いていた」という上原は、「バンドの曲はこのお話の持つ情熱が伝わるように作って、劇伴はワンシーンワンシーンの感情のサポートができるように、監督と細かく打ち合わせて作りました」と制作について語る。また「この作品のレコーディングに参加してくださった全ミュージシャンが『BLUE GIANT』という作品に参加できることを誇りを持っていて、120%の演奏をしてくれた」と代弁した。

大のサックスを担当した馬場は「ミュージシャンにとっては『音』が一番大事だと思っている。特に宮本大という人は、観客がパッと一音聴いただけで全員が圧倒される、感動させる力がある。それはミュージシャンにとって目指すところでもあったので、説得力のある音を出したいなと常に心がけていました」と話す。

ドラム初心者である玉田の演奏を、どのように表現していったか問われた石若は「どうやったら“初心者のドラムの演奏”になるか。スティックの持ち方を変えてみたり、角度を変えてみたり、ぎこちなさが出せるようにいろいろと試して、ひろみさんと馬場くんに『まだうまい、まだうますぎる!』と客観的なジャッジを受けながら進めていった」とコメント。またこの3人で奏でたJASSの音について、上原は「馬場くんと石若くんは別々のタイミングでこのプロジェクトに参加するのが決まったのですが、レコーディングのときに2人とも札幌出身で、幼少期の頃から一緒に演奏していたことがわかりまして、びっくりしたんですね。それはこの作品の大と玉田の関係と重なるところがあったので、こんなラッキーあるんだなと。それがあったので(作中の)JASSと近い関係を作り出すことができた」と笑顔を浮かべた。

完成した作品を鑑賞し、山田は「圧倒された」とひと言。「(作中の)お客さんの描写も細かくて。お客さんになった気分でワッと拍手したくなる感覚になって。劇場もそうなればいいなと思いました」と続け、「『音楽ってすげえんだな』と。ジャンルとかはどうでもよくて、心を打つんだというのを改めて知ったというか。キャラクターたちを通して音楽チームの方がかき鳴らしているところに、僕らは大の、雪祈の、玉田の気持ちを代弁していかないといけないなとすごく思ったので。言葉が簡単すぎて申し訳ないんですけど、『すげえな』と思いました」と素直な思いを述べた。

またイベントでは本編の登場人物にちなみ、キャスト陣に「19歳くらいの頃、アツくなっていたことは?」という質問が投げかけられる。山田は「大と同じで18歳で高校を卒業したあと上京して、俳優になるためにお芝居の学校に通っていました」と回答。続けて「バイトもしていたんですけど、ネームプレートに『俳優王に俺はなる!』って書いていて」と告白し、会場からは笑いが溢れる。「僕は怖いから(夢を)書いて宣言してたというか、言うことで自分に課していた。一方で大は本当に思って信じているタイプなので。言っていることは同じだけど、そこが大の強さだなというのを感じました」と、自身のエピソードを披露するとともに大を称賛した。

アニメ映画「BLUE GIANT」

2023年2月17日(金)全国公開

原作:石塚真一「BLUE GIANT」(小学館「ビッグコミック」連載)
監督:立川譲
脚本:NUMBER 8
演奏:馬場智章(サックス)、上原ひろみ(ピアノ)、石若駿(ドラム)
アニメーション制作:NUT
配給:東宝映像事業部

キャスト

宮本大:山田裕貴
沢辺雪祈:間宮祥太朗
玉田俊二:岡山天音

(c)2023 映画「BLUE GIANT」製作委員会 (c)2013 石塚真一/小学館