「パトレイバー EZY」はいい意味で既視感がある、出渕裕監督ら語る制作裏

「機動警察パトレイバー EZY&SELECTIONS アニメ上映会&トークライブ」の様子。左から松倉友二プロデューサー、上坂すみれ、戸谷菊之介、出渕裕監督

「機動警察パトレイバー EZY&SELECTIONS アニメ上映会&トークライブ」が、本日2月14日に東京・武蔵野公会堂で開催された。上映後には出渕裕監督、久我十和役の上坂すみれ、天島桔平役の戸谷菊之介、J.C.STAFF取締役プロデューサー・松倉友二が登壇するトークライブが行われた。

最初の頃に立ち戻り、「パトレイバー」らしい読み切り感を出したかった

マンガとアニメを活用した武蔵野市地域振興プロジェクト「アニメノマンガノムサシノ」の一環として実施されたこのイベント。上映会では、5月15日に全国公開される「機動警察パトレイバー EZY」第1章「File1」より、第1話「トレンドは#第二小隊」と、出渕監督がチョイスした「機動警察パトレイバー NEW OVA」第12話「二人の軽井沢」の計2話が上映された。出渕監督は、「最初は『VS(バーサス)』か『雪のロンド』にするかと言われていたんですけど、自分が絵コンテを担当していたのであえて外して。『パトレイバー』だからできるような話として(『二人の軽井沢』を)選びました」と明かす。上映会で「二人の軽井沢」の次回予告を観て「『ダンジョン再び』でもよかったなー!」とこぼした

第1話の感想を問われた戸谷は「第二小隊らしいなという感じの中で、十和と桔平のバディ感が出ていていいなあって思いました」とコメント。上坂は「吉祥寺の町並みは舞台である2033年感がありつつ、パトレイバーが80年代から地続きで働き続けてたらこんな感じなんだろうと思えました」と語る。松倉も「いい意味で既視感がある」と表現し、「長く作っているのもあるかもしれないですが、変わらない『パトレイバー』の空気があって。出渕さんが監督だから出たものだなと思います」と話した。

当初と変わらない空気感について、出渕監督は「今の『パトレイバー』だったらこうなんじゃないか、といろいろ案を出したんですが、これをやって果たしておもしろいのかなと。最初の頃に立ち戻って、特に今回は『アーリーデイズ』と同じような形式で、『パトレイバー』らしいお話の読み切り感を出していきたかった」と解説する。また「パトレイバー」は常に今の10年後くらいを描く意識をしていると明かし、「今回は時間が経っちゃったんで5年先くらいになっているかもしれないですが(笑)、昔出てきたキャラクターもリアルタイムで年を取っていると思っていただければ。裏切らないように作っているつもりなので、今回観てみて、続けて劇場にも足を運んでみようかなと思ったら是非お願いします」と呼びかけた。

数年前、居酒屋で偶然出渕監督に会った上坂すみれ「おじさんミリタリー詳しいですね」

実は出渕監督と上坂は、今回の「EZY」以前に居酒屋で偶然会ったことがあると言う。「コロナ禍あたりだったと思いますが、これが噂のミリタリー好きな声優の女の子だなと。話しているとけっこう食いついてきて、『おじさんミリタリー詳しいですね』って(笑)」と笑いながら思い返す出渕監督は、「(上坂はロシアだけど)こちらはドイツだけどね」と返したと言う。戸谷は「EZY」のアフレコ現場で出渕監督と初対面となり、「すごく柔らかい方で親しみやすい監督という印象でした」と伝えた。

「パトレイバー」シリーズを生み出した“原作者集団”HEADGEARについて、誕生のきっかけを聞かれた出渕監督は、「ゆうき(まさみ)さんがノートに1コママンガみたいなものを描いていて。これは面白い、アニメになっていいよねって話して、最初はサンライズに出したんですよね。そのときは伊藤(和典)さんや押井(守)さんはおらず、僕とゆうきさん、SF作家の火浦功さんと一緒に企画会社として出しました」と経緯を語る。しかしそのときは企画が実らず、「後年、伊藤さんや、高田(明美)さんと親しくなって、一緒にバンダイの方にプレゼンして。(それが成功し、)当時OVAは1万くらいしたんですけど、『パトレイバー』は4000円くらいで売られました」と振り返った。

どのキャラにも元祖のキャラクターイズムを感じることができる

「EZY」への出演はオーディションで決まった戸谷と上坂。戸谷はオーディション資料に桔平の細かい設定が書いてあることに驚いたと明かす。上坂は十和について「最初、野明さんの後継者みたいなキャラなのかなと思ったんですが、資料を読むと性格に太田さんを感じました」とコメント。そして1話には、使われるかわからないが……と演じたアドリブも生かされていたと、うれしそうに語った。そして「どのキャラにも元祖のキャラクターイズムを感じることができて、オーディションから楽しんで演じさせていただきました」と述べた。

第二小隊隊長、十和、桔平は「REBOOT」から

「EZY」のキャラクターの方向性は伊藤が決めていたと出渕監督。「絵面で言うと、第二小隊隊長・佐伯貴美香、桔平、十和は『REBOOT』のときのキャラなんですよね」と話し、キャラクター名も当時はついていなかったと語る。「シナリオに入る前くらいに伊藤さんから、『脚本的に、(十和と桔平を)昔の野明と遊馬の立ち位置にしていい?』って言われたので、やりやすい方向でと伝えました。逆転させれば、昔の『パトレイバー』とは明らかに違うスタッフィングになるのでいいかなと思って」と述懐した。また舞台が吉祥寺であることについても伊藤が土地勘があったことによる、と出渕監督は話し、「J.C.STAFFのCGチームがレイアウト用に吉祥寺の街を作っていて、見えないところも作り込まれているんですよ」と語った。なおトークイベントでは、伊藤と押井からコメントが到着。記事下部に記載している。

全3章構成で展開される「機動警察パトレイバー EZY」。第1章となる「File 1」は5月15日、「File 2」は8月14日、「File 3」は2027年3月に劇場公開される。物語は全8話で、「File 1」「File 2」では第1~6話の1話完結オムニバス形式、「File 3」の第7話、8話は連続したストーリーで構成される。

伊藤和典(脚本・シリーズ構成)コメント

「パトレイバー EZY」はTVシリーズからNEW OVAへの時間線上にある話です。30年の時を経て、あいかわらずドタバタしている隊員たちに懐かしさや親しみ。あらたな面白みなどを感じていただければ幸いです。私としては、アーリーデイズから劇場版へと流れる別の時間線を統合できないものか、という想いもあったりするのですが……そういうの、いかがですか?

押井守コメント

だいたい想像がつくような気がするんだけど…ちょっとだけ期待しています。ブッちゃん頑張れ! 以上です(笑)

「機動警察パトレイバー EZY(イズィー)」

「File 1」2026年5月15日(金)劇場公開:「トレンドは#第二小隊」「閑中妄あり」「ホンモノが一番」
「File 2」2026年8月14日(金)劇場公開:「ワインと銃弾」「あさき夢みし」「恋のサバイバル」
「File 3」2027年3月劇場公開:「おもちゃの国・前編」「おもちゃの国・後編」

スタッフ

HEADGEAR PRESENTS
監督:出渕裕
脚本・シリーズ構成:伊藤和典
キャラクター原案:ゆうきまさみ
コスチュームデザイン協力:高田明美
キャラクターデザイン・総作画監督:佐藤嵩光
演出:海宝興蔵
メカニカルデザイン:海老川兼武・渭原敏明
ディスプレイデザイン:佐山善則
美術:菊地正典・秋山優太
色彩設計:伊藤由紀子
撮影監督:大河内喜夫
編集:仙土真希(REAL-T)
CG監督:森泉仁智
CG制作:GAZEN・J.C.STAFF CG部
音響監督:若林和弘
音響効果:山田香織
音響制作:マジックカプセル
音楽:川井憲次
エグゼクティブプロデューサー:真木太郎
プロデューサー:町田有也
アニメーションプロデューサー:松倉友二(J.C.STAFF)
アニメーション制作:J.C.STAFF
プロデュース:GENCO
配給:松竹ODS事業室・バンダイナムコフィルムワークス
製作:機動警察パトレイバー EZY製作委員会

キャスト

久我十和:上坂すみれ
天鳥桔平:戸谷菊之介
平田紗季:小清水亜美
間昭彦:小林親弘
柳井雄太:佐藤せつじ
柚木八久万:松村柚芽
佐伯貴美香:林原めぐみ