「ルックバック」日本アカデミー賞最優秀アニメ作品賞に、押山清高がアニメ業界へ感謝述べる

「ルックバック」より。 (c)藤本タツキ/集英社 (c)2024「ルックバック」製作委員会

藤本タツキ原作による劇場アニメ「ルックバック」が第48回日本アカデミー賞の最優秀アニメーション作品賞を受賞。本日3月14日に、東京・グランドプリンスホテル新高輪で行われた授賞式で発表された。

授賞式では監督・脚本・キャラクターデザインを担った押山清高、アニメーターの井上俊之、藤野役の河合優実が壇上へ。押山は井上について「優秀なアニメーターで、何十年とアニメーション業界を支えてくださっているスタッフ」だと紹介。その上で、アニメーションは技術がなければ作れない表現方法だと自身の考えを伝え、「日本のアニメ業界を支えてくださっているアニメーター、スタッフとともに作られた作品だと思っています」と業界全体への感謝を述べた。

またこの日は前年度「君たちはどう生きるか」で同賞を受賞した、スタジオジブリの執行役員・西岡純一がプレゼンターを担当。押山は7年前に宮崎駿監督のもとで「君たちはどう生きるか」に原画スタッフとして参加していたことを振り返りつつ「その現場から離れる際に『これからは自分たちの映画を作りに行きます』と宮崎さんにお別れの挨拶をしたんです。こうやって、7年後にスタジオジブリから賞を受け取れたことは特別に感慨深い気持ちになっています」と喜びを口にした。なお「ルックバック」の原動画スタッフには、今年新設されたクリエイティブ貢献賞も贈られた。

2024年6月28日に公開された「ルックバック」は絵を描くことに絶対の自信を持っている少女・藤野と、不登校の同級生・京本が織りなす青春ストーリー。京本のマンガのうまさを知り、一時はマンガを描くことをやめてしまった藤野だが、京本との交流を通して描くことへの情熱を取り戻していく。原作は「チェンソーマン」などで知られる藤本が、2021年7月に少年ジャンプ+で発表した読み切り。劇場なアニメでは原画の線をそのまま活かす特殊な制作スタイルで、押山監督が新たな映像表現に挑戦した。

このほか優秀アニメーション作品賞には、「がんばっていきまっしょい」「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」「劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」「名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)」が選出された。2024年に逝去された映画人に対し与えられる会長特別賞には、声優の小原乃梨子と大山のぶ代が名を連ねた。