50人で満員の劇場からスタートした新海誠、「すずめの戸締まり」動員200万人に感激
「すずめの戸締まり」の大ヒット舞台挨拶が本日11月18日、東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズで開催。岩戸鈴芽役の原菜乃華と宗像草太役の松村北斗、新海誠監督が登壇した。
「すずめの戸締まり」は、日本各地の廃墟を舞台に、災いのもととなる“扉”を閉めていく17歳の少女・岩戸鈴芽の解放と成長を描く物語。舞台挨拶の模様は全国343の劇場に中継された。11月11日から17日までの7日間で興行収入27.7億円、観客動員数200万人を記録した「すずめの戸締まり」。200万人という数字に新海監督は「200万人はちょっと信じられない数字でして。僕が昔アニメーション映画を作り始めたときは、最初の映画館が50人で満員になって、そこにいらした方々に拍手をいただいただけで人生が変わるような感激でしたのに。200万人は言葉にならない」と感激する。松村は入場者特典となっている“新海誠本”を例に、「今皆さんの手元にある新海誠本が合計300万部なので、いよいよ在庫切れが見えてきて、驚きますね……」とコメント。原も新海誠本について「すごく濃い内容なので皆さんに手に取ってもらいたいから、早めに来ていただきたいです」と語る。
昨日と本日、全国キャンペーンの一環で兵庫と大阪を訪問した3人。神戸の駅では「すずめの戸締まり」のスタンディが設置されており、新海監督らはそこで写真を撮影したという。新海監督は「神戸の駅長さんが大変気に入ってくださったそうで。すずめとあるキャラが新神戸駅で抱き合うシーンがあって、映画と合わせて飾ってある花の色まで変えてくださったそうなんです。現実と映画が混じったようで幸せでした」と振り返る。松村は「仕事で訪れることもある土地ですけど、やっぱり『すずめの戸締まり』で訪れると新鮮な気持ちですね」と語った。現地には幼い観客も多かったといい、原は「言いたいことをなかなか言えないお子さんに、松村さんが素敵なフォローをされていました」と松村のエピソードを明かした。
オーディションを経て、すずめ役と草太役を勝ち取った原と松村。新海監督は「メディアで2人は『アニメ声優初挑戦』と書かれることがあったんですが、僕はそういうことじゃないんだよといつも思っていました。初挑戦の人が欲しかったわけじゃなくて、菜乃華さんと北斗くんにすずめと草太をやってもらうことが映画にとって、とても重要だったんです」と前置きし、「技術の高さや芝居のうまさも大事だけど、うまいだけじゃ面白い映画にならない。すずめや草太と同じように不安を抱えて、『自分でいいのか』と悩みながらなんとか映画を完成まで導いて、作り終わった後も一緒に届けてくれるのがこの2人だと確信したんです」と抜擢の理由を説明した。
原はオーディション合格から収録までの期間を振り返り、「サプライズ発表だったこともあってとにかく頭が真っ白になりました。うれしい気持ちももちろんあったんですけど、それ以上に不安や重圧が一気に押し寄せて。立っていられないなと思って、その気持ちは一旦扉に閉じ込めて、目の前のアフレコに向けて練習をしていました」と強く前を向いたことを明かす。松村は「一番不安だった瞬間に聞いたら安心したのかもしれないんですけど、新海監督がオーディションで僕らを見付けるのは『子供を見つけるよう』だとおっしゃっていて。あの言葉は今振りかえると温かくて。今更ながら安心しますね」と述懐。松村のコメントに新海監督は「もっと早く言えばよかったですね」と笑いながら、「脚本は自分が書いたものだから、子供のようなもの。自分の子供だったら一眼で見分けられるように、この人たちが大事なんだとすぐわかりました」と意図を説明する。その後原と松村は、新海監督が書き下ろしたセリフを生アフレコするコーナーに臨んだ。
イベントでは、草太の友人・芹澤を演じた神木隆之介の話題も。神木との共演を振り返り、原は「本当にお優しくて。『君の名は。』が大好きですとお伝えして、緊張したんですけど、お芝居のアドバイスをいただいたり、たくさん勉強させていただいたり。好きなアニメーションのお話もさせていただきました」と声を弾ませる。ともに収録する場面がなかったという松村だが、先日スタジオで神木と遭遇したと明かした。新海監督は数日前に神木と会った際のエピソードとして、「映画が公開され、不安になりながら1人で居酒屋のカウンターで飲んでたら神木くんから『監督今何してるんですか?』と。深夜だったのに『俺、今から行きますよ』と来てくれて、カウンターに2人で座りながら作品の話をしました」と紹介した。
「すずめの戸締まり」
公開中
スタッフ
原作・脚本・監督:新海誠
キャラクターデザイン:田中将賀
作画監督:土屋堅一
美術監督:丹治匠
製作:「すずめの戸締まり」製作委員会
制作プロデュース:STORY inc.
制作:コミックス・ウェーブ・フィルム
配給:東宝
(c)2022 「すずめの戸締まり」製作委員会