「TAAF2022」授賞式、「鬼滅の刃」松島晃・寺尾優一がufotableへの感謝伝える

「東京アニメアワードフェスティバル2022」授賞式の様子。

国際アニメーション映画祭「東京アニメアワードフェスティバル2022(TAAF2022)」の授賞式が去る3月14日に開催され、アニメ功労部門の顕彰者、アニメオブザイヤー部門の受賞者、受賞作の関係者らが登壇した。

3月11日から14日まで東京・池袋で開催された「TAAF2022」。アニメ功労部門はアニメーション産業・文化の発展に大きく寄与した人物を顕彰することを目的としたもので、今年は「広島国際アニメーションフェスティバル」のディレクター・木下小夜子、東映動画の演出家・森下孝三、「巨人の星」「いなかっぺ大将」などを手がけた川崎のぼる、アニメーターの宮本貞雄、人形作家の保坂純子、イラストレーターで歌手・女優としても活躍する水森亜土、声優の飯塚昭三が受賞していた。

顕彰者を代表して挨拶した川崎は「僕はアニメに関わったことがありませんし、この賞のお話を頂いた時は、『なぜ僕がそんな賞を』と驚きもあったし、『いや、いや、ちょっと待ってください』と尻込みしたんです」と受賞の報告を受けた際のことを振り返る。続けて「僕は、これまで多数の漫画を描いてきました。その中で数本ですが、アニメ化されてテレビ放送もあり、それが今回の受賞の大きな理由ではなかったんだろうかと思いまして。僕もある程度の年ですから、こんな栄誉ある賞にそうそう出逢えるものではないと思い、厚かましくもこの賞をいただくことを決心しました。はるか昔ですけれど、僕の作品をアニメ化してくださったアニメーターの方、そして関係者の皆さんに、今、心から感謝したいと思っております」と感謝の言葉を送った。

2021年度の全上映・放送作品446作品を対象に、最も優れた作品・個人に作品賞、個人賞、アニメファン賞を授与するアニメオブザイヤー部門は、2月10日にその受賞作品が発表されていた。作品賞・劇場映画部門に選出された「シン・エヴァンゲリオン劇場版」からは、制作を務めたカラーのアニメーションプロデューサー・杉谷勇樹が登壇。杉谷は「映画の公開が終わった頃、僕から庵野監督に『お疲れ様です』と連絡したことがあるのですが、それに対して、庵野監督からは『ありがとう。スタッフの皆さんのおかげです』という言葉が返ってきました。これは、映画が完成した時も、初号試写の時も同じことを言っていました。なので、本日、この場に来ることはできなかったんですけれども、もしここにいたら、同じことを言ったかなと思います」と、原作・脚本部門と監督・演出部門にも選ばれている庵野秀明とのエピソードを交えて挨拶した。

作品賞・TVシリーズ部門を受賞した「呪術廻戦」では、東宝の映像事業部プロデューサー・松谷浩明が「芥見下々先生の原作の魅力、そしてそれを、朴監督を始めとする、制作会社スタジオのMAPPAのみなさん、各セクションのスタッフのみなさん、キャストのみなさんが一丸となって取り組んで頂いて、最高のアニメーションになったからこそ、そしてその上で、委員会各社、関係各社の皆さんが作品を盛り上げようと一生懸命取り組んだ。その結果、これだけ多くの方に作品が届いたのではないかと感じています」と話す。続けて、先日2期制作が発表されたことに絡め「引き続きこういった賞をいただけたことを励みとして、関わる皆様で一生懸命盛り上げていければと思っております」と意気込みを述べた。

アニメファン賞に輝いた「アイドリッシュセブン Third BEAT!」からは、監督の別所誠人が式に登壇。別所は、2年連続で「アイドリッシュセブン」シリーズが同賞を受賞したことを喜び、「ファンの皆様の応援があればこそ、いただける賞なので、嬉しさはいっぱいです。そして、ファンの皆様の期待に応えられるよう、頑張ってくれるスタッフ、そういう人たちも含めて、本当に感謝しています」とメッセージを贈った。

アニメーター部門の松島晃、美術・色彩・映像部門の寺尾優一、音響・パフォーマンス部門の梶浦由記と椎名豪は、アニメ「鬼滅の刃」シリーズに関わったスタッフたち。一部受賞者は登壇せず、コメントをMCが代読する形で挨拶した。3度目の受賞となった松島は「このような栄誉にあずかる事が出来たのも、鬼滅の刃という作品を通して沢山の方に見て頂く機会を得ることができ、またユーフォーテーブルで働くスタッフ一人一人の努力が実を結び、 作品が評価された事によるものだと思っております」「ユーフォーテーブルの仲間たちと共に、作品制作に携われる幸運に感謝致します」とアニメ「鬼滅の刃」を制作するufotableの名前をたびたび出しながらコメントを届ける。寺尾は「美しくて、美しくて…、つい心が動いてしまう映像を20年間業界に入ってから求めて来ました」と自身のキャリアを振り返り、授賞式の裏で働いているufotableのスタッフに思いを馳せながら「僕は本当にチーム、スタッフに恵まれたと思っています。本当に素晴らしいスタッフに囲まれています」「『撮影職』という、ちょっと見えづらい仕事を発見して、評価してくださった方々に御礼を改めて伝えたいと思います」と挨拶した。

梶浦は「映像を音楽で彩るというのは大変幸福な仕事であると常日頃から思っておりますが、こうして賞として評価して頂けるときちんと自分の役割を果たせたのだなと新たな喜びが込み上げて参ります」と、椎名は「音楽以外も含め作品に携わる全ての方々、そして、日々支えて下さる皆様のおかげでいただけた賞だと思っています。引き続きの応援、今後ともよろしくお願い致します」とコメントを寄せた。顕彰者、受賞者、受賞作の関係者の受賞コメント全文は記事末で確認を。

川崎のぼる(アニメ功労部門・顕彰者代表)コメント

TAAF2022において7名の方が、この名誉ある賞を受賞することになりました。(僕を省きまして)、今回、受賞された皆様はこれまでアニメに携わり、アニメ界の発展に全力を尽力されてきたのだと思いますし、この賞を受賞されるのは、当然の嬉しい結果だと思います。ですが、僕の場合は少し違いました。。。僕はアニメに関わったことがありませんし、この賞のお話を頂いた時は、「なぜ僕がそんな賞を」と驚きもあったし、「いや、いや、ちょっと待ってください」と尻込みしたんですよ。ちょっと考えて、僕は、これまで多数の漫画を描いてきました。その中で数本ですが、アニメ化されてテレビ放送もあり、それが今回の受賞の大きな理由ではなかったんだろうかと思いまして。僕もある程度の年ですから、こんな栄誉ある賞にそうそう出逢えるものではないと思い、厚かましくもこの賞をいただくことを決心しました。はるか昔ですけれど、僕の作品をアニメ化してくださったアニメーターの方、そして関係者の皆さんに、今、心から感謝したいと思っております。

松島晃(アニメーター部門受賞)コメント

一昨年、昨年に続き三度に渡ってアニメーター賞に選んでくださり、誠に光栄に存じます。一度だけでも信じられないことが三度も続いてしまうとは、今現在が自分の人生で一番最高潮の時なのでは、これからの先、もう良い事が起きないのではないかと少し不安になってしまいました。このような栄誉にあずかる事が出来たのも、鬼滅の刃という作品を通して沢山の方に見て頂く機会を得ることができ、またユーフォーテーブルで働くスタッフ一人一人の努力が実を結び、作品が評価された事によるものだと思っております。
アニメ制作は自分一人の力ではどうにもならない事がたくさんあります。自分の力が及ばず苦しい事も多いですが、外崎監督をはじめとする現場のスタッフに支えられ、力を合わせながら一話数一話数を頑張って創り上げることが出来ました。ユーフォーテーブルの仲間たちと共に、作品制作に携われる幸運に感謝致します。また、先日アニメ鬼滅の刃の続編制作も発表となりました。ファンの皆様に喜んでいただける事を人生の糧として、これからも慢心することなく日々精進していきたいと思います。この度はアニメーター賞に選んでいただき、本当に本当にありがとうございました。

寺尾優一(美術・色彩・映像部門受賞)コメント

この度は、素敵な賞をいただいて大変嬉しく思っています。本当にありがとうございます。美しくて、美しくて…、つい心が動いてしまう映像を20年間業界に入ってから求めて来ました。最初の10年は、会社に泊まり込んで、仕事をしながら、研究を続けました。次の10年は、2Dと3Dのミックス、それにチーム作りに費やしました。そうこうしているうちに、いいチームがだんだん出来てきました。僕は本当にチーム、スタッフに恵まれたと思っています。本当に素晴らしいスタッフに囲まれています。そして、僕たちユーフォーテーブルが、大切にしていることの一つに、「作品」というものがあります。「作品がすべて」、「作品を大切につくりましょう」、そう思って、これまでずっと、全員が制作してきました。今この瞬間も、100人、200人のスタッフが、机やマシーンに向かって、作品を作っていることと思います。僕たちはアニメを作ることが本当に好きなんです。アニメ作りに、人生をかける価値があると思っています。すごく楽しいことです。本当は、あまりこういう所に来ることはないのですが、僕たちが、本当にアニメが好きで頑張って作っていることを少しでも多くの人に知って頂く機会ができたらな、というのが大きかったです。「撮影職」という、ちょっと見えづらい仕事を発見して、評価してくださった方々に御礼を改めて伝えたいと思います。今年はコロナもあって、なかなか集まることは難しいですけれども、来年はみんなでマスクを外して一堂に会することができるといいなと思いました。

梶浦由記(音響・パフォーマンス部門受賞)コメント

この度は名誉ある賞を椎名豪さんと共にいただき、大変光栄に思っております。映像を音楽で彩るというのは大変幸福な仕事であると常日頃から思っておりますが、こうして賞として評価して頂けるときちんと自分の役割を果たせたのだなと新たな喜びが込み上げて参ります。これからも映像に寄り添う音楽を作れるよう精進して参ります。本当にありがとうございました。

椎名豪(音響・パフォーマンス部門受賞)コメント

音響・パフォーマンス部門での個人賞受賞、ありがとうございます。大変嬉しいです。音楽以外も含め作品に携わる全ての方々、そして、日々支えて下さる皆様のおかげでいただけた賞だと思っています。引き続きの応援、今後ともよろしくお願い致します。

別所誠人(アニメファン賞受賞「アイドリッシュセブン Third BEAT!」監督)コメント

2年連続で受賞できるとは考えてもいなかったので、すごく嬉しいです。それも、これも、ファンの皆様の応援があればこそ、いただける賞なので、嬉しさはいっぱいです。そして、ファンの皆様の期待に応えられるよう、頑張ってくれるスタッフ、そう人たちも含めて、本当に感謝しています。有難うございました。

松谷浩明(作品賞TVシリーズ部門受賞「呪術廻戦」プロデューサー)コメント

この度は光栄な賞をありがとうございます。TVアニメの「呪術廻戦」は、芥見下々先生の原作の魅力、そしてそれを、朴監督を始めとする、制作会社スタジオのMAPPAのみなさん、各セクションのスタッフのみなさん、キャストのみなさんが一丸となって取り組んで頂いて、最高のアニメーションになったからこそ、そしてその上で、委員会各社、関係各社の皆さんが作品を盛り上げようと一生懸命取り組んだ。その結果、これだけ多くの方に作品が届いたのではないかと感じています。このような光栄な賞をいただけたこと、これを携わったすべての方々、そして何より、この作品を見て楽しんでくださった皆様に、心から感謝申し上げます。先日、第2期の放送も発表されました。引き続きこういった賞をいただけたことを励みとして、関わる皆様で一生懸命盛り上げていければと思っております。

杉谷勇樹(作品賞劇場映画部門受賞「シン・エヴァンゲリオン劇場版」プロデューサー)コメント

栄えある賞、ありがとうございます。この作品は、多くのスタッフやキャストの皆さん、多くの関係者のお力があって完成しました。アニメ業界の垣根を越えて協力いただいた方々や、ずっと応援して下さったファンの皆様の力もあり、このような素晴らしい結果を迎えることができたと思います。改めて深く感謝させていただきます。映画の公開が終わった頃、僕から庵野監督に「お疲れ様です」と連絡したことがあるのですが、それに対して、庵野監督からは「ありがとう。スタッフの皆さんのおかげです」という言葉が返ってきました。これは、映画が完成した時も、初号試写の時も同じことを言っていました。なので、本日、この場に来ることはできなかったんですけれども、もしここにいたら、同じことを言ったかなと思いますので代わりに私の口から感謝を述べさせて頂ければと思います。本当にありがとうございました。