「地球外少年少女」キャストと監督の23年後は?磯光雄は「月面でリテークをしている」
オリジナルアニメ「地球外少年少女」前編の初日舞台挨拶が、昨日1月28日に東京・新宿ピカデリーで行われ、相模登矢役の藤原夏海、七瀬・Б・心葉役の和氣あず未、筑波大洋役の小野賢章、美笹美衣奈役の赤崎千夏、磯光雄監督が登壇した。
本作を手掛けることになったきっかけを問われた磯監督は、「これから宇宙が流行り始めるという話は聞いていたので、宇宙ものをやりたいねと(プロデューサーと)話していました。普通の宇宙もののアニメが少なかったので、じゃあ、俺たちが作っちゃおうかと話したのが最初のきっかけです」と語った。
完成された映像の感想を問われたキャスト陣。藤原が元気よく「“あんしん”(劇中に登場する商業宇宙ステーション)に行きたい!」と答えると、会場が和やかなムードに包まれる。藤原の発言を受けて、和氣も「宇宙への夢が広がって、監督ありがとう!」と答え、続く小野も「ワクワクが止まらなーい!」、赤崎さんは「世界平和~!」とテンポ良く答えていく。赤崎は「(宇宙と月で)育ってきた環境の違う子供たちが、手を取り合っていく姿が素晴らしいなと思いました」と物語の印象を語る。
トークコーナー「教えて磯監督」では、キャスト陣から募った質問に磯監督が答えた。赤崎から「最初に誕生したキャラクターは? 当初の想定からまったく違う性格や見た目になったキャラは?」と問われると、磯監督は「最初に思いついたのは、やはり主人公の登矢です。少し暗い顔をした男の子で、キャラクターデザインの吉田健一くんや、周りからも難しいキャラクターだと言われ続けました。自分がモデルになっているので、そんなに自分は難しいかな?と思いました」と苦笑いする。続けて磯監督は「想定から違ってきたキャラクターは、やはり美衣奈です」と答え、「うっすらとしたイメージはありましたが、キャラクターデザインの吉田くんに任せました。キャピキャピした性格で、オシャレな雰囲気になったところで、赤崎さんが想定外の声を次々と与えてくれました。台本と違う台詞もあって……」と笑いながら答えると、赤崎さんは「確かに自由にやらせていただいた記憶はありますが……」と戸惑いつつコメント。磯監督は「とても面白いキャラクターになっているので、ぜひご期待ください」と美衣奈についてアピールした。
続く「私の2045年」というトークテーマでは、作品にちなみ、23年後の2045年に監督とキャスト陣がどんな暮らしをしているか予測していく。「トランスヒューマンになって月面でリテークをしている」と答えた磯監督は、「普通、監督は絵コンテをチェックしたら人に任せる方が多いのですが、私はかなりのカットを自分で撮影しています。直したいところを自分でやっているので大変なことになる。そんな苦労が詰まった作品です」と前置きした上で、「トランスヒューマンは、新しい用語ですが、昔でいうところのサイボーグのようなもの。頭で思い浮かべただけで、リテークが瞬時に撮影できたらいいなと思いました。Twitterも頭で書くことができたら便利だなと考えたのですが、言えないことまでつぶやいてしまいそうなので……ほどほどがいいですね(笑)」と述べる。藤原は「宇宙のスポーツにハマる」、小野は「ちゃんとおじさん。23年後と考えると普通におじさんなんですよね。毎日ラーメンを食べるくらいラーメンが大好きなので、高血圧になっていそう」と回答した。
和氣は「(2045年は)動かない。椅子のようなものに座っているだけで、着替えも移動もすべて自動になったら……と憧れてしまいます。怠惰ですね」とコメント。赤崎が「VR空間でアフレコができるようになり、南の島に移住している」と答え、「声優にとってのテレワークのようなもの。アフレコは1つの空間に集まって皆で呼吸を合わせるものですが、VR空間で同じことができるならいいなと妄想しました」と語るとキャスト陣から「夢が広がる」と賛同の声が挙がる。「地球外少年少女」ではコロナ禍により同時収録が難しかったといい、藤原は「こうして、この場で皆さんと集まることができてとてもうれしいですね」と思いを語り、赤崎も「一緒に集まって収録したら、また違う表現になっていたかもしれません。でも、別々に録ったことで生まれた表現もあると思います」と述懐。磯監督は「そんな状況下なのに、とても自然で違和感のない表現ができている」と声優陣の演技を絶賛した。
イベントの終盤、藤原は観客に向けて「宇宙に好奇心はあったのですが、この作品に触れることでさらに好奇心が増した感じがします。宇宙について興味が沸くきっかけになれればうれしいです。磯監督の描く世界観がとても楽しいので、まずは前編を全力で楽しんでください」と語りかけ、和氣は「映像を観たときに、宇宙のきれいさに感動したので、皆様も楽しみに観ていただきたいです。ぜひ、考察してみたり、感想も聞かせていただけたらと思っています」とアピール。小野は「完成した映像を観て、ワクワクしたのと同時に、妙にリアルに感じました。近い未来にこういう世界があるのではないかと思わせてくれる作品です。大画面で感じていただけたらと思います」と述べ、赤崎は「色々なスタッフやキャストの想いがたくさん詰まった作品です。それを劇場でぜひ受け止めていただきたいです。お楽しみに!」と語る。最後に磯監督は「映画館の大画面と音響で聴くと、迫力がまったく違うので、ぜひ大画面でお楽しみください。ぎっしりと情報を詰め込んでいて、何度観ても面白いように作っています。大画面で観て、その後、配信などでも繰り返し観ていただきたいです」と呼びかけ、イベントを締めくくった。
オリジナルアニメ「地球外少年少女」
2022年1月28日前編、2月11日後編、各2週限定劇場上映
上映劇場
新宿ピカデリー、MOVIX 亀有、立川シネマシティ、川崎チネチッタ、京成ローザ10、MOVIXさいたま、ミッドランドスクエアシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIXあまがさき、MOVIX京都
スタッフ
原作・脚本・監督:磯光雄
キャラクターデザイン:吉田健一
メインアニメーター:井上俊之
美術監督:池田裕輔
色彩設計:田中美穂
音楽:石塚玲依
音響監督:清水洋史
制作:Production +h.
製作:地球外少年少女製作委員会
キャスト
相模登矢:藤原夏海
七瀬・Б・心葉:和氣あず未
筑波大洋:小野賢章
美笹美衣奈:赤崎千夏
種子島博士:小林由美子
那沙・ヒューストン:伊瀬茉莉也 ほか
※赤崎千夏の崎は立つ崎が正式表記。